守田です(20200522 22:30)

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● 『放射線を浴びたX年後』とは

今回はテレビで放映予定の番組をご紹介します。記事のタイトルにあげたもので、24日日曜日24時55分(25日月曜日0時55分)から25時50分(同1時50分)までです。日本テレビ系列で放映されます。案内を貼り付けます。
http://www.ntv.co.jp/document/

NNNドキュメントの案内

紹介で使われている写真が衝撃的です。居並んでいるのは軽装のイギリス軍兵士たち。上半身裸のものもいます。そのはるかかなたの上空に、赤く焼けたキノコ雲が登りつつある。
このタイトルの中にある『放射線を浴びたX年後』とは2012年1月に「NNNドキュメント」で放送された番組のこと。のちに新たな映像を加えて映画化されました。その後、2015年に映画第二作が作られ、続けてテレビ番組の続編が作られてきました。
扱われているのは、第二次世界大戦後に太平洋で行われたアメリカの核実験のこと。水爆が繰り返しさく裂させられましたが、周りにはたくさんの人々がいて深刻に被曝しました。映画は身体に異変が現れる日のことを「X年後」と呼んでいます。

映画のHPをご紹介しておきます。
http://www.x311.info/part1.html

放射線を浴びたX年後の案内

もっとも被害を受けたのは太平洋の島々の方たちでした。とくにマーシャル諸島の中のビキニ環礁、エニウェトク環礁周辺の島々の人々が本当にひどい被害を受けました。
同時にこの海域には、たくさんの日本のマグロ漁船がいて、船員たちが被曝しました。そのうちの一隻、「第五福竜丸」が有名になりましたが、実際にこの海域にいた船は1000隻を越えていました。
映画はその漁民たちを追いかけています。第五福竜丸以外の船のことがほとんど忘れ去られていた中で、高知県の港町のある教師と高校生たちが地道に調査し、埋もれた事実を浮かび上がらせ、それが番組となっていきました。

漁船は多くがマグロを追っていました。体力勝負でした。しかも荒海で操業するので、一つ間違えば海の藻屑になる危険な仕事。勢い屈強な男たちが集まってきました。
しかしその屈強な男たちが、後に次々と発病していきました。まさに「放射線を浴びたX年後」でした。
今回の番組の紹介には「生存者の口から語られる目撃証言。さらに核実験に関わったイギリス軍の元兵士や遺族も重い口を開き始める」と書かれています。貴重な映像が観れそうです・・・。

● 放射能とコロナ

放射能(正確には放射性物質)とコロナ・・・何か関係があるでしょうか。核実験で拡散されたのは人工の放射性物質です。コロナは~おそらくは~自然界の中から生まれてきたものです。もちろん全く違うものです。
しかし僕は、いまの新型コロナによる「パンデミック」と言われている事態の中で、わたしたち人間が、自然と自分たちの関係を大きく捉え返すべき契機が与えられているのではないかと思うのです。
近代社会に人間は「科学」を手にしました。自然界の法則(神の摂理)を理解し、応用すれば大きな力が得られる。「知は力なり」。そう。そのもとで近代社会は生産力をどんどんあげました。その末に登場したのが原子力でした。

核分裂、そして核融合のエネルギーを解き放つ。しかしそれは、アメリカ・ニューメキシコ州のトリニティ実験場での悲劇を生み、広島・長崎の悲劇を生み、南太平洋、ネバタ、セミパラチンスク・・・などなどの悲劇を生みました。

ビキニ環礁での核実験=クロスロード作戦・ベーカー実験 1946年7月25日

いやそれはウラン発掘の時から始まっていました。各地の先住民族の聖地が荒らされ、被曝労働が強制され、住民も被曝す、本当に酷いことが連綿と続いてきた。
それはいまなお続いています。スリーマイルで、チェルノブイリで、福島で、深刻な原発事故が起こり、たくさんの放射能が撒かれたのに、「俄かに健康に被害はない」「怖がり過ぎる方がいけない」「被曝影響は大したことはない」と言われ続けています。
そればかりではない。世界のいたるところで、放射性廃棄物が本当にひどい形で捨てられています。いままた福島原発サイトから放射能汚染水が海に注がれようとしている。

人々を幸せにするはずの科学が、人々を手酷く苦しめている。そのように科学が使われている。もちろんすべてがそうではありません。しかし私たちは科学と生産力の「進歩」「発展」を大いに疑い、反省すべきときに来ているのではないでしょうか。
その一つの象徴が、新型コロナの影響で、世界中で生産活動や商業活動にストップがかかるやいなや、空がどんどんきれいになりつつあることです。

ロサンゼルスの空について報じるロイター 4月14日

もちろんこのまま生産を停めていたら、コロナではなくて、食べられなくて人が死んでしまいます。でも同じような生産のあり方で良いのか。また空を排ガスで覆うことが正しいのか。大きく捉え返すときが来ています。

科学のあり方、生産のあり方、したがって世の中のあり方を捉え返すこと、いま私たちはその大切な時に立ち会っていると僕は思うのです。
だから、近代から現代にいたる「科学のあやまち」としっかり向き合うために、「クリスマスソング 放射線を浴びたX年後」を一緒に観て、一緒に考えを深められたらいいなと思うのです。

#放射線を浴びたX年後 #核実験 #南洋諸島 #原水爆 #NNNドキュメント #新型コロナウイルス

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