守田です。(20130502 22:00)

半断食道場6日目の夜です。ついにここでの生活も最後の一日になりました。今日はロードワークのあとにスイーツが出ました!!スイーツといっても砂糖類は一切、入っていません。りんごの自然な甘みと、ライスドリーム(玄米から作ったミルクのようなもの)などのほんのりした甘み。それのおいしいことなんの。
夕食には、細いうどん?と玄米海苔巻きも出ました。とにかくとてもおいしくいただきました!もちろん200回噛みながら。麺は100回ですが・・・。

さて、前回のルポで、この道場で教えられていることが、食べ物の選択権を天から与えられている私たち人間が、それそれの人生の目的に合わせつつ、正しい食べ物の食べ方をしていけばいいこと。それを身体で知っていくことが大事であることであることを書きました。
しかしそれだけでは、私たちには選択にあたっての判断基準がありません。そこで翌日の講義では「マクロビオティック食事法ガイドライン」が話されました。

これは人間の歯形から、生命体としての人間にとって何をどう食べるのかが、自然のバランスにかなっているかを編み出したものです。これを食のピラミッドといいます。まずはこれで、人間にはおおまかに何をどれぐらいの割合で食べるのが自然なのかを知っていこうというわけです。

もちろんその割合には幅があります。生命体としての私たちの基本を崩さない限りにおいて、そこに選択の自由が生まれるわけです。こうした自由を行使するためにも、まずは人間は何をどう食べてきた生き物なのかを知ろうということです。

以下、講義内容をお届けします。(なお講義では、食べ物のピラミッド図が配られました。スキャンニングができないのでここでは割愛し、必要に応じて文章で補います)

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半断食道場講義 マクロビオティック食事法のガイドライン(温帯性気候用)(4月30日)
橋本宙八談
ノートテーク 守田敏也(小見出しは守田)

1、人間はどんな食べ物を食べてきたのか
人間とはどんな食べ物を食べてきた生き物なのか。一つの目安として、人間の歯の形から導き出した割合が見えてくる。
人間に臼歯が20本、門歯が8本、犬歯が4本ある。
全ての動物は、それぞれの命に適した歯形を持っている。その形をみれば、どんな食べ物を食べてきた動物かが見えてくる。人間も同じだ。

臼歯は穀物をすりつぶす歯だ。最も多く、人間が主に穀物を食べてきていることがわかる。これはどこの国でも同じだ。人類という生物の種の一般的な食べ物 は穀物だ。
門歯は、薄くてとがった歯だ。食物の繊維を噛み切る歯。これで植物を噛み切ってきたことが分かる。
犬歯は硬いものを噛み千切る歯だ。上下に2本ずつ4本ある。肉の繊維などを噛み切ってきた歯だ。

割合で言うと、臼歯5、門歯2、犬歯1で、これが生物としての人間のバランスだ。ここから日常の基本食として、全粒穀物が40~60%、野菜20~30%、豆および豆製品が5~20%を摂り、果物や魚介類、ナッツ類、甘味などを週に数回程度、肉、卵、乳製品を月に数回程度摂るのが、もともとの人間という生命体にとって、いいバランスであることが見えてくる。

2、ベースになるのは全粒穀物、次は野菜
食べ物のピラミッドについて、詳しく見ていこう。
ベースになるのは全粒穀物だ。これが日常(基本食)の40~60%を占める。
全粒穀物とは、大地に撒けば芽が出るもの。玄米、麦、雑穀類などだ。
これに対して、白米は玄米を精製したもの。本来のお米は玄米のことだ。
日本の文化はもともとは玄米文化だった。

白米を食べてもかまわないけれど、完全な穀物としては玄米の方がいい。ありとあらゆるものがバランスよく入っている。
全粒穀物は、粒で食べてもいいけれど、粉でもいい。麺にしてもいい。できるだけ真っ白くするより、黒っぽいほうが理想的。穀物をダイレクトに食べてもよいし、加工して食べてもよい。これが食べ物の主食、中心になるといい。

次は野菜。20~30%は欲しい。それのオーガニック、無農薬、できれば無肥料で作られたもの。その野菜が、生命エネルギーが一番ある。
農薬をかけると本来の野菜の生命力を持たなくなってしまう。スーパーで買った野菜では食べても元気にならない。自然のものと味がまったく違う。栄養分も科学的にみればある程度は含まれているかもしれないけれど、これまで述べてきた生命エネルギーの面でいうと、きちんと含んではいない。大事なのは、自然界のエッセンスがいっぱいつまったものを食べることだ。

3、旬のものを食べる意義
それをできれば旬にあわせて食べる。春には春のものを、夏には夏のものを。
それを一物全体、丸ごと食べる。全体で一つ。
皮をむいて食べると栄養素が失われてしまう。全部食べるのが、本来の野菜の食べ方。皮にはうまみ成分がある。あくも上手にうまみに転化することができる。

旬のものを食べるのは、命と自然界を調和させることでもある。春に夏のものを食べれば、体の中だけ夏になる。それではずれができる。自立精神がくずれてしまう。日本にいながらアフリカのもの、果物をたくさん食べれば、体を冷えてしまう。

ちなみに野菜より少なく、週に数回程度摂るといいののとして果物がある。果物については、肉をばりばり食べる人が、食べるのは良い。肉が熱をもたらすから果物で冷やす。しかし血圧を維持したいときなどに果物をどんどん食べると、その作用で体が冷えてしまう。こうしたバランスを考えることが大事。

日本人はそうやって玄米を中心に野菜などを食べてきたが、今はスーパーにいけばなんでもおいてある。そのために自律神経がおかしくなってしまう。外側の世界と内側の世界をアジャストするのが自律神経なのに、違う季節のもの、気候のものをたくさん体内に取り入れてしまうからだ。

4、昼夜で変わる人間の身体
人間は、昼間は外に気が向かう交感神経が働いている。夜は体の中心に気が向かう副交感神経が働いている。
昼間は太陽が出ている。気のエネルギーが太陽にひっぱられる。交感神経が働く理由。活発になる。動く。仕事をする。
夜は太陽が反対側にいく。太陽が出ていると起きあがるが、太陽が出ていないと反対側にエネルギーがひっぱられるので、立っていられなくて横になる。締まる神経である副交感神経が働く。体をおとなしくさせる力がはたらく。

午前中は体の中のガスが出る段階になる。排毒の時間。それで取り込んだ毒素によってトリップする。アルコールの場合は二日酔いになる。甘いものを食べている人はだるくなる。
午後1時から夕方は水の排毒の時間だ。

夜は陰性の世界。家に帰って静かにする。ちなみに半断食の後半は夜が寝れなくなる。陽性のものを拝毒する時間だからだ。

夜眠れない不眠症の人は、身体を締まる性質のものを食べ過ぎている。肉、魚、塩気のあるものが多い。このため、寝れない場合は、果物や野菜をとるといい。朝ぼっとしているのは甘いものを採り過ぎているからだ。

人間の体は太陽の動きに合わせて動いている。このため、特に病気になって大事なのは早く寝て、早く起きることだ。自律神経がどの臓器も動かしているから、自律神経にとってバランスのいい生活の仕方をすることが大切なのだ。

5、漬物、豆および豆製品、海藻
全粒穀物、野菜ときて、野菜の横に(ピラミッドでは)漬物と書いてある。
なぜ漬物が大事か。日本人はこれを食べているから長寿なのだ。
日本は世界で一番漬物が多い。塩漬け、酢漬け、その他いっぱいある。そのためとくにヨーグルトなどを食べなくてもいいものが多い。これらを野菜についで食べるといい。

ただし売っているものはいろいろな添加物が入っていてだめ。無添加のものを選ぶが自分で漬けて食べる。良い漬物はお腹の善玉菌を増やしてくれる。これで免疫力の強さも決まる。少し塩を加減したものがいい。

ピラミッドでは、その上に豆、豆製品がおいてある。(5~10%)
植物性のたんぱく質はアルカリ性で、動物性のものは酸性だ。そのため動物性のものを食べると、吸収するときにガスが出たり、繊維がないので宿便としてたまりやすい。そのため健康の視点からは、植物性のたんぱく質を摂るといい。。
納豆、湯葉など。醤油もそう。それらが長寿を支えている。

その横にあるのは海藻だ。ミネラル=微量元素がたくさん含まれている。
現代はミネラル不足だ。ミネラルを消すものをたくさん摂っているためだ。
とくに砂糖はミネラルを溶かしてしまう。清涼飲料水など砂糖が多い。これらを摂ると、その分、身体からミネラルが奪われる。化学物質もミネラルを減らす。栄養ドリンクも化学物質が多いので同じ効果をもたらす。

ハーバード大学のデータがある。A アメリカ人の普通の食事、B 乳製品を押さえた食事。結果はAの方が骨粗しょう症が多かった。牛乳からカルシウムが入りすぎて、他のミネラルが奪われるためだ。
栄養ドリンクも、体が自分の力で栄養分を作りだす機能を衰えさせてしまって、健康のはならない。
腎臓悪くして透析を行うと、腎臓がはたらかなくなるのと同じで、機能が必要になくなると、その機能は衰えていく。

6、調味料 卓上菜、植物油
今述べてきたものの上にあるのが、調味料、卓上菜だ。
これらはできるだけ自然なものを使って欲しい。スーパーで売っているものには薬品が入っているものが多い。体に悪い。いい調味料を取る。
ご飯で補えないものを、食卓の上においておく。ふりかけ、ごま塩、梅干などが良い。

次は植物油。動物性の脂は酸性食品のため、コレステロールになりやすい。植物油の中では、ごま油、菜種油、オリーブオイルが良い。ここまでが日常の基本的な食事に必要なものだ。

7、果物、魚介類、ナッツ類、甘味(週に数回程度)「
続いて果物。土地のものを食べる。りんご、すいか、みかん、かきなどが良い。日本に採れないものをあまり食べているとバランスが崩れる。
季節のものをとる。上手に採るといい。

日本は魚介類を世界で一番食べる国。食べてもいいが採りすぎると問題が出てくる。赤身と白身を比べると、赤身の方が分子が大きい。長く食べていると腎臓のめづまりを起こすことがある。白身の方が体に優しい。その辺を気をつけて食べる。

魚を食べるときは毒消しを食べる。
焼き魚には大根おろし、生はわさびがついている。そういう食べ方だと魚にある毒素が中和される。魚の陽性の強さ(温める力、締める力)に対して、陰性のもの(冷やす力、緩める力)のあるものがついている。
このため、寿司を食べるならガリも食べる。魚を食べるときは2、3倍の野菜を一緒に食べるとよい。

ナッツ類。
次の生命をきちんと生み出してくれるもの。ダイレクトに食べるのは力になる。しかし油が多いものをたくさん食べ過ぎると良くない。体のパワーをほしいときはナッツを食べる。もともと仙人食だ。

甘味、甘みのもの。
精製している白砂糖はだめ。精製していない甘みを時々食べるのは良い。
テンサイ糖、黒砂糖、メープルシロップなどが良い。これらは週に数回程度。バランスよく。

8、乳製品、卵、鶏肉、肉(月に数回程度)
もともとはご馳走食。時々食べるのはいい。しかしご馳走ばかりだと体を壊す。
楽しみのために時々食べるのはいい。
先進国は豊かになり、毎日、これを食べるようになり、食べ物のピラミッドが反転してしまった。そのためにいろいろな病気が出ている。

9、そのほか
こういうピラミッドでふだんの食生活が守れていけば、体を守れる。ベジタリアンでいくかどうかは、その人の人生のあり方、目的の問題だ。誰にも大事なのはここで述べてきたバランスをとることだ。それに踏まえて補足したい。

スープ。
一日1回か2回。あるいは週に数回。穀物、野菜、海藻などを具に。

水。
普段の湯茶には刺激のない飲み物(番茶など)を。
水道水は悪いので、いい水を飲む必要がある。水毒をどう出すかのことでもある。そのため半断食では水を我慢してもらっている。水を多く採ると身体の深いものが出ない。
とにかくいい水を飲む。浄水器をかけてもだめ。本来の生きた水がいい。本当は湧き水が一番。井戸水もいい。

食物の質。
有機栽培で自然に作られているものを選。
火の質も大事。一番エネルギーをあたえるのは炭、次は薪、ガス、電気の純。電子レンジはまったく別物。体を温めない。体にはよくない。

熱はとても大事。
病人は、炭、薪の火でつくったものがよい。

食べ物のピラミッドは、気候、環境、文化、民族的伝統、性別、年齢、活動量、コンディションによって変わる。
このことを踏まえた上で、これらを日ごろの参考にするといい。