守田です(20210707 12:30)

● 福島イノベーションコースト構想にご注目を

福島の今、復興の今、放射線防護の今、誰もが気になるところをがっつりお話したいと思います。
7月22日午前10時から、京都市のひとまち交流館第4会議室にて。主催は「ウチら困ってんねん@京都」です。
より多くの方が視聴できるようにzoomも併設します。会場カンパは資料代500円。zoomはあらかじめアドレスを公開します。投げ銭をお願いできればありがたいです。
(zoomアドレスと投げ銭先は、右記のアドレスにお申し込みいただけたらお送りします。morita_sccrc@yahoo.co.jp)

Facebookのイベントページもご紹介します。
https://fb.me/e/1z5FIjj3E
お話したいのは、守田が5月10日から13日まで福島県を訪れ、あちこちでいろいろな方とお会いして得てきたことです。被爆二世の森川聖詩さんと一緒の旅でした。
得たことはたくさんありますが、一番にお伝えしたいのは「福島イノベーションコースト構想」についてです。従来の「復興」のあり方とはまったく違い、福島の浜通りを「核との共存の町」にしていくことが目指され出しています。
中心にあるのは、福島第一原発の「廃炉作業」を軸にさまざまな核関連産業を誘致し「育成」すること。福島浜通りの「核開発の町」化です。

驚いたことに、アメリカのハンフォードとの連携が進められつつあります。ワシントン州にある「核の町」で、長崎を壊滅させた原爆のプルトニウムが作られたところ。全米にある核弾頭のプルトニウムの三分の二も作らました。
そのハンフォードに2019年に訪れましたが、核物質ですごく汚染されている。核廃棄物がポイポイと捨てられてきたからですが、中心都市のリッチランドなどは放射線防護ではなく福利厚生にお金がつぎ込まれ、核産業を誇りとする町となっている。
そのハンフォードとの連携が示すものは、福島を第二のハンフォードにすること。核を誇り、核と共存し、被曝実態を隠す町にすることです。この実態をぜひ多くの方に知っていただきたい。

● 実は『放射線副読本』とがっつりつながっている

福島のハンフォード化の動きの一つとして、双葉町に「東日本大震災・原子力災害伝承館」が建てられており、館長に高村昇氏が就任しています。
文科省発行の『放射線副読本』の執筆の中心を担った人物です。しかも『副読本』以前に復興庁から出された『放射線のホント』の作成にも関わっている。
高村氏は、あの山下俊一氏の右腕とも言われる人物です。原発事故後に福島に入り込み、安全論を振りまき、「放射能を怖がると子どもに悪い影響を与える」などと、福島の人々を騙したあの山下俊一氏です。(裁判で認めています)

この点で『放射線副読本』にちりばめられたテクニック、放射線被曝の危険性を無視するあり方が、福島イノベーションコースト構想と一体化していることが分かります。
しかも高村昇氏はヒロシマとナガサキで「放射線災害復興学」を立ち上げています。次の核災害時に、放射能の中で人々が「前向きに」生きていく道を探るというのです。核との共存=被曝の強制です。
実は核との共存を一番最初に言い出したのは、長崎原爆を「神が落としたもの」と語ったナガサキの「聖人」、永井隆博士でした。山下俊一氏はその永井博士の信奉者。永井ー山下ー高村とつながっているものがあります。

さらにです。その高村昇氏とともに『放射線副読本』の前の『放射線のホント』の構成に関わったのが、東大名誉教授の早野龍五氏でした。
早野氏は福島医大の宮崎真氏と福島県伊達市の被曝線量を過小評価した論文を作成して英学術誌に投稿し、大問題を引き起こした方でもあります。伊達市が住民に配ったガラスバッジデータを使ったのですが、市民に合意を得ませんでした。
その上、虚偽データを掲載したり、被曝線量を大幅に過小評価するなど、あまりにひどくて論文撤回に追い込まれました。不正を暴いたのは伊達市のみなさんでした。(今回お会いして詳しい話を聞けました)。

● 被曝影響の過小評価がものすごい勢いで強調されだしているわけ

これらを通じ、「福島の今」を形作りつつあるものが、国際的な原子力推進派の動きであることが見えてきました。被曝を限りなく過小評価し、核との「共存」を人々に強いるのです。
例えば早野龍五氏は、放射線影響研究所の評議員も兼ねています。アメリカが原爆で広島・長崎を壊滅させたあとに作ったABCC(原爆傷害調査委員会)の後継組織です。
そこが最近「被曝二世のゲノム調査」をしたいと言い出しました。なんのため?「ゲノムまで見たけれど被曝影響などなかった」と言いたいのでは?と考えていたらその通りの回答がチェルノブイリ周辺で出されました。

実は放射線被曝の遺伝的影響は、アメリカが原爆による大量虐殺を行った直後から、最も注視してきたことがらなのです。
一番初めに原爆使用を批判したのが遺伝学者たちであり、遺伝的影響への不安が大きく広がったからです。当初よりこれを抑えこまないと核戦略は前に進まなかった。それでABCCも遺伝的影響を否定することを重視していました。
そしていま、この遺伝的影響の否定の動きが俄かに強まりだしています。どうしてか?推進派が激しく何かを否定するときはその事実が強まっているとき。つまり被曝影響、遺伝的影響が顕在化しているからに違いありません。

実際には遺伝的影響は確かにあります。被爆二世の森川聖詩さんが著書『核なき未来へ~被爆二世からのメッセージ』で、自らの身体に起こったことを赤裸々に書いてくださっています。
これを受けた京都「被爆二世三世の会」の第二回目の健康調査アンケートでも、森川さんと同じような体験を克明に記した多数の回答が寄せられています。
これらをもっと明確につかむことが、被曝被害を受けた人々を救済し、新たな被曝を避ける大きな力になります。しかしだからこそ原子力推進派は、被曝影響隠しを強化し、これと一体のものとしてあるイノベーションコースト構想を進めているのです。

こうした流れをきちんとつかんで、私たちと未来の命を守っていきましょう。福島を核との共存の町にするなど許さない。22日の企画にぜひご参加下さい。

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