守田です(20220318 20:00)
Facebookでつながっている田崎敏孝さんの投稿から、国際民主法律家協会(IADL)の声明について知り、とても共感しました。強く支持したいと考え、ここで紹介することにしました。
同団体は、このように紹介されています。
「国際民主法律家協会(International Association of Democratic Lawyers, IADL)は、1946年10月にパリで設立されましたが、ナチスに抵抗して闘ったレジスタンスの法律家などが結成した民主的な法律家の国際組織です。権力ではなく民衆の側に立ち、経済よりも人権を重視し、武力を用いずに対話による紛争解決を模索しています。」
「国連発足当初よりECOSOC(経済社会理事会)とUNESCO(国際連合教育科学文化機関)に協議資格を持ち、国連の主催する会議に参加し、国連に意見書を提出し、国連人権高等弁務官事務所が担当する国際人権条約の履行審査や国連人権理事会で登録資格を持ち、発言したり意見書を提出したり、サイドイベントを開催したりするなど、一定の発言権を持っています。」
https://www.jalisa.info/iadl
長いですが、読んで感銘したので、声明全文をご紹介します。次号でこれをどう捉えるのか、意見を書きます。
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国際民主法律家協会(IADL)は、ウクライナで進行中の戦争の激化に関する声明を発表した。 国際社会に対し、平和への道を見出すことを要求する
https://iadllaw.org/2022/03/iadl-statement-on-the-escalating-war-in-ukraine-finding-the-road-to-peace/
https://peacephilosophy.blogspot.com/2022/03/statements-by-iadl-international.html?fbclid=IwAR1e76U-Ua4WsTvqo3nJvx0T1bsMTJeqd9KzUczbtW0_i63beSnfAXj-hX4&m=1(このサイトから邦訳をコピーしました)
2022年3月8日
ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、IADLは声明を発表し、西側からロシアに対して多くの挑発行為があったことを認めたが、そうした挑発行為にもかかわらず、国連憲章第51条の下でロシアがウクライナに対して行った軍事行動を法的に正当化することはできない、と述べた。IADLは、自衛を主張する根拠がない以上、ロシア軍による行動はウクライナの領土保全に対する違法な侵略であると述べた。
IADLは、軍事行動の即時停止を要求した。IADLは、国際法および国連憲章に則った紛争終結のための即時交渉を要求した。そうしなければ、大量の人命の損失と国の破壊、そして国連憲章が防ぐために書かれたより広範な戦争が起こる危険がある。
IADLは、国連安全保障理事会が軍事行動の停止を命じる決議案を通過させることができなかったことに注目している。安保理が平和のための統一決議(GA決議377A(V))に基づいて総会に送った決議は、主にロシアの侵略を非難することを目的とし、ロシアが行動を停止し、軍隊を撤退することを要求している。
IADLは、核施設への攻撃を含む戦争が引き続く激化していることに鑑み、また、すべての当事者が軍事行動を停止し、国際法および国連憲章に沿った交渉に入るという我々の要求をフォローアップするために、この後続声明を発表するものである。
IADLは、軍事行動の継続的なエスカレーション、特に国際人道法の下で要求される軍民の区別の原則を遵守しないミサイル攻撃や爆撃を非難し、ロシア連邦の指導者を戦争犯罪の訴追の対象にさらすものである。
IADLは、前の声明に引き続き、以下を要求する。
軍事活動の停止につながる即時停戦
現在の状況は極めて危険である。このまま戦況がエスカレートすれば、全NATO諸国との広範な戦争や、全人類の破滅につながるロシアとNATOによる地球規模の熱核戦争が引き起こされる可能性がある。ウクライナから逃れた150万人の避難民の間では、すでに人道的危機が引き起こされている。
ロシアは、即時かつ永続的な停戦に同意し、ウクライナからの軍の撤退を開始し、その間に逃亡者のための人道的回廊を作り、人道支援を提供すべきである。 IADLは、ウクライナから逃れてきたアフリカや南アジア出身の人たちに対する人種差別に反対する。
しかし同時に、NATOは、NATOの直接介入につながりかねない行動を含め、その挑発を直ちに中止しなければならない。ロシアとの国境にあるNATO諸国でのさらなる軍事力増強は挑発的である。この増強には、ポーランドに建設中の新しい米軍基地が含まれ、ロシア国境からわずか100マイルのところに米国の核武装ミサイルを配備する可能性がある。 この基地は開設されるべきではない。
安全保障理事会は、停戦を求める決議を採択すべきである。そして、全会一致が達成できない場合は、「平和のための結集」の下に、再度緊急総会を招集すべきである。その上で、ロシアの国連憲章違反を認め、段階的な停戦、激化の停止、軍隊の撤収、紛争終結のための交渉の実施を求める新たな総会決議を採択すべきである。
「平和のための結集」は、平和の破壊や侵略行為があった場合に、総会が集団的措置の勧告を行うことを可能にする。これらの措置には、「国際的な平和と安全を維持または回復するために」必要な場合の武力行使が含まれ、これは国連平和維持軍により実施される可能性がある。
総会はまた、即時停戦、ウクライナからのロシア軍の撤退、および、国連憲章と国際法に基づき、欧州における安定的で法的拘束力のある集団安全保障の仕組みにつながる1つまたは複数の条約の制定に向けた交渉の即時開始を勧告することも可能である。できれば、この手続きは欧州の非同盟国または中立国によって開始されるべきものである。
西側による挑発の停止
米国とNATOは、10年以上にわたってロシア連邦に対して極めて挑発的な振る舞いを行ってきた。 2014年、米国政府は、著しい超国家主義者やネオナチ勢力を含むマイダン運動を支援し、ウクライナの内政に大きく関与した。
ソ連と東欧の社会主義諸国が崩壊したとき、米国とNATOは、旧ソ連とワルシャワ条約機構諸国をNATOに統合せず、非同盟・中立の地位に置くことを明確に約束した。 その公約の拘束力を否定しようとする無責任な声がある。しかし、国際法、特に国連憲章は、当時約束されたことを正確に要求しているのである。
NATOは、国連憲章に違反する違法な組織である。国連憲章は、紛争の平和的解決において国連を支援することができる地域連合を認めているにすぎない。NATOはそのような組織ではない。 NATOは軍事同盟であり、その軍隊はセルビア、イラク、アフガニスタン、リビア、シリアなど多くの事例で攻撃的な目的のために使用されてきた。他国に対する武力行使は、武力攻撃に対する自衛の場合、または安全保障理事会の承認がある場合を除き、禁止されている。
NATOとNATO加盟国、特に米国は、同盟が単なる防衛的なものではないことを、攻撃的な軍事作戦の実施によって証明してきた。もしNATOが本当にワルシャワ条約から西ヨーロッパを守るためだけに設立された防衛同盟であれば、ソ連が崩壊しワルシャワ条約が解体されるのと同時に解体されるはずであった。
NATOを東に拡大しないという約束から10年も経たない1999年には、ハンガリー、ポーランド、チェコ共和国がNATOに加盟していた。2004年にはルーマニア、ブルガリア、スロバキアが加盟し、さらにエストニア、ラトビア、リトアニアも加盟した。2008年には、ウクライナとグルジアも加盟することが約束された。ロシア包囲網が完成するのである。
カナダとメキシコがロシア連邦と同盟を結び、米国国境に大規模な軍事力を備え始めたら、米国は自国の安全保障が脅かされると考えるに違いない。実際、1962年にロシアがキューバに核ミサイルを備えた軍事基地を置いたとき、米国の対応は世界を戦争の瀬戸際に追いやった。 しかし、ロシア国境から100マイルのところにある核基地は、挑発行為とはみなされないのだろうか。 ロシアの国境からそのような兵器を撤去するようにというロシアの要求は、ロシアが停戦案で要求したように、不合理なことではない。
IADLがNATO軍事同盟を国連憲章の下で違法な編成と見なしているように、IADLは、米国やその他の外国の軍事基地が世界中に拡大することを、憲章の国際紛争における武力行使や武力行使の脅威の禁止に違反する挑発的脅威として一貫して反対してきた。 さらに2014年、米国はウクライナの内政に深く関与し、著しい超国家主義者やネオナチ勢力を含むマイダン運動を支援した。
世界的な平和交渉では、紛争の根本原因に対処し、中央ヨーロッパに平和地帯を作る必要がある
この紛争の根本原因に対処し、NATOによるすべての挑発的な行動を阻止するだけでなく、逆転させない限り、中欧に永続的な平和はありえない。国連憲章の文言と精神は、ソ連とヨーロッパの旧社会主義諸国が崩壊した後、この地域全体を非同盟・中立・非武装の平和地帯にすることを求めている。
そのための交渉は、1972年にリチャード・ニクソンとレオニード・ブレジネフがヘルシンキで合意した欧州安全保障協力機構(OSCE)への支援、あるいはその枠組みの中で行われることになった。
OSCEはミンスク協定の仲介を行い、完全には履行されなかったが、敵対関係を終わらせるための枠組みを提供した。
一方的な強制措置(制裁)を課すことは、外交ではない
国連憲章は、加盟国が憲章を遵守し、攻撃的な行動をやめるよう圧力をかける方法として、安全保障理事会に加盟国に対する経済的強制措置を課す権限を与えている。 これらの措置は、安全保障理事会だけが合法的に課すことができる。憲章は、加盟国がこのような強制的な措置を一方的に課すことを認めていない。
IADLは、多くの政府指導者が、このような制裁措置の発動は直接的な軍事行動ではないため、外交と同義であると考えていることに懸念を抱いている。 しかし、外交は紛争を平和的に解決することを当事者に求めるものである。 憲章第33条は、国際平和と安全の維持を危うくするおそれのある紛争の当事者は、まず第一に、交渉、審査、調停、仲裁、司法解決、地域機関や取り決めへの依存、その他自ら選択する平和的手段によって解決を図らなければならないと定めている。交渉は試みられたものの、33条の紛争解決手段は十分に活用されていない。
したがって、このような一方的な強制措置は違法であるだけでなく、状況を悪化させ、最も重要なことは、最終的には現場の民間人の生活と福祉に影響を与えることになると、私たちは主張する。#(訳:笹本 潤)
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