守田です(20190402 23:00)

統一地方選候補者インタビューシリーズの続きをお送りします。日本共産党京都市議団幹事長井坂博文さんのインタビューの2回目です。井坂さんは7期28年の実績のもとに8期目をめざして今回も京都市北区から立候補。選挙戦を展開中です。2回目はお連れ合いの井坂洋子さんとのパートナーシップの話から入ります。前回の最後、1985年に結婚されたことを聞いた続きです。


井坂さんとはたびたびご一緒してきた。写真は前回の選挙での応援で(井坂さんFacebookページより)

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● 家事を男女で平等負担するのは義務ではなくて権利

守田
これまでも何度も聞いているけれど家事の平等負担は最初はショックだったのでしょ(笑)

井坂
ショックやった。結婚したら「上げ膳据え膳」とは言わないけれど、朝起きたらお味噌汁とご飯が出てくると思っていたんやね。民青の専従をやっていたし共産党員やから本来は「そんなんではあかん」と分かってないといけなかった。でもそうではない結婚観をどこかで持っていたんやね。それを彼女に木っ端みじんに打ち砕かれた(笑)

守田
だけども打ち砕かれる度量があったのでしょう?

井坂
あ、それなかなか良いね(笑)なるほど「打ち砕かれる度量があった」か。

守田
そんな言い方は、女性に対してはごめんなさいな言い方やけど。でも井坂さんは変わっていける力があったんやなと思うわけです。女性からすると当然のことで、男同士で褒め合っていちゃいけないことやけどね(笑)。

井坂
それにね、夫婦が平等に子育てするというのは、最初は僕は「義務や」と思っていたわけね。でもそれが「権利や」ということが分かってきてね。

守田
おお。かっこいい。

井坂
喜び。子育てをすることはこんなに楽しいのかと。それを気づかせてくれたのは保育園やったな。保育のあり方とか保護者への接し方とか。それで僕も保育園にお迎えで行くとなかなか帰らなくなってしまった。自分の子どもだけじゃなくて他の子も手をつないでぐるぐるっとまわしたらさらに「私も、僕も」ってくるから順番にまわしているうちに遅くなって(笑)

守田
面白い!でもその時には共産党の中でも「それは『嫁』の仕事やろ?」と言われたんでしょう?

井坂
それそれ

守田
いまは共産党がそこから変わってきていることを前提に書いておきたいことやけど。

井坂
保育が義務ではなくて権利だと気づいて、楽しく迎えに行き始めたときに「おまえの仕事はそんなことではない」と言われてムカッときたんよ。「僕は自分の喜びとしてやっているのだから喜びをとらんといてくれ」と。

守田
ここの話はとても大切ですよね。古い共産党から新しい共産党に変わっていく過程の話やし。いや古い共産党というより古い男たちの話であり、まだ僕らの中にもある古い男性性のことですよね。共産党も他のさまざまな組織、グループも含めてあらゆる男たちが古い価値観を持っていてそれを越えることができていなかった。 当時その辺のことを、党組織の中でどうやって説明したの?なかなか大変だったでしょう。

井坂
論理的にはエンゲルスの『家族・私有財産および国家の起源』の勉強会を結婚する前にやったんよ。彼女と一緒に。

守田
素晴らしい。

井坂
それで結婚するときに彼女は条件をつけたわけ。「私はあなたと結婚するけれどあなたに従うつもりはない」と言ってね。それで「割りばし論」に至った。これは僕と彼女だけの理論なんやけれども、割りばしは真ん中でくっついている。同体。向きは一緒だけれどもそれぞれに別に存在している。

守田
それを討論したわけ?

井坂
ちゃうちゃう。レクチャーされたわけ(笑)

守田
それに対して「お前は女の尻に敷かれた男だ」みたいにも言われたわけでしょう?それはどう思ったの。

井坂
自分ではぜんぜんそんなことは思わなかった。尻に敷くとか敷かれるとかではないし。そのころはもう「味噌汁論?」は克服していたし(笑)「なんでそんなことを言うのかなあ」と思って。今から言えば「それまでのスタイルの活動家ではなくて新しいスタイルの活動家にならなくちゃ、なりたい」という思いがあったわけやね。ほんでそれを貫いたわけ。

パートナーの井坂洋子さんと。いつも二人で本当に楽しそう・・・(井坂さんFacebookページより)

● 内なる革命を進めていく

守田
面白い!これこそまさしく「内なる革命」やね。多くの左翼の限界として革命を政府を倒すことに限定してしまってきたことがあると思わけね。今の世の中が悪いから革命を志すわけだけど、その悪い世の中の価値観は自分の中にも入ってきている。それを革命しなくては本当の意味で世の中は変わっていかない。

井坂
その意味では当時から「先陣を切っている」という思いはあったね。そしていまの共産党の僕よりも若い専従や活動家たちはもっとずっと進んでいる。その礎になれたかなという気はするけどね。

そういえば市会議員六期目のときに長女のゆうきが大学生で「父親について」というレポートを書いたのね。それで風呂からあがってインタビューするからというからなぜこの仕事についたかを話したわけ。2011年かな。そのレポートをいまも持っていて。
そこでゆうきが「父親を尊敬する。好きだ」と書いてくれたんやけど、そこで「普通の父親」と言うてくれたんよね。「普通のお父さん」「そのままであり続けて欲しい」。なおかつ「パパは正義の味方」。そう言ってくれてね。「僕の目指していることを娘は分かってくれているな」と思えたわけ。

実際、僕のパートナーが仕事で長期出張に行かなければならなくなると「チャンスだ」と思うわけね。「これで自分が子どもを喜ばせる料理ができる」とね。

守田
わはははは。そこかあ。

井坂
それで3人の子どもが食べたいものを聞いて、煮込みハンバーグとチャーハンと豚肉の生姜焼きをいっぺんに作った。子どもたちは喜んだけれどあとで彼女に怒られた。「経済観念なさすぎ」ってね(笑)。

守田
それは知っていますよ!それでゆめと君かな?次男坊君が中学生の時に学校の先生に「おとんの方がご飯は美味しい。でもおかんの方が栄養がある」と言ったのでしょう?名言だよね。だから家事を権利として楽しんでいる井坂さんはまだ彼女には勝ててない。栄養面とかでね。

井坂
いや。すべてにおいて勝ててない(笑)

守田
そう言うあなたがかっこいいっす(笑)男からするとだけどね。かっこいいのは家事を平等分担するのは義務ではなくて権利だと思っているところかな。

井坂
義務を克服して権利になってそれを行使しているとその先に喜びが見えてくる。それでねえ、彼女にはまだまだ勝てないのだけれど、これだけは勝てるというものがあって。何かと言うとアイロンやね。
最初は布団の上でかけていたのだけれど彼女がアイロン台を買ってくれてね。ほんでやったらアイロンって面白いんやね。ピシッと筋を出してね。だから子どもたちが「おとんの方がうまいからやっといて」と持ってくる。

でもそうやって男性が変わっていくと今度はパートナーの女性がバッシングを受ける。「おまえんとこはなんで夫にやらすんだ」と。そうしたら彼女は凹まないで「悪妻が夫を育てる」と言い出した。それには救われたね。男が頑張るだけ頑張ってパートナーの評価が低まっていくなんて本意ではないからね。

守田
そこで僕にはまだまだ共産党には限界があるなあと思うところがあるのですよね。2月初めにみやこメッセで行われた集会で京都の統一地方選の候補予定者40数人が揃って登壇したときに、ほぼ女性と男性の数が同じだった。「共産党はさすがやなあ」と思ったんやけど、その後に党の幹部の方たちが出て来たら男性ばかり。女性は倉林さんだけやった。現場はもう女性も男性もなく頑張っているのに幹部になるとまだまだジェンダーバランスが良くない。そこが限界なんとちゃうかなあ。

井坂
僕もそう思う。

守田
僕は党首が女性になったら共産党はもっと画期的に伸びると思うのですよ。でもそれは社会党や社民党が先にやったわけだよね。憲政史上初の女性の衆議院委員長は土井たかこさんやったしねえ。

井坂
それに関連して言えば京都市会議員団ではじめて女性幹事長になったのが倉林さんだったわけ。それまでずっと団長・幹事長は男がやってきた。はじめて女性幹事長になったのが倉林明子さんだった。9年前かな。

守田
なるほど。それまた共産党市議団の内なる革命だったわけやね。そう考えると井坂さんが周りの仲間と一緒に夫妻で進めてきたのは共産党の党内革命やね。個人としての内なる革命にとどまらない党の中での革命。

井坂
自然体でやっているだけやからそんなに大げさには考えてへんのやけど(笑)

守田
いやそれを価値化して言えばそういうことになるのではないかな。そしてそれはどんな組織の中でも求められるモメント、生命力そのものなのではないかな。


この方はお孫さんのさっちゃんを抱くといつもデレデレになってしまうのでした(井坂さんFacebookページより)

● 議員ほど他者へのリスペクトが問われる

守田
それにしても議員になってから何がしんどかったですか?「しんどい、やめたい」と思ったことはないの?あるいは留意してきたことは?

井坂
やめたいとかは一度もないねえ。 心に留め置いてきたことは、僕は市長であろうと他会派であろうとその時々の政策に対する強い怒りはあったりするけれども、それでも相手をリスペクトしなければならないという気持ちが強くてね。議員同士で他会派の議員に対して呼び捨てにする人も多いの。

僕は絶対にそれはアカンと思っていてうちの新人議員にも言っているの。 他会派の人々とは立場は違うし政治的主張も違うけれども、やはり相手も市民の信託を得て当選しているわけやし、市長かてうちは反対したけれど選挙で当選しているわけ。それに対して罵倒したり、呼び捨てにしたりするのはよくない。だから僕は「門川市長」「門川さん」と呼ぶし、他党の議員でも「〇〇さん」と呼んでいるし、呼ぶべきだと言っているわけ。

守田
すごく共感するなあ。僕もそこを大切にしているな。

井坂
だから僕は「安倍は辞めろ」というコールは嫌いなんよ。「安倍は辞めろ 麻生は辞めろ」と。その思いはよく分かるけれど、やはり呼び捨てはねえ。「安倍内閣は退陣を」は良いんよ。悪罵を投げつけたり呼び捨てにしたりすることは僕のポリシーにはあわんのよ。 守田さんにシンパシイを感じるのはそこがあると思うわけ。いつでも他者をリスペクトしはるから。いくら政治的に敵対している相手でもリスペクトせなあかんのよ。

守田
そこは本当によく分かる。それは人権意識の問題だよね。
議員としてそこを心に留め置いてきたことは分かったけれど、井坂さんは一議員であることを越えて日本共産党京都市議団の幹事長なわけよね。そのご苦労は?

井坂
自分の思いに応じて議会で仕事をする。その点で自分の分野では第一人者としての自負はあるんやけど、幹事長というのは党内のまとめ役であると同時に議員団一人一人の力を引き出していかなくてはならない仕事なんやね。自分が頑張ったらええという世界ではなくて、今は18人やからその一人一人の力を引き出す。その上で18人のチームワークをどう出していくのかが問われる。それに18人の中に十人十色。人の伸び方の違いもある。

とくに新人議員はやはり最初はいろいろと限界があったりしてねえ。でもだんだん伸びてくる。そんなときそこに関わることができるのは幹事長としての仕事の醍醐味やね。 しかしまだやり切れたとは思えてなくてね。そう思えるには今度の選挙で京都市議会で第一党をとって文字通り市議団のチームプレーで大きな仕事をしていき、京都市政を大きく変えないと。そこではじめて本当の自分の真価が問われてくると思うんやね。ぜひやらせていただきたいね。

守田
その意味で若い人を育てるのも政治を変えるのも「権利」やね。

井坂
そうそうそう

守田
育てる楽しさがあるよね。市政を変えていく楽しさも。ぜひそれを今度の選挙で切り開きたいと僕も思うな。


井坂さんが期待する新人議員の一人伏見区選出のやまね智史議員とツーショット。新人みんなに大きく期待していると井坂さん。
ちなみにやまねさんも激しく選挙戦を展開中(井坂さんFacebookページより)

続く