守田です。(20121222 23:30)

みなさま。「明日に向けて」が本日で連載600回を超えました。当初配信した「地震情報」48本とあわせて今日で649本目になります。僕なりに、放射能時代を生き抜いていく上での何かのヒントをご提供したいと思ってきました。僭越ながら少しはお役にたてたのではないかと思っています。

もちろんこうした活動は、多くの方のご支援があってこそ成り立ってきました。たくさんの方が講演に呼んでくださったり、繰り返しカンパをしてくださったおかげで、活動を継続してこれました。深い感謝を述べさせていただきます。
同時に、今後の活動の強化のために、再々度、みなさんにカンパを訴えます。そのためにもこの間の活動を振り返り、今後、僕が取り組もうとしている課題を明らかにしておこうと思います。

「明日に向けて」が連載501回を迎えたのは本年の7月1日のことでした。以降、今日まで東北の岩手県大槌町、山形県山形市、米沢市、福島県会津若松市、いわき市、福島市、宮城県仙台市を訪れたことをはじめ、京都近郊の都市、広島県、福井県なを回ってくることができました。
とくに印象深いのは、若狭湾の周りの地域のみなさんに呼んでいただいたことです。日本の中で唯一原発が稼働しており、福島とともに原発事故の危険性が最も懸念される地域ですが、その中で訪れた町は、西から兵庫県篠山市、丹波市、京都府舞鶴市、宮津市、与謝野町、伊根町、福井県大飯町、高浜町でした。
招いてくださった方は多様ですが、農の営みに従事する方たちが多かったことに特徴がありました。都市生活を捨てて農村に赴き、有機農を営んでいる方たちも多い。その方たちとのつながりから、地域で農の営みを長く続けている方々も参加してくださいました。美味しい食べ物で僕を迎えてくだり、とても温かい交流を重ねることができました。
地域の自治会が講演会を主催してくださったこともありました。ある町は講演会に町長がメッセージを送ってくださいました。これも都市部ではありえないことです。とくに兵庫県篠山市では、原子力災害への対策への関わりもさせてもらうなど、市の人々との関係が深まっています。

他方で広島県の各都市のみなさんとの交流も深めることができました。尾道市の方たちが僕を呼んでくださったことから始まり、近くの地域に輪が広がり、夏には尾道市、福山市、三原市での連続企画が実現しました。さらに11月に広島市に呼んでいただき、今後、三次市などにも訪問する予定です。
広島でお話すると、集った方の中に被爆者や、2世、3世の方がおられます。アメリカ軍が作った被爆者の調査機関ABCC(原爆傷害調査委員会)に「子どもの頃に自分が調べられていることが最近分かった。悔しい」などと話してくださる方もいました。
繰り返し述べてきたように、内部被曝隠しは、原爆を投下したアメリカによる被爆者調査から始まっています。それだけに広島・長崎は、深いところで福島原発事故につながっています。だからこの事故と問うときには、原爆投下に遡って問題を見ていかなくてはならず、その意味でも広島の方に繰り返し呼んでいただけることは僕にとってとてもありがたいことです。

同時にそもそも僕は、昨年の3月11日以降、不思議なほどに被爆者や2世、3世の方と出会ってきました。亡くなられた被爆者の方たちの魂が僕の背中を押してくれているのだと解釈してきましたが、実は僕の父自身が、原爆投下時に陸軍兵士として呉に入り、被曝していた可能性が高いことを今年になって確信しました。
父の被曝がどれぐらいだったのか、30年以上も前に父が59歳で他界してしまったので知る由もないのですが、そうであれば僕も被爆2世であることになります。いやその後の原水爆実験のことを考えるならば、私たちのほどんとが放射線被曝を受けている犠牲者です。その重大な事実への認識を今更ながらに深めてきたのがここ数ヶ月でした。

それらを東北の諸都市、若狭湾周辺、広島各地の方々と出会いながら深めてきたわけですが、同時にこれらの人々との触れ合いは僕に、この国が底辺から、確実に変わりつつあるという確信ももたらしてくれました。どこにいってもたくさんの人々が覚醒して、この問題を考え抜いているからです。本当にすごい熱気がいたるところを支配しています。
ちなみに総選挙の後に、僕はすぐに「この選挙は民意を反映していない」という分析しましたが、そのように僕が考えられたのは、今、ここに上げた地域を回っていて、そこでのみなさんの真剣な眼差しと、選挙をめぐる喧騒があまりにかけ離れていることを感じていたためでした。とくに都市部から離れたところで進んでいる変革の息吹は本当に力強いのに、選挙に結びついていなかった。
そのため、僕には自民党圧勝という結果にはなんら驚きませんでした。むしろ確実に育っている熱気を強めるために、これまで出会った方たちと連帯していこうと、選挙前からすっきりと思うことができました。今も自民党の小選挙区制によって歪められた圧勝によって、より多くの人々が覚醒するだろう、ならばそこに棹させばいいと織もいます。そうすれば私たち民衆の能動性は必ずより強くなっていきます。

この時期を振り返って、もう一点、触れておかなくてはならないことは、僕が本年初頭より、体調をひどく悪くしてしまい、気功の達人である友人の医師や、その知り合いの漢方医さんに診てもらいつつ、セルフケアを重ねてきたことです。
真っ先に取り組んだのは食事改善でした。それまでも玄米を食べていたのですが、いったん酒と肉を完全に断ちました。また意識的に食べものよく噛み、ゆっくりと味わって食べるようにしました。その結果として体重が減りだし、、悪かった内蔵も回復し始めました。体重は70キロから62キロにまで落ちて維持されています。
しかし体調自身はそれ以降も一進一退が続き、夏前と秋に再度、悪い方に向かってもしまいました。さまざまなストレスを引き受けすぎたことが要因で、ある種の活動を減らさせていただくことにしました。また食べ物のことの研究をさらに深め、身体のケアにつとめてきました。その結果、数日前の診断で今年になって一番いい状態にまで身体をもってこれていることが分かりました。
もっともまだ完全にいい状態になったとは言えず、セルフケアの継続が必要です。そのために食事療法だけではなく、昨年3月以降、途絶えていたトレーニングを再開していくことが重要だと思っています。今回、大槌町にプロのスポーツトレーナー、キムカツコーチと訪問し、健康体操のレクチャーなどをしてもらいながら、自分自身がトレーニングが必要なのだということに強く目覚めました。

この体調のことは、個人的なことでありながら、同時に大切な社会的ファクターを持つ問題だと思っています。なぜなら今日、多くの方が津波被害によっても、被曝によっても、体調を崩されているからです。すでに亡くなられた方もおられます。こうした事態に健康面でのサポートを強化する必要があります。被曝の影響が現れることを待っていてはならず、身体にいいことを重ねて対処していくことが大切です。
そのことと放射線被曝の危険性の認識を深めることがセットになっていかなくてはなりません。内部被曝のメカニズムに対する知識を深めつつ、被曝に対応するための知恵を豊かにしていくことが必要なのです。僕としては自らの身体を通して学べたことをさらに深めながら、こうした点に今後、より力を注いでいこうと思います。

そのために以下の4点の研究と普及に取り組んでいこうと思います。(1)内部被曝のメカニズムとその危険性について。(2)放射線学が歪められてきた歴史について。原爆と放射線の関係性。(3)放射線測定に関する知識について。(4)被曝対策の方法について。(被曝をしてしまった場合にどうするのかという点と、被曝をいかに免れるのかの2つ)
より具体的には(1)では物理学・化学、分子生物学、医療、社会学(思想を含む)の4つの側面から深めていきます。(2)では原爆投下の影響、原爆傷害調査委員会(ABCC)および放射線影響研究所、原水爆実験と被曝、原発事故との比較検討論の4つの側面から深めていきます。(3)では日本の汚染の実態、測定のノウハウ、測定器、市民測定所の運営に関しての4つの側面から深めていきます。
(4)では被曝に免疫力をあげて対抗する方法(食事療法と運動療法の2つ)、被曝医療の現状(西洋医学と東洋医学の2つ)、避難をめぐる問題、除染の可能性の4つ側面から深めていきます。
 
これらを「明日に向けて」を媒介に発信しつつ、可能であれば書籍にまとめたいと思います。そのため強めたいのはインタビューとアンケートです。多くの方の声を拾い上げ、みなさんと一緒に問題を考察し、私たち自身をもっと賢くしていきたい。
またこれらの成果を、関東・東北への関わりの中に結びつけ、被災地支援を健康サポートの面から進めていきたいと思います。こうしたことのためのに、前々から計画していた内部被曝の知識と免疫を上げる内容を平易に解き明かした絵本のようなパンフレットの作成にもチャレンジするつもりです。

もちろん、原発再稼働を止めるための活動や、震災遺物(がれき)の広域拡散を止めるための活動も重要で、可能な限りの関わりを持ちたいと思いますが、僕自身としては上述の内容を自分のフィールドと捉えて、各地で奮闘しているみなさんの力になるべく努力しようと思います。

このためには取材・活動展開費が必要です。僭越ながらみなさんに、再度こうした活動へのご支援・カンパを訴えたいと思います。振込を記しておきます。どうかよろしくお願いします。

すでに自民党政権がスタートしています。この政権は民意を反映したものとは言えませんが、政治権力だけはしっかりと握っています。安倍総裁はさっそく原発再稼働の可能性を示唆し、沖縄普天間基地の辺野古への移設を打ち出しました。
「国防軍」の創設をうたい、選挙の最中に、憲法の基本的人権条項の否定まで示唆する人々が政権を握ったのですから、腹をくくってこれと対決していくことが問われるでしょう。そのためにも僕は私たちの知力を鍛えるために奮闘したいと思います。そのことで一緒に草の根から民主主義を育てましょう。民主主義を担う私たち自身を成長させましょう。
「明日に向けて」の(602)以降の記事も、ただただそのために書き続けます。ともに前に進みましょう!

振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
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2012年8月から12月までのあゆみ
【7月】
7月6日 白い鳩保育園にて講演(京都市北区)
7月7日 小水力関連で古谷さんと対談(京都市東山区)
7月8日 長岡京市にて講演(京都府長岡京市)
7月14日 大槌町寺野勤労体育館にて講演(岩手県大槌町)
7月14日 大槌町第5集会所にて相談会(岩手県大槌町)
7月15日 大槌町吉里吉里吉祥寺で講演(岩手県大槌町)
7月15日 大槌町安渡第2集会所にて相談会(岩手県大槌町)
7月17日 山形市遊学館にて講演(山形県山形市)
7月18日 山形市遊学館にて講演(山形県山形市)
7月18日 米沢市伝国の杜置賜文化ホールで相談会(山形県米沢市)
7月18日 米沢市伝国の杜置賜文化ホールで講演会(山形県米沢市)
7月19日 会津若松放射能情報センターで講演会(福島県会津若松市)
7月21日 西陣和楽園で講演(京都市北区)
7月22日 東山区やすらぎふれあい館で講演(京都市東山区)
7月29日 北部クリーンセンター近くで講演(京市右京区)
講演15回岩手県大槌町、山形市・米沢市・会津若松市訪問

【8月】
8月9日 京都市にて講演
8月15日 京都府ゴーゴーワクワクキャンプで講演
8月18日 広島県尾道市にて講演
8月18日 広島県福山市にて講演
8月19日 広島県三原市にて講演
8月22日 京都府東舞鶴にて講演
8月23日 京都市労働学校にて講演
8月25日 京都市PAOSにてロクローさんと対談
講演等8回

【9月】
9月1日 山水人にて中嶌哲演さんと対談
9月2日 京都市西京区母親大会で講演
9月7日 広島県尾道市にて講演
9月8日 大阪市にてシンポジウム参加
9月9日 長野県高藤町の「小さな命の祭り」で講演
9月15日 高木基金放射線測定室講習会に参加(福島県いわき市)
9月16日 京都府与謝野町にて講演
9月16日 舞鶴復興ミーティングに参加
9月21日 京都市北白川 いずみ保育園にて講演
9月24~27日 台湾に旧日本軍性奴隷問題被害女性を訪問  
9月27日 兵庫県篠山市にて講演
9月28日 兵庫県丹波市にて講演
9月28日 京都府舞鶴市にて講演
講演等11回 台湾訪問

【10月】
10月4日 東京で内部被曝問題研記者会見に参加
10月7日 同志社大学の寮で原発事故避難の心得を講演
10月8日 京都OHANAプロジェクト大槌訪問報告会で講演
10月8日 滋賀県大津市で肥田舜太郎さん講演会に参加
10月20日 京都市左京区「茶山のさと」にて講演
10月21日 京都市室町学区ソーシャルキッチンにて講演
10月24日 篠山市原子力災害対策検討委員会会議に参加
10月27日 大阪府島本町にて講演
10月29日 奈良県奈良市にて講演
講演等7回

【11月】
11月2日 京都市北白川万井医院訪問
11月3日 大阪・イノチアクションで講演
11月4日 京都市にて衆議院議員平智之さんと対談
11月11日 京都市醍醐・母親大会で講演
11月13日 同志社大学の授業にて講演
11月13日 京都市ライトハウスにて講演
11月15日 グアテマラ・マヤ、スピーキングツアーに参加
11月18日 広島市にて講演
11月25日 京都市ベジタリアンフェスティバルにて講演
11月25日 京都府宮津市にて講演
11月25日 京都府伊根町にて講演
講演等9回

12月1日 福井県大飯町にて講演
12月2日 福井県高浜町にて講演
12月6日 京都市あゆみ助産院にて講演
12月8日 京都市YWCAにて講演
12月9日 「畑とつながる暮らし方」出版祈念パーティーに参加
12月11日 京都市仏教大学にてフライングダッチマンとの企画で講演
12月12日 兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会会議に参加
12月12日 篠山市でなんでも質問会で講演・応答
12月14日 小さき花・市民の放射能測定室訪問
12月15日 宮城県仙台市の被災者企画に参加
12月16日 福島市取材
12月18日 岩手県大槌町吉里吉里仮設にて講演
12月19日 岩手県大槌町小鎚第17仮設にて講演
講演等8回 
(501)~(600)の間に講演58回