守田です(20240426 23:30)

● チェルノブイリ事故から38年の日に寄せて

本日4月26日はチェルノブイリ原発事故が起きた日です。1986年のこと。38年前のことになります。
この日に事故を振り返る記事を書こうとした時に、すぐに頭に浮かんできたのが「チェルノブイリ原発事故は終わっていない!」というタイトルでした。

どういうことか。最も大事な点は、事故による広範な被曝の影響、健康被害がまったく終わっていないこと、その被害を隠し、ないものにしようとする策謀も終わってないことです。
とくにベラルーシとウクライナが最も深刻に汚染されましたが、実はそれが、今のウクライナ戦争の背景にもなっています。

それどころかそれは福島原発事故ー私たちの被曝にも深くつながっています。
チェルノブイリ原発事故は「他人事」ではないのです。私の、あなたの、大きな課題なのです。

チェルノブイリ原発事故 長周新聞より

● NHKETV特集『チェルノブイリ・汚染地帯からの報告(2)ウクライナは訴える』の衝撃!

この時期、ぜひご覧いただきたい番組の名をタイトルにしました。
https://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0923.html

見逃し配信で観れますが、タイトルを何回かググると動画が見れるかも。とにかくぜひご覧いただきたいです。
ここで取り上げられたのは『ウクライナ政府報告書』(2011年4月)。そこではものすごいたくさんの病が進行中であることが告発されていました。

ウクライナ政府報告書

その多くが放射線防護を取り仕切ってきた国際機関=原子力マフィアが認めてこなかったもの。つまり隠されてきた被曝の実相の一端が、暴かれたのです。
この番組は本にもなっています。『低線量汚染地域からの報告-チェルノブイリ26年後の健康被害』(2012年9月刊行NHK出版)です。これも参考にされて下さい。

● 『ウクライナ政府報告書』はウクライナの人々の叫びだった!

この『ウクライナ政府報告書』などについてまとめたNHK出版の書には、衝撃的な事実が書かれています。一つだけ挙げるとこんなデータが出ている。
「原発周辺の高汚染地域からの避難民のうち、慢性疾患を持った人は1988年には31.5%だったのが、2008年には78.5%に増加したという」(同書34~35頁)

ETV特集を書籍化した『低線量汚染地域からの報告』必読の書です!

こうした点を紹介しながら、この書はこう告発しています。
「ウクライナ政府報告書は、まさに被災国の叫びそのものだ。数多くの病気や死の存在を証明する手段を、事故後の大混乱や旧ソ連の情報隠しによって奪われ、国際社会から何度も『非科学的だ』と言われながらも、沈黙することだけは断固拒否したウクライナの人々の叫び」(同書41頁)

ところがこれを国際原子力マフィアが憎悪しました。ちょうど2011年3月に福島原発事故が起こり、大規模な放射能被曝が起きてしまったからでもありました。
『ウクライナ政府報告書』は、偶然にも福島原発事故に重なり、日本で起こり始めていた被曝の実相の預言書のような位置を持ってしまったのです。

ETVで示された『ウクライナ政府報告書』と『国連科学委員会』が取り上げる被曝被害のあまりの差異

● 2014年マイダン政変の背後にあるもの-放射能安全キャンペーンと立ち向かおう

僕自身もこの番組や同書に触れて戦慄しました。同時にこの被曝被害から人々を守ろうと心に決し、この情報を手に各地を飛び回っりました。
ところがそのウクライナで2014年に「マイダン政変」が起こり、『ウクライナ政府報告書』を出した政府が倒されてしまった。そして新政府はアメリカ寄りになり、これをよしとしない東部の人々と対立し、軍事衝突が始まって内戦になってしまった。

この背景にあったものこそ『ウクライナ政府報告書』潰しだったのではないか。チェルブイリ原発事故の深刻さが伝わり、福島原発事故と重なって、放射線被曝の実相が世界に明らかされることを押しとどめようとしていたのではないか。
そう強く思うのは、実際にこのマイダン政変の直後に、国連科学委員会UNSCERが「福島ではがんは増えない」と声明し、その後に福島市や郡山市に乗り込んできて、放射能安全キャンペーンを行ったからです。

そしていま、原発再稼働へ舵が切られるとともに、放射能安全キャンペーンにますます拍車がかけられている。その意味でまさに「チェルノブイリ原発事故は終わっていない」のです。
みなさん。これと立ち向かいましょう。その熱い思いを、今日この日にシェアしましょう。

なお、被曝から命を守るための努力の一つとして、5月12日(日)に、京都「被爆二世・三世の会」の年次総会と記念講演を行います。
チラシとイベントページのアドレスを示しておきます。ご参加・ご視聴をお待ちしています。
https://toshikyoto.com/wp-content/uploads/96c7980cf92d7a680a8107d730a94c37.pdf

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