守田です(20210210 14:00)

● 被曝の遺伝的影響と核兵器禁止条約

核兵器禁止条約をより豊かで確かなものにするために、被曝の遺伝的影響を明らかにし後世に伝えていくことがとても大切です。
核兵器は攻撃対象となった人々を手ひどく蹂躙するとともに、未来世代に向けても深刻な打撃を与えるからです。まさしく人道上の大罪です。

この間、何回かご紹介してきたように、僕が属する京都「被爆二世三世の会」で、この点を明らかにすべく、被爆二世三世健康調査アンケートを進めています。
ぜひこれに被爆二世三世の方にご参加いただきたいです。また二世三世ではなくても多くの方にアンケートに書かれた遺伝的影響(ないしそう思われること)の具体的あらわれを読んでいただきたいです。

アンケートを再びご紹介しておきます。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf

放射線被曝は今のところ、完全犯罪です。現代の放射線医学を牛耳るアメリカ、あるいは核保有国が、こぞって「科学」を前面に出して否定しているからです。
しかし広島・長崎で大量虐殺を行い、世界各地で核実験を行って放射能をばらまいてきた人々の語る「科学」をどうして信頼することなどできるでしょうか。

この問題は私たち自らが調査し、つかみ、表に出していくしかない。そのための試みがこのアンケートです。
これを推し進め、その結果を広めていくこと、可能な限り、多言語にしていくことの中に、核兵器禁止条約の内容を深めていく大きな可能性があります。

● 森川聖詩さんの体験から

今回はアンケートの内容を少しご紹介したいと思います。そのためにアンケートの冒頭でご紹介している森川聖詩さんの体験を転載したいと思います。
著書『核なき未来へー被爆二世からのメッセージ』に書かれたものです。2019年2月に書評を書かせていただきましたのでご紹介しておきます。

明日に向けて(1651)書評『核なき未来へ 被爆二世からのメッセージ』森川聖詩著-1
https://toshikyoto.com/press/3136.html

さて森川さんの体験記です。(なおカッコ内は守田が補った言葉です)

1、幼少期

「私が生まれたときの体重は2700グラムで、幼少のころは、よく原因不明の発熱で何度も死線をさまよった、と聞いている」
「(小学生のとき)夏の思い出といえば、暑さでいつも体調をくずし、お腹をこわして下痢をし、ぐったりして、昼間は何もすることができず、ひたすら横になって休んでいたこと、ただそれだけである」
「その他の季節も物心ついたころから常に何かしらの体の不調を感じていた。日々感じるたとえようのない体のだるさ、脱力感と疲れやすさが我が身を襲っていた」
「風邪をひくと必ずといってよいほどこじれて、急性気管支炎を併発し、高熱とひどい咳や痰をともなう症状にいつも悩まされた」
「外で歩いたり、走ったりなどしていて、階段を踏み外したり、距離感の目測を誤り、つまずいて転んでケガをすることが多かった。後から振り返ると、その主な原因は、私が「交代制外斜視」だったことにあるようである」
「ケガをすると、少々のかすり傷のようなものであっても、傷口がなかなか治らず化膿して、白い膿みがたまり、炎症を起こすことが多く、そのたびに病院にかよっていた」
(小さい時からヴァイオリンを習っていたが、5年生になり)「ヴァイオリンの練習をしていて、弦を押さえる方の手である左手中指と薬指に、痛みを感じるようになった。次第に、第二間接が腫れあがり、中指と薬指をそろえることができないくらいまでになっていった。指腱鞘炎(関節炎)・通称ばね指だった」(ヴァイオリンをやめることになってしまった)

2、中学・高校のころ
(中学・高校と体力があがり、剣道部で活躍できるようにまでなり、2年生の時には部長になったが)「2年生の夏ごろまた体に故障が生じた。左手中指・薬指腱鞘炎の再発だった。・・・とても練習することも、まして試合に出場することもできなくなってしまった」
(その後、受験勉強に打ち込み、翌年秋には模試での成績もどんどんあがった)
「またしても体を異変が襲った。机に向かっていたときに、蛍光灯の光や本や白いノートからの光の反射がまぶしく感じたり、目がくらむような感じがするようになり、その症状が進むと目と眉間に鋭利なものが突き刺さるような激痛を伴うようになった。そしてついには、眉間、鼻、ほおと口から後頭部へと針金でも通したかのようなたとえようもない鈍痛も走り出した」

「物心ついたころから悩まされていた数々の不調のなかで、日常的であったもののひとつが、頻繁な腹痛を伴う下痢であった(この下痢は日常茶飯事である。お腹の弱い体質は成長しても変わることなく、今に至っている)。
学校の授業が終わり、下校、帰宅途中に急に差し込むような腹痛と便意を催し、30分前後の自宅までの帰り道に我慢しきれず、失禁してしまうこともしばしばあった」
「大学入学後も、受験勉強中に発症した顔面痛はいっこうに軽快しないばかりか、疲労や睡眠不足、あるいは多湿の日などの痛みは尋常でなく、顔をしかめたくなるほどだった。この顔面痛は、今もなお完治していない」
「それまでに経験したことのなかったような新たな原因不明の症状に次々に見舞われた。突然めまいがしたり、目がかすんで焦点が合わなくなったり、朝起きてから1~2時間、ティッシュペーパー半箱分をも要するほどひどい鼻水が止まらない症状にも悩まされた。時を同じくしていくら手を洗っても数分経つと手が油でも塗ったようにべたべたになった」

続く

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