守田です(20251106 23:30) 明日に向けて(2534)

● 「京都北部・市民放射能測定所たんぽぽ」主催の企画です

京都府綾部市で11月22日(土)午前10時から11時45分までお話しします。
「乾式キャスクや新増設・・・原発問題の今と私たちができること 基本の「き」から!教えて守田さん!」というタイトルです。

主催は「京都北部・市民放射能測定所たんぽぽ」 連絡先は090—4462—2091(中島さん)
会場はあやべ・日東精工アリーナ第一会議室です。「事前申し込み不要・入場無料(会場カンパを募ります)」とのことです。

綾部市はその多くの地域が高浜原発から30キロ圏内に入ります。それだけに原発問題への関心の高い方たちがおられ、これまでも何度も講演させていただいています。
今回もともに関西電力が進めようとしている乾式キャスクと新増設の問題を中心に、原発を直ちに止めなければいけない理由の基本の「き」からお話しします。

● 乾式キャスクは原子力政策破綻の中での愚かな延命策

乾式キャスクとは、使用済み核燃料を保管するための金属的な容器のこと。燃料の持っている熱に空冷で対処するので「乾式」と言われ、輸送にも使用されています。
関西電力は高浜、大飯、美浜原発でこの乾式キャスクに燃料プールの中の使用済み核燃料の一部を2028年ごろまでに移そうとしています。(高浜では第一期分を2027年までに行うと発表)

なぜこれが必要なのかというと、それぞれの燃料プールがあと数年でいっぱいになってしまい、燃料の交換ができなくなって運転不能になるからです。そこからの延命策が乾式キャスクですが、ここには原子力政策の破綻が表れています。
使用済み核燃料は当初は熱量も放射線量も高く、プールの中でしか保管できませんが、冷えて線量も下がったら再処理工場に運び出すことにしていました。ところが再処理工場が稼働せず行き場がなく、核燃料プールが埋まりつつある。

だからプールの容量を増やそうとしているのですが、分かりにくいのは、関電が「乾式貯蔵施設への移し替えによって生じるプールの空きスペースは原則として使用しない」と言っていること。
これは詭弁です。「使用しない」とは「恒久的な保管場所として使わない」という意味で、実際には核燃料の「仮置き場」に使うのです。それでプールが満杯なるまでの10年ぐらいの時間を稼ごうとしている。その間に持ち出し先を作ろうというのです。

乾式キャスクに関する関西電力の説明図
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240315_1j.pdf

● そもそも燃料プールはリラッキングで稠密化されていて危険

この乾式キャスク採用策は延命策の塗り重ねです。というのは実は全国の原発の燃料プールの多くは、設計当時のままだったらすでに満杯になって運転ができなくなっていたはずなのです。
これを回避するために「リラッキング」がなされました。核燃料を入れるためのプールの中のラックを狭めてしまい、核燃料の間を狭くすること=稠密化を行い、それで燃料プールの容量が増やされてきたからです。

これ自身が大変、危険なのです。なぜなら核燃料はとても高い熱を持っています。運転中では冷却できないとすぐにメルトダウンしてしまいます。このため使用済み燃料も一定の間隔をあけてプールで保存しているのですが、それを狭めてしまった。
さらに核燃料は一定量が集まると臨界に至ってしまう恐ろしさを持っています。そのためにも間隔があけられてきたわけですが、運転継続のためにこの安全マージンもかなり削ってしまった。運転のために安全性がそぎ落とされているのです。

そうして容量を増やして、稼働を続けながら六ヶ所再処理工場の運転に漕ぎ着けて、核燃料を順次運び出す計画でしたが、今日までまったくできず、稠密化している核燃料プールにさらに使用済み核燃料をぎゅうぎゅうに詰め込んできてしまった。
もちろんその分、危険性もどんどん上がっています。満杯に近づいているということはその分、恐ろしさが極大化しているということなのです。だから「安全性」を歌うなら、即刻、運転を断念すべきです。

玄海原発のリラッキング開始に関する報道

リラッキングでこれほど狭くされている

● 新増設など絵にかいたモチ

さて全国の燃料プールがそんな状態になっているのに、政府は「次世代型原発」の開発を指示し、関西電力も美浜原発の新増設のための検討を始めると発表しています。
「次世代型原発」は画期的に安全だとか歌われていますが、これは「語るに落ちた」言葉です。なぜっていまの原発が危ないからこそ「次世代原発」の開発が必要とされていることを自ら告白しているからです。でもそれなら今の原発を全部止めてやるべきです。

しかもその「次世代型原発」を見てみるとどれも展望のないものばかり。「革新軽水炉」「小型モジュール炉」「高温ガス炉」「高速炉」「核融合炉」が挙げられていますが、「小型モジュール炉」「高温ガス炉」「高速炉」は過去にあったアイデア。
でも安全性や経済性の面で採用が見送られたものなのです。「革新」でもなんでもない。「核融合炉」にいたってはまだ発電ができる展望すらまったくないしろものにすぎません。

つまりいまの「軽水炉」は原発の最進化型なのです。それが過酷事故=メルとダウンを防げないのです。このため現実的に展望があるのは、この軽水炉をさらに「発展」させた「革新軽水炉」しかないのですが、それも破綻が目に見えている。
というのはこの炉はすでに世界で何基か作られているのですが、どれも建設費が当初の予定の5倍、6倍に膨れ上がってしまい、経済性の面で破綻しています。しかもメルトダウン後が考えられている。絶対にメルトダウンしない炉の開発は諦めたのです。
なおこの点について語った講演動画を貼り付けておきます。

原発推進策はあまりに愚かで無展望(明石講演20250921より)

このように乾式キャスクのことから考えても、新増設から考えても、原発に未来などまったくありません。原発はオワコンです。廃炉に進む以外の選択肢はないのです。
この点を11月22日に綾部でみなさんとしっかり学び取ります。ぜひお越しください。

#乾式キャスク #原発新増設 #市民放射能測定所たんぽぽ #関西電力 #核燃料プール #リラッキング #原発はオワコン