守田です。(20130919 18:00)

福井原発群の直近、京丹後に米軍基地が作られようとしています。Xバンドレーダーという、アメリカ本国に向かう弾道ミサイルを追いかけるレーダー基地で、完成されれば米軍と軍属160人が配置されることになるといいます。
これに対して、地元、宇川の人たちや、丹後半島、若狭湾周辺の方たちが、活発な反対運動を展開しています。京都市内からも呼応する動きが出ていて、明日、20日に市内で反対集会が開かれます。
しかし京都府知事が、府民に一切の説明もなしに受け入れに向かっており、今日、明日中にも了解してしまうかもしれないということで、府役所前で今、抗議の座り込みも開始されているようです。

僕もこの問題に、若狭湾周辺の方たち、「サステナわかさ」などに集う人たちなどが作った「8のわ」というFAESBOOK上のコミュニケーショングループに加わり、意見交換をしてきました。
そこで行われている署名運動や、チラシ作りなどに、ほんの少しですがお手伝いをさせていただいています。
今回は、このFB上で行ってきた対話の中で、僕が書きこんできた内容を紹介し、みなさんに原発の集中する地域への米軍レーダー基地建設の反対をともに訴えてくださるようにお願いしたいと思います。

以下、「8のわ」に投稿した内容を多少、修正してここに掲載します。(長いので2回に分けます。なおサブタイトルは読みやすいようにあとからつけました)

***

原発がたくさん海にあるこの国を軍事で守ることなどできない。憲法9条の完全実現の道しか現実的な選択肢はない!

ようやくこの間のみなさんの発言を読みました。
まだ十分にこの問題を把握できてはいませんが、大まかに感じることとして僕は米軍駐留反対から出発して、自衛隊の存在をも批判していくことが大事なように思えます。
京都府北部・・・というより若狭湾の安全を考えたとき、なんと言ったって、あの膨大な原発群が襲われないことが重要です。福島原発事故で分かったように、あんなもの、簡単に壊れます。原子炉が破壊されなくたって、プールに穴があいてしまえばそれで終わりです。しかも一か所でもやられて放射能が飛び出してしまえば、全員撤退しなくてはならなくなる。
要するに、とてもではないけれど、軍事的に守りきれるものではないのです。それをあんなにたくさん作ってしまった。僕はある意味、日本政府は実は北朝鮮をものすごく信頼しているのだと思うのです。よもや原発の攻撃なんかしないだろうと。実際、北朝鮮もまったくそんなことは考えていないでしょうが。

その点から言っても、若狭湾の安全、いや西日本の安全、それどころではない。日本とアジア、いや世界の安全にとって、絶対にこの原発密集地域を軍事的緊張におかないことこそが大切です。そのためにはアメリカ軍がリンクしている自衛隊だっていない方が絶対に良い。米軍のレーダー網の中に組み込まれているイージス艦もどかした方が良いです。
ましてや安倍政権は集団的自衛権の行使に動いています。どこかで自衛隊がアメリカ軍の展開に手を貸したら、どこでも報復を受ける可能性が出てきてしまいます。その際、原発群は標的としては恰好です。とても守りきることなんてできるわけはないからです。
現実にそんな攻撃を考えている人々など今は皆無だと思いますが、日本が非道な戦争を続けているアメリカに手を貸したら、反撃の機運もうまれかねません。しかし若狭湾に限らずこれだけ海寄りの僻地にたくさん作ってしまった原発を守りきることなどできるでしょうか。絶対に不可能です。

これは軍事戦略論からも言えることです。というのはかつてこの道の大家であるイギリスのリデル・ハートという人が、『戦略論』という本を書き、「非対称的戦争の論理」という概念を打ち出しました。たとえば中国に侵略した旧日本軍と、迎え撃った中国共産党紅軍(八路軍)の関係などがその典型です。
侵略軍である日本軍は広大な占領地を守らなくてはならなくなってしまったので、1年間365日、防衛戦が強いられました。これに対して遊撃戦というゲリラ戦法をとった八路軍は、365日のうちの1日だけ攻撃に成功したら勝利になります。これを「非対称的戦争」とリデルハートは呼び、軍事戦闘においては、防御の側に立つものが圧倒的に不利であることを主張したのです。
ベトナムに侵略したアメリカ軍がベトナム側のゲリラ戦に疲れ果てて敗北していった過程も同じ事が言えるし、アフガニスタンに侵攻したソ連軍の敗北も同じ構造からもたらされました。侵略地を守る側は365日、絶え間なく警備して「勝ち」続けなくてはならない。警備対象がたくさんあれば、その分、守りにさく力も大きくしなければならなくなります。防御に立つと圧倒的に不利なのです。

その点から、攻撃に非常に脆弱な原発が海沿いにたくさん立っている日本は、とても戦争などできない国なのだということを認識することが大切です。いや、国土が狭くて人口が密集している日本には、他にも攻撃に弱いものがたくさんあります。海側には各種のタンクも並んでいるし、攻撃目標には事欠かない。戦前の旧日本軍ですら、狭い日本本土の国防は難しいと考え、植民地を増やし、「絶対防衛ライン」とかを築こうとしたわけです。
これらから言えば、私たちの平和は、日米安保条約を離脱し、世界で無法に暴れまわっているアメリカと手を切ることの中でこそ大きくなります。何せアメリカは、「大量破壊兵器の製造」を口実に、実際にそんなもの持ってなかったイラクに武力侵略したような国です。そんなアメリカとの軍事条約こそが危険です。安保条約をなくして、代わりに平和友好条約を結ぶことが大切です。
再度、強調しますが、日本は今、瀕死の福島原発を抱えており、それ以外にも海辺にずらりと原発を並べていて、とても防衛などしきれるような国ではありません。だからこそ、世界に対して「攻撃しないでください」と言い続けるしかないのです。それが本当の「国防」の道です。だからこそ今こそ憲法9条の精神が大事なのです。憲法9条でしか、原発が林立する私たちの国は守れません。

ちなみに、原子力規制庁が出した原発災害対策には、原発が攻撃されたらどうするかを書いています。攻撃に備えて、今ある制御室とは別に制御室を作っておくのだそうです。でも本当に攻撃されたら、そんなところに人がいれるのでしょうか。あるいはその制御室も一緒にやられたら、もう終わりなのではないでしょうか。まさに絵にかいた餅の典型です!
しかも若狭湾には、いつも事故を繰り返している危険極まりない「もんじゅ」まであります。台風で土砂崩れが起きただけで孤立してしまうような半島の先にうじゃうじゃ原子炉があって、原発災害に備えて避難計画を考えても、とてもまともに逃げる道など確保できなような地域なのです。そんな若狭湾周辺に、これ以上に緊張など持ってこないでくれ!と私たちは叫ぶ必要があります。
いや福島原発事故がまったく収束の目途が立たず、常に危機に直面しており、さらにこれからどれだけの人材や予算を投入しなければならないかもわからない私たちの国に、さらに各地の原発を軍事的に守る余裕などさらさらありません。このリアリティの上にたって、真の平和の道を歩もうとの声をあげていきましょう!みなさま。いかがでしょうか・・・。

米軍基地の周りではどこでも性犯罪が多発!軍隊は性暴力と構造的にリンクしている!

8のわに投稿している女性たちから「米兵が来るとそれだけでストレスになる!」という書き込みがありましたが、まさにその通りです。これも大事な点なので少し掘り下げて論じておきます。

ここから述べることは、最初に沖縄の女性たちで作る「基地と軍隊を許さない女たちの会」の方たちが主張し始めたことなのですが、軍隊と性暴力には強い親和性があります。
というのは、アメリカ人とて平均的な若者は人を殺すことができないそうです。少なくとも大きな心理的な抵抗があります。軍隊はこの抵抗心をつぶして、人を殺人マシーンに変える組織です。
そのために兵士の中の心の中にある「お母さん」を殺すことが問われているそうです。なぜかというと、人は、とくに若者は、「こんなにひどいことをしたらお母さんはどう思うだろう」という思いが、暴力への心理的なストッパーになっているのだからだそうです。

そのために心の中の母を殺す。そのことが女性の尊厳に対する侵害につながり、ひいては性暴力に発展しやすいというのです。
ただし最近では米軍は兵士=男性ではありません。女性兵士もたくさんいます。アフガン戦争やイラク戦争の中で、米軍の中にはものすごい性暴力がはびこっているのですが、その中には女性上官が男性兵士に性暴力をふるうことも含まれています。
僕はこの場合も、彼女の中のお母さんが殺されてしまったのではないかと思います。「基地と軍隊を許さない女たちの会」は、このことに気がついて「基地」だけでなく、人間を殺人マシーンに変える「軍隊」という組織そのものを許さないという立場をとって活動してきています。

ちなみに、こうした米軍の姿をリアルに撮った映画に『フルメタル・ジャケット』というものがあります。必見です。前半で兵士たちの訓練シーンが出てくるのですが、教官をしているのは役者ではなく、もともとは演技指導に来ていた本物の教官です。
なぜ本人が出演することになったのかというと、訓練の中で、ものすごいスラングを使って兵士たちを罵倒し続け、それに「イエッサー」と言わせ続けるのです。もちろん母親への罵倒もすごい。そこに性的な表現が混じりこみます。
実はこれを聞いた役者さんが、「道義的に言って、とてもそんな言葉は自分は言えない」ということになり、本物の教官の登場になったとのことです。(だから必見といってもみるのが苦痛な方もおられると思います。字幕で見る分にはともかく、とくに英語の堪能な方には辛いかも。)

ともあれそれらから、普通の良き若者だった人物が、軍隊に入ることで人格を変えられ、歪んでいってしまいます。そんな人々がそばにいるだけで、ストレスだけでなく、身に危険があるのが当然です。
その証左にアメリカはOECD諸国の中で、外を歩いていて、銃で殺される確率が一番高い社会です。これに対して、もっとも低いのは、軍隊がまだ人を殺してない私たちの国、日本です。町を歩いている人々の中の、殺人経験者の率が圧倒的に少ないからこそです。
こうした軍隊と暴力の問題、性暴力の構造からも、軍隊を近づけない方がいい。この点も非常に重要です。

(対話の中で、映画『ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ』も必見だと教えてもらいました。戦争大国アメリカの現実を描いてきた藤本幸久監督が、アメリカ海兵隊の新兵訓練に迫るドキュメンタリーだそうです)

続く

***

なお、レーダー基地反対のための行動を紹介しておきます。1つは署名。もう1つは明日、20日に京都市で開かれる集会です。良ければご協力を!

京丹後(京都)米軍レーダー基地計画を考えなおしてほしい!
http://goo.gl/LL5JSg

【9月20日】
****************************************************
京都に米軍基地はいらない!9・20緊急集会
~止めよう経ケ岬のXバンドレーダー・危険な戦争準備を許さない~
****************************************************
■日時 9月20日(金)午後6時30分~9時
■会場 キャンパスプラザ京都 第四講義室
      (京都駅から西へ徒歩5分) 
■参加費 500円

■主内容 丹後のたたかいの報告と住民からの訴え 
  9月7日・8日のフィールドワークの報告 
       これからのたたかいの課題・方針の提起など
■主催   緊急京都府民の会南部連絡会 http://no-xband-radar.jimdo.com/

◆ 京都に建設されようとする新たな米軍基地
京都府北部の丹後地域は、豊かな自然に恵まれた地域で、多くの人々が自然と共生して生活してきました。
ところが日米両国政府は今年の2月、丹後半島の最北端にある京丹後市の経ケ岬に約160人の米軍・米軍属が常駐する新たな米軍基地を建設し、Xバンドレーダーを配備すると発表しました。
経ケ岬のXバンドレーダーは、グアムの米軍基地を攻撃する弾道ミサイルの迎撃を目的としたもので、日本の防衛とは何の関係もありません。京都府北部には、イージス艦が配備された海上自衛隊の舞鶴軍港が存在しています。
このXバンドレーダー基地が建設されるならば、京都府北部の軍事化、戦争態勢が一挙に強化され、東アジアの軍事的緊張をさらに高めるものとなることは明らかです。

◆地元の住民の不安と怒り
京丹後市をはじめ丹後の人々は、この新たな米軍基地建設に大きな不安を抱いています。豊かな丹後の自然や漁場が破壊され、強烈な電磁波によって危険にさらされるのではないか。
米軍や米軍属による事故、犯罪が起こっても、日米安保にもとづく日米地位協定によって米軍や米軍属が特権的に保護され、住民の生活と命が脅かされるのではないか。
戦争が起これば、この米軍基地が攻撃の対象となり、丹後の多くの人々が犠牲になるのではないかと。まさにあたりまえの不安です。
8月7日に地元で開催された京丹後市による説明会では、住民の不安と怒りの声が噴出し、Xバンドレーダー基地建設に反対する意見が次々と表明されました。

◆ 私たちの声と行動で新たな米軍基地建設を止めよう
私たちは、このような丹後の人々としっかりと結びつき、Xバンドレーダー基地建設を中止させるために力を合わせていきたいと思います。
防衛省は関連自治体や地元住民にXバンドレーダー基地の受け入れを迫り、京都府知事や京丹後市長もまた、条件付きで受け入れるという意向を示しています。
事態は緊迫しています。この新たな米軍基地建設をとめることができるのは、私たち一人ひとりの声と行動だけです。
ぜひ、この9月20日の集会にご参加ください。平日夜の京都での集会ですが、京都のみならず大阪・兵庫・滋賀・奈良など関西各地からのご参加をお願いします。

緊急京都府民の会南部連絡会 
共同代表:大湾宗則・白井美喜子・上岡修・仲尾宏