守田です(20210719 13:30)

【署名協力のお願い】
黒い雨訴訟控訴審勝利を受けて、広島市、広島県、国に上告断念を求める署名が立ちあがっています。ぜひご協力ください。
http://chng.it/fPyYRCQr

● 福島イノベーションコースト構想にご注目を

福島の今、復興の今、放射線防護の今、誰もが気になるところをがっつりお話しします。黒い雨訴訟に関する特別報告も加えます。
7月22日午前10時から、京都市のひとまち交流館第4会議室にて。主催は「ウチら困ってんねん@京都」です。
zoomも併設します。会場カンパは資料代500円。zoomはあらかじめアドレスを公開するので投げ銭をお願いします。

zoomアドレス https://us02web.zoom.us/j/82898339621 パスコード 772394
投げ銭先 ゆうちょ銀行 なまえ ウチラコマッテンネンアットマークキョウト 記号14440 番号14440-50025191

Facebookイベントページもご紹介します。
https://fb.me/e/1z5FIjj3E

お話したいのは、守田が5月10日から13日まで福島県を訪れて得てきたこと。被爆二世の森川聖詩さんと一緒の旅でした。
とくに伝えたいのは「福島イノベーションコースト構想」について。福島浜通りを「核との共存の町」にしていく動きです。中心にあるのは、福島原発の「廃炉作業」を軸にさまざまな核関連産業を誘致し「育成」することです。

驚いたことに、アメリカのハンフォードとの連携が進められつつあります。ワシントン州にある「核の町」で、長崎を壊滅させた原爆のプルトニウムが作られたところ。全米にある核弾頭のプルトニウムの3分の2も作らました。
そのハンフォードは核物質ですごく汚染されている。しかし中心都市のリッチランドなどで放射線防護ではなく福利厚生にお金がつぎ込まれ、核産業を誇りとする町となっている。そんな「核の町」に福島浜通りを変貌させようというのです。

● 実は『放射線副読本』とがっつりつながっている

この動きの一つとして、双葉町に「東日本大震災・原子力災害伝承館」が建てられ、高村昇氏が館長に就任しています。文科省発行の『放射線副読本』の執筆の中心を担い、復興庁から出された『放射線のホント』の作成にも関わっている。
高村氏はあの山下俊一氏の右腕とも言われる人物です。原発事故後に福島に入り込み、安全論を振りまき、「放射能を怖がると子どもに悪い影響を与える」などと、福島の人々を騙し、脅したあの山下俊一氏です。(裁判で認めています)

この点で『放射線副読本』『放射線のホント』にちりばめられた被曝の危険性を無視するあり方が、福島イノベーションコースト構想と一体化していることが分かりますが、高村昇氏はさらに「放射線災害復興学」を立ち上げています。
次の核災害時に、放射能の中で「前向きに」生きていく道を探るというのです。実はこうした「核との共存」を最初に言い出したのは、長崎原爆を「神が落としたもの」と語った永井隆博士でした。山下俊一氏はその永井博士の信奉者です。

さらにです。その高村昇氏とともに『放射線のホント』の構成に関わったのが、東大名誉教授の早野龍五氏。福島医大の宮崎真氏と福島県伊達市の被曝線量を過小評価した論文を作成して英学術誌に投稿し、大問題を引き起こしました。
伊達市が住民に配ったガラスバッジデータを市民に合意を得ずに使ったり、虚偽データを掲載したり、被曝線量を大幅に過小評価するなど、ひどすぎて論文撤回に追い込まれました。不正を暴いたのは伊達市のみなさんでした。

● 被曝影響の過小評価がものすごい勢いで強調されだしているわけ

これらを通じ、「福島の今」を形作りつつあるものが、国際的な原子力推進派の動きであることが見えてきました。被曝を限りなく過小評価し、核との「共存」を人々に強いるのです。
早野龍五氏は、放射線影響研究所の評議員も兼ねています。アメリカが原爆で広島・長崎を壊滅させたあとに作ったABCC(原爆傷害調査委員会)の後継組織です。

そこが最近「被曝二世のゲノム調査」をしたいと言い出しました。「ゲノムまで見たけれど被曝影響などなかった」と言いたいのでは?と考えていたらその通りの回答がチェルノブイリ周辺で出されました。
実は放射線被曝の遺伝的影響は、アメリカが原爆による大量虐殺を行った直後から、最も注視してきたことがらです。一番初めに原爆使用を批判したのが遺伝学者たちであり、遺伝的影響への不安が大きく広がったからです。

そしていま、この遺伝的影響の否定の動きがにわかに強まりだしています。なぜか?推進派が激しく何かを否定するときはその事実が強まっているとき。つまり被曝影響、遺伝的影響が顕在化しているからに違いありません。
実際には遺伝的影響は確かにあります。森川聖詩さんが著書『核なき未来へ~被爆二世からのメッセージ』で、自らの体験を赤裸々に書いてくださり、これを受けた京都「被爆二世三世の会」のアンケートでも同様の答えが多数集まっています。
これらをもっと明確につかむことが、核被害者を救済し、新たな被曝を避ける大きな力になる。だからこそ原子力推進派は、被曝影響隠しを強化し、これと一体のものとしてイノベーションコースト構想を進めているのです。

● 黒い雨訴訟控訴審での画期的勝利の意味

さて今回の報告会では、特別報告として、7月14日に勝ち取られた黒い雨訴訟控訴審の画期的勝利の意義についての特別報告も行います。
黒い雨裁判は原爆被害の中で、とくに内部被曝被害が争点となって闘われてきたもの。原告の頑張りによって、一審で黒い雨の降った地域が政府が認めてきたそれよりもずっと大きいことが認められ、原告たちの被爆被害が認められました。

その際、被爆者に対する「被爆者援護法」のもとでの「健康管理手当」で決められた11の障害を伴う疾病のどれかに罹っていることが、被爆者健康手帳交付の要件とされました。
これに対し、広島市、広島県、国が控訴し、原告の身体に起こっている11の障害を伴う疾病のいずれかと、放射線被曝の因果関係の科学的証明がなされていないから、一審を破棄せよと主張したのです。

広島高裁は国のこれを退けました。そもそも被爆者救済を目的にした「被爆者援護法」は、原爆による影響との因果関係など求めていないからです。被爆した事実だけで救済の対象としているのです。
さらに高裁はこの精神にのっとり、一審が「11の障害を伴う疾病」の発症という要件を求めることも「失当」であるとして退けました。病に罹っている、罹ってないに関わらず、被爆者健康手帳の交付を命じたのです。

これはあらゆる放射線被曝の被害者を救済する上で、大変大きな意味を持ちます。まさに「福島イノベーションコースト構想」などと真逆の動きだと言えます。しかし細かい点を理解してないと分かりにくい面もあります。
それだけに22日は、この判決の意義をきちんとおさえるべく、できるだけ分かりやすくこの意義を解き明かす特別報告を加えます。

福島を「核との共存の町」にするこなど許さず、核被害者への医療・福祉などの「保障」、被害を与えたことへの「補償」、そしてもう二度と核被害を与えない「保証」の獲得を目指していきましょう。22日、ご参加下さい!


入廷する原告団 守田撮影

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