守田です(20211208 08:00)

2020年8月15日に書き、12月8日に書いた記事を再再度、リメイクしてお届けします。

● 日本の指導層はアメリカに勝てないことを知りながら戦争にのめり込んだ

80年前、1941年12月8日、大日本帝国政府はハワイ真珠湾の米軍基地を奇襲、日米戦争の火ぶたを切りました。
この日に、ぜひ参考にしていただきたい書籍とDVDがあります。NHKが2011年に「日本人はなぜ戦争へ向かったのか」と問うて作成したドキュメントが収録したもので、その4回目「開戦・リーダーたちの迷走」を特にご覧いただきたいです。

こレを見ると、開戦当時、天皇を囲んだ午前会議に出ていたすべてのメンバーが、日本はアメリカに絶対に勝てないと認識していたことが分かります。
アメリカとの当時の国力差は総合力で80対1。どう考えても勝てない。政府と陸海軍がそう考えていたのに戦争にのめりこんでいった。端的に言って誰一人、この国を本気で守る気を持っていなかったからです。

このエッセンスを僕の解説で作った動画にもまとめてあります。ぜひこの日にご覧下さい!
日本は必ず負ける戦争にのめり込んだ。誰もこの国を守ろうとはしなかった。-太平洋戦争開戦の日に思う

● なぜ戦争を回避できなかったのか

絶対に勝てない戦争をなぜ回避しなかったのか、最大の理由は、自分たちがさんざん戦争熱を煽ったために好戦的になっていた日本民衆を恐れたことでした。
日本はアメリカに中国からの撤兵を要求されていましたが、それまで20万の兵士の死をもたらし、国家予算の7割をもつぎ込んでいたため、引き下がることができなくなっていたのでした。

しかしとても勝ち目がないことははっきりしていたので、海軍は、先に陸軍に戦争を回避を言いだして欲しいと考え、陸軍も同じように考えていました。結局ともに黙っていたのです。
そんな中で内大臣木戸孝一の推薦のもと、東条英樹内閣が生まれましたが、その狙いは戦争回避にあったそうです。天皇に忠実な東条なら天皇が戦争回避を命令すれば陸軍を抑えるだろうと考えられたのです。

しかし昭和天皇もまた「戦争を止めよ」とは言い出しませんでした。
その結果、絶対に勝てない対米戦争にのめりこんでいったのでした。

● 誰も国を守ろうとは思わず身体をはりもしなかった

この事態はなぜ生まれたのか。番組の最後で、佐藤賢了元陸軍省軍務課長がこう述べています。「独裁的な日本の政治ではなかった。だから(戦争回避)はできなかったんです」
「こうした日本人の弱さ ことに国家を支配する首脳 東条さんをはじめ我々の 自主独往の気力が足りなかったことが この戦争に入った最大の理由だと思います」

そうではない。単純に誰も命をかけてこの国を守る気概を持っていなかったからなのです。責任感や倫理感がまったく欠けていた。
もちろん昭和天皇もその一人です。大元帥であった天皇が「戦争をやめよ」と命令すれば、誰もが本音では喜んで従う状況だったのです。

にも関わらずこの国は絶望的な対米戦争に突入し、やがてアメリカに沖縄上陸、本土空襲、原爆投下と、暴力の限りを尽くされ、ものすごい死者を出して崩壊しました。

● 同じことを繰り返させない

その後、この国は平和憲法を持ち、戦争を否定して今日まで歩んできました。私たちの先達が懸命になって民主主義を育ててきてくれました。
しかし勝つ見込みのない戦争に国をひきずり込んだこの国の支配層は、戦後はアメリカに全面的に擦り寄ることで生き延び、その戦争政策を支えてきました。

このためこの国は、世界有数の地震大国であるにもかかわらず、アメリカに押し付けられた危険な原発を次々と建て、福島原発事故で、国の半分がなくなりかねない危機に直面しました。しかもそれでもなお原発にしがみついている。
なぜこんなことが繰り返されるのか。あの時も今も同じです。この国の支配層の誰もこの国を大切だとは思っていないし、この国の山河もいわんや人々をも愛してなどいない。いわんや命をかけて守る気などさらさらないのです。

ではあの時と今は同じなのでしょうか。違います!戦後、日本民衆はかつての侵略戦争を捉え返しつつ、アメリカの戦争政策への政府の加担に対しまざまな抵抗運動を作りだしてきたからです。
さらに福島原発事故後、より多くの人々が政府のウソに気づきました。原子力平和利用にだまされていた自分たちのあやまちにも気づき、世論の大半が原発反対を唱える状態を生み出しています。
この私たちの力こそが、この国の本当の安全を守り、平和を支えているのです。だから私たちはパワーアップしましょう。

開戦の日にこのことをあらためてみなさんと誓い合いたいです!

こういう地道な取り組みこそが平和と安全を守っている パワーアップを!

#開戦の日 #日米戦争 #太平洋戦争 #負けると分かっていた

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