守田です(20210209 23:30)

● 被曝の危険性を小さく見積もること、遺伝的影響を無視することが核戦略維持のコアとなってきた

1月22日に発効した核兵器禁止条約、ぜひとも世界の市民の努力で豊富化していく必要があります。
そのため拡げるべきこととして、核兵器を製造・保有すると他国民だけでなく自国民をも手酷く被曝させること、このことでヒバクシャが増え続けて来たことを「明日に向けて」(1969)で述べました。あらためて記事をご紹介します。

明日に向けて(1969)核兵器を持つと他国民だけでなく自国民も激しく被曝させる!核兵器禁止条約の豊富化のために-1
https://toshikyoto.com/press/5910.html


ニューメキシコ州ロスアラモスの核ミュージアムにて 守田撮影 右側の「なぜ爆撃したのか?原爆は市民と軍人の命を救った」というパネルに対抗し、同州の反核勢力が「われわれは自分たちを爆撃したのではないのか!(Did we “Bomb” ourselves!)」というパネルを突きつけている

今回、続けて訴えたいのは原子力ムラ、いや原子力マフィアが、さまざまな手を弄して被曝の危険性を極端に小さく見積もってきたことをひっくり返すことですが、その中でとくに強調したいのが、未来世代をも迫害する被曝の遺伝的影響についてです。
実は広島・長崎で原爆による大量虐殺という戦争犯罪を行ったアメリカは、その後の核戦略の維持のための重要課題として、遺伝的影響への人々の懸念を払拭することを目指しました。
このもとで広島・長崎に設置され、自分たちに都合の良いようにデータを集めだしたのが原爆傷害調査委員会(ABCC)でした。これらのことは中川保雄さんが著書『放射線被曝の歴史』で展開しています。詳しくは以下の記事をご覧下さい。


中川さんの著書 必読です

明日に向けて(1958)被曝影響の研究はアメリカ軍が主導、主眼は遺伝的影響だった-ICRPの考察5
https://toshikyoto.com/press/5857.html

● 遺伝的影響としてどのようなことがあるのか

ただしこう書いたときに「被爆の遺伝的影響は本当にあるの?」と思われる方もおられるのではないでしょうか。あるいは「遺伝的影響があるというのは差別では?」と思われる方もおられるかもしれません。これはとても大切な問題です。
僕は遺伝的影響は確かにあると強い確信を持っています。また事実としてあるのですから、遺伝的影響があると思うことが差別なのではなく、被曝の影響を受けている方を差別することが、まったくもって間違った人倫に反することなのです。
このことをよりしっかりとつかむために、京都「被爆二世三世の会」の仲間たちと二世三世健康調査アンケートに取り組んできました。以下に2015年5月25日から9月30日にかけて行った第一回目のアンケートの集計を示しておきます。

2015年被爆二世健康実態調査 中間報告
http://aogiri2-3.jp/chousa/2015jittaichosachukanhoukoku.pdf

また2020年から、1回目の調査を踏まえてよりコアな2回目の調査を現在進行形で行っています。アンケート用紙をご紹介します。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf


京都「被爆二世三世の会」ホームページより

2回目の調査のアンケートでは、冒頭で被爆二世で自らの人生の中で起こってきたことを赤裸々に叙述してくださった森川聖詩さんの著書『核なき未来へ-被爆二世からのメッセージ』から、さまざまな症例を抜粋しています。
これを一つの例として、アンケートの回答者に起こったことを書いていただく形を採っていますが、これまでたくさんの方が森川さんと似たような体験をしてきたことを書き送って下さっています。
遺伝的影響としてどのようなことがあるのか、ぜひ二世三世の方も、それ以外の方も、アンケートをご覧いただきたいです。


京都市で著書『核なき未来へ』について語る森川聖詩さん

続く

#被曝の遺伝的影響 #核なき未来へ #京都被爆二世三世の会 #森川聖詩 #被爆二世三世健康調査アンケート

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