守田です(20210824 16:30)

8月1日から7日までの広島の旅の報告の続きです。

● 放射線被曝の遺伝的影響と立ち向かう!

8月3日、広島市で「被爆二世の課題を考える」討論会に参加しました。実に有意義な会でした。
明日に向けて(2082)で、その中で語られたAさんの発言をハイライトさせていただきました。被爆二世として背負ってきたものを、堂々と語って下さったからです。

ぜひ多くのみなさんに知っていただきたいのは、放射線被曝の遺伝的影響が確実にあるということです。
もちろん親の被爆のあり方もさまざまであり、かつ生まれ持った体質などの問題もあって、影響が強く出ている場合も、ほとんど感じられない場合もあります。
しかし影響が出ている事例を拾い集めてみると、さまざまな共通性が見られます。

それどころか、この遺伝的影響と向き合い、さまざまに立ち現れてくる症状と立ち向かい、対応し続けなければとても生きて来れなかったと言う方もたくさんおられます。
その点で多くの被爆二世が、今日まで放射線被曝の影響を乗り越え、命を長らえて歩んできています。

ぜひ京都「被爆二世三世の会」が進めている健康調査アンケートをご覧下さい。そこには初めて被爆二世として自らの身体に起こったことを赤裸々に書かれた森川聖詩さんの著書からの抜粋が行われています。
その上で「あなたに似た症状はありませんか?」と問いかけているのですが、いままで集まった90通弱のアンケートの中で多くの方が、同様の症状、あるいはそこに書かれていない症状などを書き連ねて下さっています。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf

8月3日の会も、こうした点を共有化して下さっている方が中心になって集いを持ち、その中でAさんの経てきた道のりをみんなで、心に染み入るようにシェアすることができました。
そんな中で、僕と一緒に京都「被爆二世三世の会」から参加された増田正昭さんの発言を次にご紹介したいと思います。

● 被爆者の声を念入りに聞いて肖像を書き続けてきたー増田正昭さんの発言から

母親と父親が入市被爆です。母親は広島市の出身なのだけれど疎開で呉市にいて、当日すぐに市内に入りました。
父親は軍隊にいて、市内に入った。実家は三次市です。でも一言も聴かないで死んでしまったので、これらの話はよそから聞いています。

私は被爆者の肖像を描いて絵画展を行っています。
被爆者の生き様を聴き取って書いています。今、生きている被爆者をそのまま描いてきました。その人がどう生きてきたのか。差別を受けたことなども。
ある方は16歳の少女の時にABCCに連れていかれ、体育館の中で目隠しされて裸をされた体験を語られていました。

被爆当時の体験は本当に過酷で「これはとても話せないんだな」と思うものも多かったです。
映画「ひろしま」はご存じでしょうか。あれを観たときに「すごい映画だな」と思いましたが、被爆者の方は「あんなもんじゃなかったよ。もっとずっとひどかった」と言われました。
とても映像にできるようなものではなかったのだと思います。
そんな被爆者を見てきたから、私には伝えるべきものがあります。

注記
増田正昭さんの被爆者展があけぼのパーク多賀で行われています。8日に増田さんと守田でギャラリートークの予定でしたがコロナで中止・・・残念でした。
でも展示は継続されています。8月29日(日)が最終日です。お近くの方、ぜひお越しください。


滋賀県犬上郡多賀町四手976-2 Tel 0749-48-0348
10時~17時半 土日は16時半まで 26日(木)休館日

● 「被爆二世というよりは被爆者だ!」

でも症状などを聞いていると自分の身に起きていることがたくさんある。
例えば自分も脳梗塞をやりましたけど、被爆者に同じ症状の方がいる。

昔は被爆二世という自覚はあったのですけれども、いまは二世というよりは自分は「被爆者」だと思うのですね。
自分にとって被爆二世という意味は、どちらかというと被爆者の第三者という表現というか、「被爆者を継承するもの」という感じだった。
でもそうではなくて被爆者そのものなのですよね。放射能の影響は二世に影響している。
僕もABCCに調査されたんです。比治山に連れていかれて。ちっちゃいころに。

実際は一世、二世関係なしに、放射能の関係では僕は一世なのですよ。(守田注 被爆当事者だと言う意味)
他人ごとではなくて自分自身の問題なんだ。
先ほど森川さんも言われていたけれど、今までだったら被団協でも、被爆者である一世を助けるのが二世だった。

そうではなくて、助けるとかではなくて、本当に自らが放射能に影響された一世(注 被曝当事者)のつもりで、運動していこうと思っています。どう発展していくかまだ分からないですが。
実際、年齢的にも、二世もそれなりの年齢になっていますので、時間は少ないですけれども、発想をそうやってかえて、やっていきたいと思っています。


2020年11月の個展で談笑する増田正昭さん オープニングWeb企画より 守田撮影
https://youtu.be/icRMQdcLZXI

● 被爆二世こそが被爆者運動の主役に

増田さんは京都に戻られ、京都「被爆二世三世の会」の例会で、8月3日の討論会の報告をされたときにこう語られました。
「私たち被爆二世が被爆者運動の主役になるときがきたと感じた。被爆者を助けることにとどまらず、私たち自身が放射能の被害との闘いを当事者として訴えなくては」と。
そうです。被爆者を助ける存在ではなく、あるいは助ける存在だけではなく、被爆当事者として、被爆二世、三世が声をあげる必要がある!

声を上げて被爆の実相を明らかにするととともに、被爆二世への国の謝罪としての補償、健康を維持するための医療などの保障、そしてもう二度と被爆者を作らない保証(核兵器と核発電の廃絶)を勝ち取らないといけない。
もちろん被爆二世、三世の命を支えるためにさまざまな知恵、工夫を紡ぎ出し、交換し、命を長らえるための努力も重ねる必要があります。
それらを含めて、被爆者運動の主役として被爆二世が登場していく必要があります。

そのもとで核実験のヒバクシャ、核工場や核発電による新ヒバクシャとの命を守るための連帯を豊かに強めていく必要があります。
当面は9月12日のzoom公開講座「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」を成功させることで次の局面を切り開きたいと思います。ぜひ講座にご参加下さい!
https://toshikyoto.com/press/6552.html

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