守田です。(20130416 17:00)

すでに明日に向けて(652)(653)などでお伝えしましたが、3月25日から4月6日までの日程で、「びわこ☆1・2・3キャンプ」が行われました。東日本大震災支援プロジェクトの一環で、子どもたちの保養を目的としたものです。
会場は3月31日までが滋賀県北部のマキノ町にある白藤学園研修センター、4月6日までが、マキノ高原民宿一二三(ひふみ)館でした。主催は同キャンプ実行委員会。キャンプの楽しいチラシがあるのでご覧ください。
http://www.eonet.ne.jp/~makino-hifumikan/img025.pdf

僕はこのキャンプに4月4日呼んでいただき、2つの講演を行いました。一つは参加した保護者の方、スタッフの方など、大人を相手にした放射線防護に関するお話です。
この際、南相馬市から大津市に避難している青田恵子さんが参加してくださり、福島事故のこと、放射能が撒かれてしまった故郷への想いなどを綴った詩を朗読して下さいました。心が揺さぶられる詩でした。ぜひ(653)で詩をご覧ください。

さてこの日は、その後に子どもたちと一緒に夕飯を食べてから、今度は子どもたち向けの講演をしました。何をどうやって食べるかのお話です。およそ30分間、僕がお話し、あとの30分で質疑応答を行ったのですが、この講演会、圧巻でした!!
実はこの講演、2011年3月11日以降、今日までに僕が行った200回近い講演の中で、初めて子どもに向けて話したものだったのですが、何というか、これまでの中でも、一番、レスポンスがよく、高度な質問が続いた講演でした。いやあ、すごかった。

ちなみに講演のときの様子がFACEBOOKにアップされていたのでご紹介します。ここは民宿一二三館の中で、みんなで食事をする大広間です。僕の右手に子どもたちが座ってくれていますが、写真に写っていない左手に同じ数ぐらいの大人たちが座っています。
http://www.facebook.com/toshiya.morita.90#!/photo.php?fbid=142896522555741&set=pcb.142907549221305&type=1&theater

振り返って、次のようなことを思いました。一つに子どものものを学ぶ能力の素晴らしさです。何より好奇心のあり方が大人に比べて断然シャープで、柔軟です。頭をクルクルと回転させながら話についてきてくれる。だからレスポンスがものすごくよくて、こちらもどんどんしゃべらされてしまう。
生命力とか若さとかは、やっぱり好奇心の中にあるのだよなあとつくづく思いました。こうした子どもたちに接していると、大人の側もみずみずしい好奇心を思い出させてもらえます。その分、子どもに近くなり、若返ってしまう。子どもの世話をしていながら、子どもから精気をもらえます。子どもと接する醍醐味ですね。
ちなみに気功治療を行っている友人が、近くの小学校に夜に散歩にいっても、校庭には若々しい気がまだ渦巻いているのだと言っていました。その子どもたちの存在こそが、常に、社会の、私たちの「明日に向けて」の活力になっているのでしょう。子どもたちが社会の宝である由縁です。

でも二つ目に、さすがに福島などの親御さんたちが送り出してくれた子どもたちだなあという思いも強く持ちました。というのは、いかに健康を守るのかという観点からの食べ物に対する洞察が、とても深い子が多かったからです。危ない食べものの話をすると、「お母さんがそう言ってた!」というレスポンスなどがすぐに返ってくる。
小学校高学年の子たちになると、さらに進んでいろいろなことを知っている。それがポンポンと飛び出してくるのです。実は、僕は子どもたちをもう少し舐めていて(子どもたちごめん!)、初めに幾つか質問をして、それなりに時間を使う予定だったのですが、瞬く間に正解が出てしまい、話を前に前にと進めねばなりませんでした。
これには次第に大人たちから呻き声が漏れるほとでした。驚いたのは講演のあとの質疑応答で、かなりハイレベルな質問も出てくる。とうとう僕が答えられないものもでてきました。

具体的には白砂糖の化学式を尋ねられたのでした。恥ずかしながらそのとき咄嗟に、大人の悪知恵で、グルコース(砂糖の成分の一部)の化学式が口からでてしまい、「とかいう感じだったかなあ」と答えてしまったのですが(子どもたちごめん!)あとから質問をした男の子が白砂糖の化学式を書いたものを見つけて僕のところにもってきてくれて、訂正してくれました!!
こんな状況なので、参加した大人たちはもうビビリまくり!子どもたちだけでなく、大人にも質問して欲しいと水を向けると、みんな枕詞に「小学生よりも劣った質問で申し訳ないのですが・・・」という余計な!一言をつけていました。
なぜこの子達が、こんなにいろいろなことを知っているのか。僕は子どもたちの背後に、放射能の害から子どもを守るべく、懸命に頑張っている親御さんたちの姿が垣間見えたように思えました。子どもたちは大人たちの真剣な眼差しを敏感に察知し、これは大切なことだと一生懸命に吸収してきたのでしょう。こうして福島原発事故の中で、新たな世代が育ってきていることをひしひしと感じました。

さて、今回はこの日、子ども達と一緒に食べ物について考えたことを、お伝えしたいと思います。食べ物についての知識もさることながら、ぜひ、キャンプに参加していた子どもたちの息吹も感じ取って欲しいです。
全部で1時間のものですが、文字にすると長くなるので、何回かにわけます。子ども達と一緒に考え、かつ楽しみながらお読み下さい!

*****

何をどうやって食べることが大切か
一二三館で子ども達と考えたこと

みなさんが、それぞれのお家に帰って何に気をつけたらいいのかということで、今日は、食べもののお話をします。
私たちの国にはたくさんの放射能が降っています。だから何かを食べるときは放射能が入ってないものを選ぶことが大切です。このことはあちこちで考えられています。
それだけではなくて、今私たちの国だけではなくて、世界の食べ物がすごく悪くなっています。そのすごく悪いものを食べると、体もどんどん悪くなってしまいます。なので今日は、何をどうやって食べたらいいか。何を食べない方がいいのかというお話をします。ぜひ聞いてください。

今、みなさんとここで一緒にご飯を食べました。今日のご飯は美味しかったですか?ご飯を食べる時にどうやって食べるか。大事なことが二つあります。なんだと思いますか?

男の子 「良く噛むこと」

良く噛むこと!ピンポン!あたり!(拍手)噛むことは確かに一番です。すぐに答えが出ましたね。では次はなんだと思いますか?

男の子 「三角食べ」

うん。それも大事なことだな。でももっと簡単で大事なことがあります。

女の子 「好き嫌いしない」

ああ、それも大事なことだ(笑)僕が予想していなかった良い答えがどんどん出てきますね。(笑)はい、もう一つ、なんでしょう。今日の食べ方を見ていると、うまくいっていたなと思います。

男の子 「バランス」

バランスもそうだな。三角食べとも似ているね。

男の子 「行儀よく食べる」(爆笑とどよめき)

うん、ちょっとかすってる。かすっているのだけれど、そんなに行儀よくなくてもいいんだな。さあ、なんでしょう。・・・・・答えを言いましょう。答えは楽しく食べることです。

男の子 「あ、知ってた。言い忘れた」

知っていたんだね。そのとおり。楽しく食べたほうがご飯は身につくのです。反対に喧嘩しながら食べたりとか、テレビばっかり見ながら食べたりすると栄養が身につかないのです。だからよく噛んで食べることと、楽しく食べることを大事にしてください。
ではここからもう一つ深めましょう。よく噛んで食べることはどうして必要なのでしょうか。

男の子 「唾液が出るから」

あ、そのとおり。ピンポン!(大きな拍手)
もう答えが出てしまった。そうなのだよね、よく噛んで食べることは、細かく砕く事の方に大事な点があると思ってしまう人もいるけれど、それよりも唾液がたくさん出ることの方が大事なのです。よしでは次にいってみよう。なんで唾液をよく出すといいの?

男の子 「消化がよくなるから」

ピンポン(どよめき)

すごい。どこまでいくのでしょう。消化がよくなる、その通りです。つまり唾液の中には、消化をすすめてくれる酵素というものがいっぱいあります。だから唾液をいっぱい出して食べた方がいいのです。
ではここからは大人に質問しましょう。消化がよくなるということはどういうことでしょうか。

大人(女性) うんこがよく出る。(笑)

結論としてはそうです。(笑)答えは私たちの食べるものは、炭水化物、でんぷんやタンパク質、脂質、油に分かれます。それが私たちの身体に吸収しやすくなって、エネルギーなどにも変わりやすくなるということです。

ではここからどういうものを食べてはいけないのかという話に行きますよ。
今、話したように、ご飯を食べる時に大事なことは、よく噛むこととありましたよね。今、作られている多くの食べ物は、できるだけ噛まなくていいいように作られているのです。

男の子 「やばい」

うん、やばいんだよ。すごく。なんでよく噛まないでも食べれるように作られているかというと、その方がたくさん食べてしまうからです。

男の子 「その方がたくさん売れるからだ」

そうそう、たくさん売れるからだね。だからあらかじめ噛まないでも飲み込めるようなものをたくさんいれているのです。

男の子 「添加物!」

そう。添加物。賢いなあ、今日の子たちは。(笑)全部、僕が言う前に答えが出てしまうね。そうです。添加物です。
はいでは大人の人、良くない添加物を言ってください。

大人(女性) アミノ酸

はい。アミノ酸、調味料。全体として良くないですね。

大人(女性) ソルビン酸

そうですね。それもよくないです。

大人(女性) タンパク加水分解物

ああ、詳しいですね。旨みやコクをだすものですね。(注、正確にはアミノ酸混合物)では典型的に柔らかくするものはなんでしょうか。

大人(女性) 加工でんぷん

ピンポンです。でんぷんというものはいろいろなものから取れます。じゃがいもなどお芋からよくとりますね。これをいれるとモチモチ感がでたりして、食べやすくなるのですけれど、天然のものは日持ちがしなくてすぐにパサパサしてきます。
そこに薬をたくさん入れて、もちをよくするのです。それが「加工でんぷん」というものです。これからみなさんがパンやお菓子を買うときに、入っている場合は、裏に書いてありますから見てください。

男の子 「よく見てる」

いいねえ。よく見て、加工でんぷんが入っているものはやめた方がいいです。加工でんぷんが入っているとフワフワしたりしていて、少し噛んだだけで飲み込めてしまう。だからいっぱい食べてしまう。
加工でんぷんが入っている有名なものを言いましょう。ヤマザキのパンです。(大人から笑い)もうこれはやめてください。
僕もビックリしたことがあるのだけれど、こういう話を講演でしていたら、終わってから、ヤマザキの社員の友だちの人が近づいてきて「社員の方たちはヤマザキのパンをまったく食べないそうです」と教えてくれました。

女の子 「お母さんも、ヤマザキのパンはやめとけって言う」

ほんとう?お母さん、賢いなあ。みんな、ヤマザキのパンって分かる?

一同 「わかる!」

よく宣伝しているよね。

男の子 「僕はよく食べる」

やめたほうがいいよ。(どよめき、笑い)
では、ヤマザキのパンの中でもとくに危ないものをいいましょう。ランチパックです!

多数 「えー」「食べてるー」「あー」「僕は食べてない」「この子、先にランチパックがいけないって言ってた!」(しばし興奮)

ではランチパックの中でも一番、やめてほしいのは何かというとタマゴが入っているランチパックです。

男の子 「うわー、俺、いっぱい食べてる!」(爆笑)

なんでなのかというとね。例えばコンビニにいったときに、よくいろいろな食べ物を見てください。タマゴが入っているものは、必ず冷やしたところに置いてあります。

男の子 「うん、確かに」

タマゴが入っていて、冷やしたところにおいてないのは、ランチパックだけ!

一同 「あー」「なるほどー」

腐らないための薬がいっぱい入っているのだね。普通は、温かいところに置いておいたら、タマゴはすぐに腐ってしまうよね。そこに薬をたくさん入れて、腐らないようにしているから、長く持つけれども身体に悪い。

続く