守田です。(20130102 23:00)
昨年12月16日に福島市を訪問した際に、福島駅周辺で放射線計測を行いました。予想されたことでしたが、すぐに数値があがりだし、放射線管理区域の目安、0.6μS/hを越えて、0.81μS/hなどの値が計測されました。
このときの模様を、FACEBOOKに写真とともに掲載したところ、およそ半日で「いいね」が185人、「シェア」が228件になりました。(22時現在)胸が痛む写真なのですが、多くの方が福島の今に心を寄せていることがわかりました。
この記事を読んでくださっているみなさんにもこの写真をみていただきたいと思います。まずは以下のページをご覧ください。
http://www.facebook.com/toshiya.morita.90#!/photo.php?fbid=4613251007615&set=a.4505891643698.2165302.1182740570&type=1&theater
福島駅前が放射線管理区域に相当しながら、こうした事実が放置され続けていることを年頭においた上で、今日は昨年末に、取手の3つの市民グループが行った重要な発表について取り上げたいとおもいます。
内容は、取手で行われた小中学校の子どもの心臓検診に関するもので、2011年度に比べて、一時検査で「要精密検査」と診断された子どもが急増してるという内容です。
この発表は、東京新聞と常陽新聞がいち早く記事にしています。このうち東京新聞の内容を見ていくと、問題の検診を2012年度に受けたのは1655人であったことが分かります。そのうち要精密検査の診断を73人が受けたのですが、これは2011年度の28人の2.6倍です。中学生だけをみると17人から55人、3倍強に増えています。
また、心臓に何らかの既往症が認められる子どもの数も、2010年度の9人から、2011年度21人、2012年度24人と増えています。突然死の危険性が指摘されるという「QT延長症候群」とその疑いのある結果が、2010年度1人、2011年度2人から8人に急増しています。
さらに常陽新聞の記事を見ると、この検査は、小学1年生と中学1年生のみにしか行われていないことも分かります。市民グループの方たちは、この点も不安に感じて記者会見を行ったようです。
こうした会見を行った方たちの思いを詳しく知りたいと検索したところ、3つのグループのひとつの「とりで生活者ネットワーク」が、HPでこの発表に関するコメントを行っていました。みなさんともシェアしたいので全文を転載します。
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市民調査による「取手の子どもたちの心電図異常増加」報道発表について
http://www016.upp.so-net.ne.jp/toride-s-net/topics.html#press-heart
私たちは、放射能NO取手ネットワーク、生活クラブ生協取手支部とともに、この秋から、市内の学校検診での心電図検査の結果を、調査してきました。
その結果、事故前の3年間に比べて、事故後の2011年度、2012年度の子供たちに心臓の疾病・異常の増加がみられること、特定の疾病(心電図異常:不整脈)が増加していることに気付きました。
そして、12月25日に取手市の子どもたちの心臓病増加について、市の記者クラブを通じて報道公開をいたしました。
私たちが暮らす取手市は、茨城県の最も県南に位置し、川を挟んで隣は千葉県、福島第一原発からは茨城県内では、最も遠くにあります。
しかし、2011年3月14日~15日、風はこちらに吹き、3月21日、22日、あの3号機爆発時、放射性ブルームはこの県南に雨を降らせました。
現在、他の市町村の友人たち、他団体でも、学校検診結果の公開を求めているところです。
このような中での報道公開には、情報開示への悪影響など、躊躇いもありました。
しかし、原因はなんであれ、増加傾向にあることは事実であり、気付いた以上、黙っていてはいけないのではないか・・・
また、1次検査で要精密検査となりながら、精密検査を受診していない子供たちが、まだ多くいることから、早く受診してほしいこと、
そして、市には継続した健康調査を求め、この6月に立法化された「子ども被災者支援法」の対象地域に茨城県も指定されることを強く望み、報道公開に踏み切りました。
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このコメントには、記事が掲載された東京新聞のアドレスが付されるとともに、常陽新聞の記事もスキャニングして紹介されていますので、そのアドレスも紹介しておきます。
http://www016.upp.so-net.ne.jp/toride-s-net/20121226press-joyo..pdf
常陽新聞の記事には、発表された方たちの次のような思いと言葉も紹介されています。
「根岸さん(生活クラブ生協取手支部代表)らは、チェルノブイリ原発事故の健康影響調査で、放射性セシウムが心臓に蓄積するとした研究結果があることなどから「被ばくが関係しているのではないかという疑いがぬぐいきれない」と話し、
「病気の子が増えているのは事実なので、原因を調査してほしい。小学1年生と中学1年生だけの検査では取りこぼされる子どもが出てきてしまうので、全児童・生徒を対象に毎年調査を実施してほしい」などとしている。」
・・・非常に共感する内容です。
記事を読んで、つまり要検査が多かったという事実に触れて、僕も発表された方たちと同じことを感じました。放射性セシウムの心臓への蓄積による影響が濃厚ではないかということです。いや他の放射性核種の影響がそれに重なっている可能性も大きいのでないか。
同時に、この検査が、小中学校の子どもたち全体に行われたのではなく、一部の児童・生徒にしか行われていないことに、なんとも言えない焦りを感じます。とにもかくにも早く調査を行って欲しいと切に思います。
そしてこの点をポイントに、みなさんに福島市を振り返っていただきたいのです。明らかに線量の高い福島市ではどうなのだろう。いや福島市だけではありません。取手よりも線量の高いところは他にもたくさんあるのです。
そのすべて箇所で、心臓検診を行う必要があるのではないか。いや、確実にあると僕は思います。しかも小中学生だけでいいはずがない。高校生、大学生、いや大人たちの心臓検診もぜひすすめて欲しい。それが必要です。
ではそのためにどうしたらいいのでしょうか。一つには、こうした取手の3つのグループの方たちの行動と連携し、それぞれの地域で、それぞれの自治体に心臓検診を行うことを要請することが大事だと思います。
その際、取手の事例は有力な説得材料になると思われます。こうしたことに学んで、各地域の市民が同じ行動をとっていくことが大事ではないでしょうか。そのために僕も取手の方々にもっと多くを学びたいと思っています。
同時に、心臓に何らかの影響が出始めている可能性があることをしっかりと見すえ、健康増進や免疫力のアップを図っていくさまざまな知恵を獲得し、実践していくことが問われています。
そのために、僕はまず私たち市民が、心臓疾患について、今よりも詳しくなることが大切だと思います。僕自身、何の蓄積もないので、たった今、幾冊かの書籍を注文したにすぎないのですが、単に検診に任せるだけでなく、病を知ることで、私たち自身がさまざまな危険な兆候を未然に把握できるようにもなります。
とくにお子さんをお持ちの方は、こうした知恵を獲得することで、より鋭い観察力を身につけることができるはずです。そしてそれが心臓に何らかの疾患が生じた場合に、生命そのものを救っていく力にもなりうると思います。もちろんそうした深刻な事態の防止そのものにも役に立つでしょう。
実際に病を生じた場合は、専門医の診療が必要なのは言うまでもないことですが、その前に私たちにはできることがたくさんあります。だとしたらそれをやらない手はない。
肝心なのは、健康被害がどのように出てくるか、まだあまりにわからないことが多いとしても、私たちが大量な被曝をすでに受けていること、しかも今後も被曝が続くことだけは確かだということです。
それが健康に言いわけがないのです。だとしたら、私たちはけして危険性が実証されることを座して待っていてはなりません。積極的な対策を積み上げていくことこそが大事です。それが私たちの生命を長らえるのです。
繰り返しますが、このことは、被曝の結果がまだわからない今だからこそ、積極的にはじめるべきなのです。そして結果としての健康被害を少しでも減らしたい。少しでも多くの生命を長らえ、健康を守りたいと思います。だからこそ目前の危機の可能性をしっかりと認識しましょう。
以下、東京新聞の記事をご紹介します。
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73人が「要精密検査」 取手市内24校心臓検診
東京新聞 2012年12月26日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20121226/CK2012122602000145.html
取手市の市民団体は二十五日、市立小中学校二十四校の二〇一二年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が一一年度に比べて急増していることを公表した。
心臓検診は取手市教委が毎年五月中に小学一年生、中学一年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の三団体で、市教委などの資料を基に調べた。
それによると、一二年度に一次検診を受けた小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された。一一年度の二十八人から二・六倍になり、中学生だけで見ると、十七人から五十五人と三倍強に増えていた。
また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も一〇年度の九人から一一年度二十一人、一二年度二十四人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、一〇年度の一人、一一年度の二人から八人へと急増していた。
市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。
(坂入基之)
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