守田です。(20141120 18:00)

安倍首相が衆議院を解散することを宣言しました。新たな選挙が12月14日に行われます。

この安倍政権の突然の解散宣言に対し、野党は一斉に「大義なき解散だ」と叫びました。確かに解散に「大義」はありませんが、しかしこの間の安倍政権の政策のほとんどに大義などありません。そんな安倍政権にどんな「大義ある解散」ができたのか疑問に感じます。
肝心なことはこれから行われる総選挙の課題は、消費税増税延期への信を問うものなのではなく、安倍政権のこれまでの政治姿勢を問うことにあるということです。
なぜか。答えは単純。この政権が公約を著しく裏切ったり、公約に掲げなかったことをおし通してきたりということを繰り返してきたからです。他にもたくさんの嘘をつき続けてきた。にもかかわらず私たちは国政選挙という形での審判が下せずにきました。
今回の選挙ではこの間の安倍政権の国民的合意を無視した政策総体への信が問われています。だからこそ戦争と原発拡大の道への反対票を投じたいし増やしたいものです。選挙制度の限界を見据えつつも安倍政権をまっとうに批判する候補者を応援しましょう!

公約違反=裏切りの最たるものはTPPへの参加表明です。
前回の総選挙の時に自民党は何といったのか。「ウソつかない!TPP断固反対!ぶれない!」でした。
ためしに「TPP 自民党 ポスター」と入力して画像検索すると次のようなものが上がってきます。ぜひご覧下さい。
https://www.google.com/search?q=tpp+%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A+%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC&hl=ja&biw=1089&bih=473&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=CY5tVOzXOYXOmwWphIHYCA&ved=0CAYQ_AUoAQ

ここで問われているのは前回、このポスターの内容を信じて自民党に投票した方だということです。こんなにひどい嘘を許してよいのでしょうか。ご丁寧に「ウソをつかない!」とまで言ってウソがつかれたのです。
商品取引だったらこんなあり方は詐欺として告発されます。それが政治には適用されないのがあまりに理不尽なのですが、ともあれこの内容に基づいて自民党に投票した方はぜひ反対票を投じて欲しいです。あなたが騙されたのだからです。
もちろん自民党の議員の中に、本気でこの内容で行動しようとした方もいたと思います。しかし安倍政権は自民党員であろうと自分に逆らうものには徹底したいたぶりを続け、反対意見を封殺する政権です。
今、自民党に投票することはこの安倍首相の公約の裏切りや強権的なあり方に「信」を与えることになります。それは私たちの国をウソのつき放題の国に変えてしまい、激しい倫理低下をももたらし続けます。こうした状態に待ったをかける投票が必要です。

安倍政権の公約違反、公約にないことの強引な取り決めは他にもたくさんの例があるのですが、この点について「東京新聞」が11月19日付で実に的確な記事を出してくれました。
タイトルは「自民公約次々変質」。サブタイトルに「秘密法 記述なし⇒制定」「TPP 反対⇒参加」とあります。
ブログ「幸せの青い鳥」が記事の写真を載せているのでご紹介します。
東京新聞は適宜このような的確な記事を出しているのでみなさんに強く購読をお勧めします。僕も京都在住ですが、郵送で東京新聞を取り寄せて読んでいます。

ブログ 幸せの青い鳥より
http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/GALLERY/show_image.html?id=17053750&no=0

さて最も参考になるのは「自民党が前回衆院選で掲げた公約と現状」という表です。
以下、それぞれにどのような公約が掲げられたのか、それに対して現状がどうなのかを列挙していきます。

「経済面」
公約「デフレ・円高からの脱却を最優先に、名目3%以上の経済成長を達成」
現状「2014年7~9月期のGDP速報値は名目で年3%減(13年度は名目1.9%増)。円安は進んだが輸出は伸び悩み」です。

集団的自衛権
公約「集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定」
現状「基本法は制定せず、憲法解釈変更の閣議決定で行使を容認」

特定秘密保護法
公約「記述なし」
現状「国民の知る権利を損なう恐れのある特定秘密保護法を制定」

原発・エネルギー
公約「原子力に依存しなくてもよい経済、社会構造の確立を目指す」
現状「エネルギー基本計画で『原発は重要なベースロード電源』と明記。再稼働を推進」

公約「最優先課題として再生可能エネルギーの最大限の導入を図る」
現状「大手電力会社が、固定価格買い取り制度に基づく受け入れ手続きを中断」

TPP
公約「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対」
現状「『聖域なき関税撤廃が前提ではない』と交渉参加」

政治改革
公約「議員定数削減など国民の求める改革を断行」
現状「実現せず」

社会保障
公約「安心できる制度に向け、弱い立場の人にしっかり援助の手を差し伸べる」
現状「生活保護の日常生活費を15年度までに計670億円削減」

地方分権
公約「基本法制定後5年以内の道州制導入を目指す」
現状「法案提出に至らず」

基地負担
公約「沖縄をはじめ地元負担軽減を実現する」
現状「沖縄県名護市での普天間飛行場代替施設の建設を推進」

これらをみるならば、公約など何一つ実現できてないばかりか、TPPだけでなく脱原発の方向性も完全にうそだったことが明らかになっています。
さらに「特定秘密保護法」など公約では何も触れてないのに、多数を背景に強引に通してしまいました。これもある意味では公約違反の一つと言えると思います。
公約にないと言えば、原発輸出の積極的推進もその一つ。強引な再稼働の推進もそのための国外に向けた安全性のアピールのためという側面も持っているでしょう。
集団的自衛権についても「国家安全保障基本法を制定」と述べていた。つまり国会で論戦して法を作ると語っていたのに、世論の支持がないことを背景に閣議決定という事実上の密室審議で決めてしまいました。

このように安倍政権は明らかに公約違反のもとに、戦争と原発拡大の方向に走っています。
選挙にあたって、まず自民党や公明党の議員たちは、これら相次ぐ約束の不履行、嘘のオンパレードについて、きちんとした釈明すべきです。支持者の方もそうでない方もぜひこの点を問うて欲しいと思います。
とくに首相の嘘のオンパレードについてどう思っているのか。あれで良いと思っているのかどうかを問いただす必要があります。
明らかに安倍政権の行ってきたことは、民主主義の根本にある合議制の否定だからです。

これらのことからまっとうに考えるならば、今回の選挙で、どうしたって安倍与党を信任するわけにはいかないことは明らかだと思います。
ただしこの先は悩ましい問題が待っています。ではどこに投票するかです。
そもそも民主党もまた政権党になったときにほとんどの公約を実現できませんでした。また野党になってからも存在感を示しているとはまったく言えません。
第三極をめざしたみんなの党は解体を迎えています。維新の党はもともと安倍自民党よりも右寄りであり、なおかつ大阪府政、市政をもてあそぶ姿勢も許されないものです。

しかし今の日本の小選挙区制は、少数政党に極めて不利な歪んだ体制であり、自民党・公明党候補に、反対票を一本化しないとなかなか勝てない仕組みのもとにあります。
選挙制度が大きく間違っており、改革すべきなのですが、それが間に合わない現状では、与党を減らしたくても、対立候補もあまりひどくてなかなかすんなりと現政権への批判を投票に結び付けにくい仕組みがある。
だからといって、投票数が減れば減るだけ与党が有利になります。利権でがっちりと押さえ、嘘を言おうが何をしようが投票をする「組織票」があるからです。
またこのような状況に嫌気がさすがゆえに、これまで選挙にいかない人もたくさんいました。選挙制度が悪いからなのですが、しかしこのように選挙から人が離れることも党に非常に有利にできています。

その点で僕が呼びかけたいのは、死に票になることを恐れずに、ぜひとも選挙に行こうではないかということです。
どの党の誰にどういう観点から投票するのかはそれぞれで判断が分かれますが、しかしこれだけ酷いことを続けてきた与党に反対する票が少しでも増えることが重要です。
反対票が増えても議席に結びつかないのだとしたら、繰り返し、選挙制度の改革の声も上げて行くことが大切です。
一番、いけないのは無力感に陥ってしまうことです。

安倍首相は勝敗ラインを与党の過半数割れにおきました。過半数を下回ったら退陣すると言ったわけですが、その場合、与党は90議席をも減らしてしまいます。
これに対して他ならぬ自民党の中から「そこまで自信がないのか」「何十議席も失ってもよいと公言するようなもので撤回すべきだ」という声が上がっています。
なぜこのような発言が出てくるのかといえば、まったく論争相手を説得できない安倍首相は、株価や景気=お金による与党への支持だけをあてにしてきたからです。
しかしアベノミクスは完全に行き詰まるとともに、貧富の格差が開くばかりの現実が表面化してきました。そうすれば数々のウソもクローズアップされ、一気に仮称の「支持」すらが無くなることにさすがに気づいているのでしょう。

だからこそ私たちはできるだけ多くの人に、選挙にいって、戦争と原発拡大に向かう安倍政権への反対票を投じることを呼びかけていきましょう。
ただし忘れてはならないのは、この国の選挙制度の歪みのもとで、今回も必ずしも私たちの民意が議席数に反映することにはならないかもしれないということです。
では何が大切なのか。私たちの直接行動です。各地で100回を越えて行われている脱原発を訴えた「金曜行動」がその象徴です。
あれほどの圧倒的議席数を背景に、横暴を極める安倍政権とて、いまだに一つの原発の再稼働も実現できていないのです。なぜか。街頭に議席には反映しきれていない民意が厳然として表れているからです。安倍政権とて今の自分たちの議席数が民意を反映してなどいないことを知っているのです。

それらから私たちは、選挙制度の大きなゆがみをしっかりと見据えつつ、結果としての議席数に惑わされることなく、私たちの民意を表していきましょう。
そのためにも街頭行動、直接行動を一切、緩めることなく、さらに力強く担っていきましょう。
その中で、どこの党の誰であろうと、現在の国難に本当に真剣に向かい合おうとする候補者に目先の議席の獲得など度外視して、票を投じていきましょう!
いろいろな考え方はあるので尊重しますが、僕自身は「勝つための選挙」という数合わせ的な発想が好きではありません。真実を語る誠実な人こそがいつか歪みを破って勝てるようになることをめざし、純粋に支持出来る人にこそ票を投じようではありませんか。

最低限、この間、一番嘘をついてこなかった候補者に投票しましょう。
そのためにぜひ自分の選挙区の候補者がこれまでどのような言動をしてきたのかを調べて下さい。
嘘つきに投票するのは止めましょう。もちろん主張を変えること事態はあります。その際はきちんと主張を変えたことの説明を行っているかどうかが大事なポイントです。
民主主義を担うのは私たち一人一人。その自覚と誇りを持って選挙に行きましょう。行くことを訴えましょう!私たちの行動で下からこの社会を変えて行きましょう!