守田です(20210826 12:30)

● 自然災害や原発事故から命を守るために

8月30日午後7時から8時半まで、このタイトルでzoomにてお話することになりました。
主催は、ヨウ素剤を配ってよ@福井のみなさん。連絡先は 090-5681-5437(佐々本さん) 090-2090-5848(宮崎さん)

以下のアドレスに申し込んでいただけると、開催日までにURLが案内されるそうです。
yousozaiplease@gmail.com

● 災害のあり方が変わってきている

自然災害を考えるときに大事なのは、気候変動の影響で、災害が深刻さを増していることです。
とくにここ数年、各地で堤防決壊が起こり甚大な被害が出ています。これまでの認識を大幅にあらためためる必要があります。

にもかかわらず災害への認識をそのままに、原発が動かされ、老朽原発まで再稼働させられています。
このことが自然災害対策を進める上での障害にもなっています。30日はまずその点について学びます。


2019年10月豪雨で計画降雨(堤防の高さを決める基準)が各地で突破された

● あらゆる災害に共通すること

これまで何度もお伝えしてきたように、あらゆる災害に共通する大事な問題は、災害を前にした人間の心理です。
私たちの中には「自分に不都合なことは認めたくない」心象がありますが、災害時にはこれが働きやすいのです。

咄嗟の時に、災害そのものを認めないことによって、心の平穏を保とうしてしまうのですが、これを「正常性バイアス」といいます。
このバイアスこそ、避難を進める上での最大の障害。あらかじめバイアスを除去しておくことが大切です。


福島原発事故後「放射能がくる」というタイトルで被曝の危険性を訴えたアエラ2011年3月28日号 しかし正常性バイアスのもと猛烈なバッシングを受け、編集長が謝罪に追い込まれた

● 「とっとと逃げる」ための準備を普段から

一番効果があるのは、普段から防災訓練などを行い、いざという時にどうするか決めておくことです。
風水害の場合には、早めの避難が大事。地震にはあらかじめ耐震対策を重ね、大きな地震の後は余震や次の地震を考えて避難すると良いです。

いずれの場合でも、危険地帯から「とっとと逃げだす」ことが最上の策。危険地帯から離れてしまえば、その分、安全マージンが増えるからです。
いざという時の避難先も決めておきましょう。親せきや知人と相互防災協定を結んで、互いを避難先としておきましょう。


2011年3月11日の津波時にとっとと逃げだした釜石東中、鵜住居小の生徒たち
群馬大学災害社会工学研究室ホームページより

● 原子力防災の要は放射線被曝の危険性を知ること

原子力災害の特徴は、飛来する放射性物質による被曝が起こることにあります。
このため「正常性バイアス」にかからないためには、被曝の危険性をきちんと把握しておくことが大切。

この点でぜひ知っていただきたいのは、広島・長崎の被爆以降、米日両政府によって、放射線被曝の被害が大変小さく見積もられてきたことです。
このため事故時には「少しぐらいの被曝なら心配いらない」などという言説が必ず飛び交います。これに惑わされないために被曝の危険性をしっかり把握しましょう。


セシウム137の積算沈着予想図 日本原子力研究開発機構作成

● ヨウ素剤配布で原子力防災意識を高めよう

原子力防災においては、被曝の過少評価に騙されないためにも、とっとと逃げる準備をしておくことが大切。
その際、ヨウ素剤を持っておくこと、配布しておくことには大きな意味があります。1つはいざというとき、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を防げるからです。

2つに安定ヨウ素剤を配る際に、飲むタイミングを知らねばなりませんが、このことで原発事故への理解が深まることです。
もちろん安全のためには原発をとめるのが一番ですが、多くの方が事故のリアリティを知ることは、原発ストップにもつながっていきます。


丹波篠山市で配布された安定ヨウ素剤、左は大人用2丸、右は12歳以下用1丸 守田撮影

● 行政での配布と自主配布と

ヨウ素剤配布はお住まいの行政によって行っていただくのが一番。たくさんの方にヨウ素剤がいきわたるからです。
また原発の危険性への認知度も、行政配布によってより広範囲で高まります。

同時にぜひ自主配布も進めて欲しいです。配布会は医師の協力があれば可能。コロナ禍で説明会をビデオ化したり、配布を郵送にすることも行われています。
両者ともに各地で進みだしているので、経験を交流してさらに広げたいです。

以上、アウトラインを書きだしましたが、ぜひ講演をお聴きになって、もっとリアルなイメージを持っていただきたいです。
あなたと、あなたの大事な方の命を守るため、ぜひご参加下さい。


丹波篠山市での安定ヨウ素剤配布会の様子 2017年10月 守田撮影

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