守田です。(20130506 23:30)

半断食道場参加ルポもいよいよ終盤を迎えつつあります。今日は毎日の講義とは別に行われたミニ講義の中から、「「食箋」という手当法」をお届けします。タイトルは僕がつけたものです。
食箋=しょくせんとは、もともとは、ひとりひとりの体質や抱えている病の症状に合わせて食べ物を指導すること。薬を出すのが処方箋であることに対して、食材を示唆するので、食箋であるわけです。
ここからさまざまな怪我や病いに対して、これこれこうした食材をこのように使うといいという知恵がたくさんあるのですが、今回はその中でも手頃に行えるもののいくつかを紹介していただきました。

その際、これまで紹介してきた陰陽論に基づいた実践的な知恵が縦横無尽に駆使されています。陰性のものの取りすぎてでてきた痛みには陽性のものを使うなどです。反対もあります。
また調合するときに、地球の自転を考えて、左回しにするといいというのも面白い。実際にさまざまなものをこねるときに、左回しと右回しを行ってみると、違いがはっきりと分かるといいます。

僕自身はまだこれらのことを実践したことがありません。ただロードワークで前から痛めていた左膝に痛みが出てきたとき、「ごま生姜油」をねってくれて、それを塗ったら実際にすぐに痛みが引いたのでびっくりしました!
それで完全に治ったわけではなく、痛みが繰り返しもしたのですが、明日香村にいたあいだは、痛むとこの油を塗りこむことで、なんとか足を持たせることができました。

今後、ここにあげられたものを試してみたいと思いますが、数々挙げられたものの中でも、「へえ」という思いを禁じ得なかったのは、「認知症でアグレッシブになっている人」などに効くというシイタケスープの効能です。
シイタケは陰性のもので、冷やす、緩める効果があるわけですが、そのため「怒り」「いらいら」などを鎮めてくれるというのです。寝返りが多く、怖い夢を見る場合などにも効くそうです。
私たちの日常は、社会の乱れの中で、さまざまな「怒り」「いらいら」を持たざるをえず、それ自身にまた苛まれる面がありますが、そんなとき、シイタケスープを飲んでみたいもの。

そうでないとどうしても、同じく陰性で、緩める効果のある甘いものやアルコールに手が伸びてしまうわけですね。甘いものも、メイプルシロップとか、ミネラルをきちんを含んだものなら身体に悪くはないですが、お菓子として売られているものはみな精製された白砂糖がたくさん使われていて、ミネラルがはぎとられています。
そのため糖分の代謝のために、体がからミネラルを奪われてしまうので、構造的にはさらにストレスを増やすことになってしまう。アルコールも適量で止まればいいですが、飲み過ぎるとさまざまな弊害をもたらしてしまいます。
だからまずはシイタケスープで怒りを冷ますと良いかもしれません。

これまで述べてきたように、このような食材の効果は、それぞれの人の体質、普段食べているものとの関係でも決まってきます。だからそれぞれでぜひ試してみて、自分に何が、どれぐらいの量で効くのか、効かないのかということを知っていくことが大切だと思います。

以上に踏まえ、ミニ講義「「食箋」という手当法」をお届けします。
なお今回は、同じく何回か行われた橋本ちあきさんのミニ講義「おいしいおじやの作り方など」も、書き加えておきます。ちあきさんは他にも数回お話してくださったのですが、うっかりノートを取り忘れました。む、無念・・・。

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半断食道場ミニ講義 「食箋」という手当法(5月1日)
橋本宙八談
ノートテーク 守田敏也(小見出しは守田)

1 怪我や病を食材で治す!
こういう食事をしていると、怪我や病気に対して、ありふれた食材を使って治す方法を知ってくる。その辺を話したい。
我が家の場合は、家族8人で、20年近くいわき(注 福島県いわき市)の山奥にいた。かかった医療費は限りなくゼロに近かった。お産も自分たちでやった。
こういう食事をしていても、怪我や病気になることがあるが、だいたい食材で治した。お金がかかったのは歯医者さんの治療費ぐらいだ。
現代は医療費に毎年ひとり30万円ぐらい使っている。このたべ、70歳以上で1年間病院にかからなかったら10万円くれるそうだが、こうした点で我が家は、医療費を使わないことで、かなり社会に貢献している。

これからの時代はより厳しい時代になる。そのために自分が病気になったときにどうするかの道筋を考える必要がある。信頼できるお医者さんを持つこと、東洋医学で治す道をみつけること、そして食事療法がある。
現代医学には素晴らしいことがたくさんあるが、それでは対処できないものもたくさん出てきている。そのためこれからの医療では代替医療が重要になる。多くは自然療法だ。
西洋医療はここ200年ぐらいで発達した。東洋医学やその他の地域医療は、それぞれが2000年以上の歴史を持っている。注目されるのは当然だ。
そのため自分の場合はどうするのかの方法を決めておくといい。かかる前からどうするかを考えておいてほしい。

2 マクロビオティックの食事療法
海外でもこうした動きは出ている。アメリカの国民のかなりの人たちが、医療費高騰の中で、代替医療に注目している。
その中でも食事療法がいいという人が相当のパーセンテージになる。世界的に注目を浴び始めている分野である。私たちの家族の例をみても、かなり医療費を倹約できる。
健康の自己管理を目指してみて欲しい。そのために、普段よく使う食箋(注 食材での手当法)についてお話したい。

(1)梅生番茶
梅と生姜を入れた番茶のこと。

作り方
梅干中くらいを一個を茶碗の中に。ねり梅を使ってもいい。小さじ半分ぐらいがいいが厳密でなくていい。梅干の場合は種と果肉を分けておく。醤油を小さじ一。ぐちゅぐちゅとまぜる。ここに生姜のすりおろしを入れる。小さじ半分ぐらい。これも量は好き好きでよい。これをすり合わせ、熱い番茶を注ぐ。これだけ。

陽性な飲み物。ゆるんだ臓器を締める。解毒効果もある。頭痛にも効く。
頭が痛いとき、前頭部や側頭部の痛みは、甘いものや薬物などの影響で出る。そういうときは効果がある。左の頭の痛みや二日酔いにも効く。

左目が痛い場合もよい。緑内障の場合も良い。
鼻の痛み、鼻炎、蓄膿症にも効く。のどの痛みにもいい。扁桃腺がはれた場合など。
口の中を噛んでしまったときにもいい。粘膜がはれているのでかみやすい。そういうときはいい。
これに対して、同じ頭痛でも後頭部が痛いときは、締まる効果によって痛んでいるので、それを緩めるものがいい。野菜スープなど。
白内障の場合も野菜スープが良い。

肩こりに対しても効くが、右と左で違う。左の肩は陰性のものの食べすぎで痛い場合がある。それには効く。右の場合は、陽性のものでなる。両方の場合は、大根おろしをいれて呑むと良い。

せきが出たとき、ゴホゴホするのにもいい。潰瘍などで胃が痛いときにもいい。

便秘の場合。緩んで冷えてでない場合と、締まって出ない場合ある。
冷えて緩んでいる便秘には効く。アルコールで緩んだ場合にもいい。
血圧の低い人、貧血の場合、心臓肥大にもいい。生理痛にもいい。
だらんとした長く続く痛みの場合に効く。そういうものに効果がある。

(2) シイタケスープ
干しシイタケを使ったスープ。タンパクを分解したり、血圧を下げる効果がある。高血圧の人にいい。

作り方
乾燥したシイタケを4個から5個ぐらい、3カップぐらいの水に入れる。30分か1時間おく。色が出てくる。それから火にかける。煮出していく。そうすると3分の2ぐらいまで残る。茶色っぽい色が出てくる。そこに醤油を小さじ一入れる。一煮立ちさせる。

後頭部が痛いときはシイタケスープがいい。右肩が痛いときも良い。
アトピーなどで発心が出てかゆくてしかたないとき、熱を下げるとき(38度以上)によい。
高熱のときは、かっかしている原因を取り除かなくてはいけないのでシイタケスープ。熱が低いときには梅生番茶。

年中いらいらしている人は肝臓がはれている。これにもシイタケスープが良い。
認知症でアグレッシブになっている人などにも効く。
夜中の歯軋り、不眠症にも良い。緩んで眠れる。
歯軋りはエネルギーがあまりすぎて起こっている。肝臓が充血を起こして力が入る。こういう場合、寝返りが多くなり、怖い夢や激しい夢をみる、それにもシイタケスープがいい。

(3) クズ湯
くず粉 くずの根っこから抽出したデンプン。昔から山伏が滋養強壮に使っていた。

作り方
クズ湯で飲ませる場合は小さじ1、ワンカップの水に溶かして中火で火にかける。ゆっくりかき混ぜる。左回しがやりやすい。地球の自転と反対にすると分離しやすいため。だんだん透明になり、粘りが出てくる。生臭い匂いが消える。そこまで火にかける。場合によって醤油、塩を加える。

クズ粉は整腸剤。皮膚に問題がある人はこれを飲むといい。肌荒れに効く。
アトピーにもいい。潰瘍ができた場合もいい。
解熱効果もある。微熱の場合。体を温める。微熱が改善される。体の冷えを治すときは醤油、塩がいい。
便秘を改善する力がある。

とくに効果があるのは梅生クズ。クズは質が良いと溶けやすい。
赤ちゃんの発熱などにクズ湯がいい。味をつけない。

消化器系の病人、流動食などのとき、クズユから食べさせるといい。お腹を切った人など。
野菜スープにまぜるとクズのあんかけ風になる。便秘にいい。肌がよくなる。
お腹にやさしい。カチカチの便秘にいい。

(4) ごま塩
止血剤になる。どういう出血でも対応できる。

作り方
ゴマを炒って、塩を炒る。それで塩をすり鉢でする。ゴマを入れて、塩をかけてすりこぎ棒ですりつぶす。このときも上から見て左回しで作る。

使い方
小さじ1杯ぐらい(血の出方によるが)お茶に入れて飲んでもいいし、オブラートにくるんで飲んでもいい。大出血も止まる。止血の場合は黒ゴマがいい。
普段食べるごま塩はゴマが8塩が2といわれていたが、それだとちょっと辛すぎる。好みに合わせて9対1でも10対1でもよい。
止血で使うときは最低8対2、7対3でもいい。

(5)レモン
頭が痛いときは眉間をこすってもいい。油消しになる。油をとり過ぎたらレモンを少しとる。筋肉がはっているときもいい。

(6)キャベツ・豆腐
熱がでたとき、キャベツの葉っぱをひいて頭をおく。おでこに貼るのもいい。
青菜の冷たさが無理なく熱を引き出してくれる。
豆腐でもいい。薄くきってはる。熱を下げる力がある。打ち身にも効く。

(7)しょうが油
筋肉痛、はげも治す!怪我のあと。喘息のときは胸に。

(8)ごましょうが油
打ち身、捻挫に効く

作り方
生姜の汁、そこに同量のごま油を入れて指でかき混ぜると粘ってくる。
それを患部に塗る。

以上

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半断食道場ミニ講義 おいしいおじやの作り方(4月30日)
橋本ちあき談
ノートテーク 守田敏也(小見出しは守田)

1 おいしいおじやのつくりかた
入れるとおいしいもの
ごぼう れんこん にんじん だいこん
プラス季節の野菜
さといもがはいるととろみがでる。

最初になべでよく煮る。さといもは崩れるのであとに。
野菜を入れたあとに出汁。
出しじるか、ほししいたけ、こんぶ

やわらかくなったらさといもをいれて、それもやわらかくなったら、塩をちょっと。そのあと醤油を入れる。味をみたときにしょうゆ味が濃いぐらい。
塩は野菜のうまみを凝縮するもの。ちょっと。塩が必ず先。

醤油も少しずつささない。同じ味を作るのにもたくさん入れることになる。一気に入れたほうがいい。
お玉にとっておいてドボっと入れる。
それで5分ぐらい煮る。濃い味のお汁ができ(そのままで飲めないぐらい)
そこにご飯を入れる。汁の2、3センチしたぐらい。
弱火でことことにる。20分ぐらい。
そのときにネギ、ワカメを加える。
まぜない。
ちょっとこってりしたかったら、最初の野菜を油で炒める。

2 おいしい味噌汁のつくりかた
こんぶとしいたけがだしの基礎。
ごぼうも出汁になる。他に切り干し大根の出汁。れんこん。いりまめ。
あくは基本的にとらない。あくも転換させればうまみになる。
おいしいのは単一の味噌を使わない。それを混ぜる。

3 食事を食べるときに気をつけたいこと
これまで私たち(注 宙八さんやちあきさんのこと)は、生物としての人として力をいかにひきだせるかを知ろうとしてきた。ところが意識が食べ物だけに集中し、大きなビジョンを忘れてしまうと非常に苦しくなる。日々のビジョンの中で食べ物という道具を使って欲しい。
そうしないとかえって自分を追い詰めてしまう。葛藤が大きくなる。問題は何を食べたらだめだとかいうことではない。人間が本来、持っている普通の力を引き出すことにある。
例えば、玄米菜食の生活をすれば、自然出産をできるというわけではない。自分が自分の理想と身体の関係を、どれだけつめていけるかにかかっている。その辺のことをとばしてしまって、これを食べればこうなるというのではダメだ。

食事を選択していくのは、自己責任を持っていくことだ。そうしようという覚悟を持ちながら生きる。そのほうが面白い、楽しいと思えたらそうしたらいい。自分の人生を自立させていける生き物になろう。
どのような選択をしても、いろいろな波もくる。それも含めて自立的に生きていくこと、面白くいきていくこと。そうすると自分で考える人間になっていける。

子育てでも、判断力を自分でつけながら、こどもにもつけてあげるのが大事。自分に対してあれはだめ、これはだめと言ってると、こどもに規制ばかりするようになる。
人と比べないことも大事。それぞれがそれぞれの条件の中で、それぞれの道を歩んでいる。