守田です(20210615 22:30)
● フランス・フラマトム社が技術支援をアメリカに要請
中国の台山原発から放射性物質(放射性希ガス)が漏れ出していることが、アメリカCNNによって14日に報じられました。
情報の出所はこの原発の建設を請け負ったフランス・フラマトム社。「差し迫った放射線の脅威がある」ため、アメリカ政府に技術援助を要請したそうです。しかしバイデン政権は「まだ危機的なレベルではない」と判断しているとのこと。
フラマトム社は、中国当局が原発の運転を継続したいがために、「原発周辺の放射線許容値を引き上げた」ともアメリカエネルギー省に文章で報告しているそうです。フランスの国内基準より緩くなっているそうです。
ではどれぐらいの放射性物質が漏れているのか。また許容値はどれぐらい拡大されたのか。韓国中央日報によれば、漏れ出した放射性希ガスは、これまでの許容値上限の90%に達している。
このためフラマトム社は「原発近隣地域や住民に放射性の脅威が迫る直前」と判断したものの、中国当局が許容値を2倍にしてしまい、「問題ないといっている」と報じています。
いずれにせよ、台山原発で放射性物質を放出せざるをえない何らかの故障事故があったことは間違いないようす。警戒が必要です。
台山原発放射性希ガス放出を報じるFNN
● 台山原発の位置性
台山原発は広東省の海岸線にあります。位置は香港から西南西に130キロ、マカオから西南西に60キロです。
原発周辺の人々、また香港や台湾など、人口密集地が東に位置しているのでとても心配です。なんとうか事故が収まること、また人々が適切な被曝防護を進めることを祈るばかりです。
また放射性希ガスが北上した場合、ヒマラヤ山脈の南側を周って来るジェット気流に乗る可能性がある。そうなると大都市上海に向かうことになる。もちろんその過程で通過する地域も心配です。
それだけではありません。上海から海を渡って辿り着くのは日本列島です。ヒマラヤ山脈の南北をまわってくるジェット気流が、偏西風を形成して日本に梅雨前線をもたらしているからです。
そうなるかはどうかはどれだけの放射性物質が漏えいしてかたかによる問題で、今のところそこまでの大事故に至っているとは報じられていませんし、放射性物質が日本に到達している報告もありません。
しかし注意しなければ。そもそも偏西風がある限り、中国で原発事故がおこれば朝鮮半島や日本列島への影響は避けられないからです。
台山原発の位置性を報じるAFP
● 国境を越えた連帯で危険な原発を止めよう
このことは国際的な連帯で、それぞれの国の原発を停めていくことの必要性をあらためてクローズアップしています。
今回の台山原発の問題に関しては、何よりも中国の民衆を守る視点から、事故そのものと中国規制当局の動向を注視し、必要な解析や当局への批判を行っていくことが大切です。
同時に私たち、日本に住まうものは、これ以上の福島原発からの汚染の拡大を食い止めることをあらためて考えなくては。放射能汚染水の海洋投棄をけして許してはなりません。
中国当局が行っていることも、海洋放出をしようとしている日本当局が行おうとしていることも、実は根っこは同じです。
放射線被曝の影響を低く見積もり、人々に汚染の許容を迫り、被曝を強制することです。
「被曝強制を許さない」という点をしっかりと踏まえて、台山原発の故障事故へのウォッチを続けます。
台山原発(CNS=共同)より
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