守田です(20200518 21:00)

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● 特定重大事故等対処施設(特重)の建設ができなくて停止

川内原発2号機がもうすぐ停まります!特重施設建設の期限である21日に間に合わないためです。同様の理由での停止は、3月の川内原発1号機に次ぐものです。
停めるのは当然のことですが、これでは遅すぎる。なぜならもともとの建設期限は、新規制基準施行後の5年後の、2018年7月だったからです。
そこで停めて当然なのに、規制委員会は期限を大幅に伸ばしたのです。しかし九州電力はそれすらも守れなかった。いや四国電力も関西電力も同じで、だから今後、各地の原発が停まります。

川内原発2号機、20日午後停止 1号機に続き
日経新聞2020/5/18 17:06
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59240800Y0A510C2LX0000/


川内原発1,2号機 守田撮影

特定重大事故等対処施設は、いわゆる「テロ対策」施設と呼ばれています。
しかしここにも大きなウソがある。地震など自然災害などで起こる原子炉の崩壊を食い止める施設を「重大事故等対処施設」と呼び、新規制基準の下では、それを満たしていないと動かすことはできないのです。
ところがなんと九州電力も他の電力会社も、この地震など、自然対策施設も完成させていないのです。

最たるものは「免震重要棟」です。耐震ではなくて免震です。地震で倒れないのではなくて、地震の揺れが吸収され、だから大きな余震がある中でも活動ができる棟のことです。
福島原発事故のときは、これがたまたま半年前にできていた。だからそこに故吉田所長らが籠って、せめてもの事故対策ができたのです。テレビ会議などで私たちがその姿を見たのは、この棟の中でした。
九州電力は新規制基準が通った後に、この棟を作る約束を反故にし、関西電力なども追従しています。つまり各地の原発が、地震後の安定的な対策指揮所もなしに運転しているのです。だからいますぐ停めるべきなのです。

● 自衛のための戦闘機や艦船が必要だというなら、まずは原発を停めるべきだ!

今後、次々とこの特重施設の建設期限が来ます。高浜原発3号機は8月2日、4号機は10月7日に停まります。
伊方原発が~すでに裁判で停止中ですが~2021年3月22日に期限を迎え、大飯原発3,4号機が2022年8月24日に、玄海原発3号機が同じく8月24日に、4号機が9月13日に期限を迎えます。
各社とも、停止期間を少なくするために、この間、突貫工事を進めてきましたが、コロナ禍の中ではそれもままならない。

とくに暗礁に乗り上げているのが、原子力規制委員会の審査です。
いま電力会社でのさまざまな業務をテレワークに変更中ですが、特重施設は「テロ対策」施設なので、その性格上、審査が非公開とされています。そのためインターネットを使えないのです。このため審査が遅れることが指摘されています。

原発規制委、コロナで審査遅れも 秘密保持でネット使えず
2020/5/4 6:00 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/605756/


機密保持のためにネットが使えないことを報じる西日本新聞

しかし、この話、なんだかおかしいと思いませんか?「テロ対策のことだからネットが使えない」ということよりも、「テロ対策施設が作れていない」ことが大々的に公言されながら、原発が動かされている方がおかしいのではないでしょうか?

つまりこの「テロ対策」施設建設は、気が優しくて、施設ができるまで攻撃を待ってくれる、そんな都合のいい「テロリスト」を想定して行われているのです。
本来、それが必要だと言うのであれば、「テロ対策」施設が完成するまで、危険気わまりない原発は動かすべきではないのです。
もちろん僕は誰かが原発を狙っているなどとは思っていません。しかし日本が攻撃されることを想定し、たくさんの戦闘機や艦船、ミサイルを持つと言うのなら、テロと言わず「攻撃」に対する備えのできていない原発を即刻停めるべきです!

● 感染症対策からも原発の停止は必須。工事もやめるべきだ

さらに新型コロナ感染症対策から言っても、原発はすぐに停めるべきだし、工事もやめるべきです。
何より、いま原発事故が起こったら、破局的です。移動を少なくしよう、3密を避けようといっているときに、事故対処でも避難でも人が大きく動かなくてはならなくなる。
避難所だって作らなければならなくなる。最悪です。放射能とウイルスに人々が襲われてしまう。

そこまでいかなくても、原発の中でクラスターが発生し、安全管理部門にそれが広がったら極めて危機的です。
さらに川内2号機では、停止と共に定期点検や、特重施設建設が進められようとしていますが、それそのものがクラスターを生みやすい。そんな工事はやめるべきです。
それらを考えたときに、いま動いてる原発はやがて基準を満たさず停まることは明らかなのだからすぐに停めるべきだし、その後の稼働を急ぐための突貫工事など、やるべき時ではないことも明らかです。

感染症という大きな自然災害に見舞われているのだから、こういうときはリスクを減らすことが大事。だから即時、原発を停めるべきなのです。
こうした観点から、僕は「ウチら困ってんねん@京都」の仲間と声明文を用意し、関西電力に停止を申し入れました。あわせて京都市議会と府議会に、このことを論議し、原発停止の申し入れをして欲しいと陳情もしました。
鹿児島でも「川内原発建設反対連絡協議会」(鳥原良子会長)が、14日に、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、九州電力川内原発の定期検査作業中止などを九電に申し入れるよう求める要請書を県に提出しています。

川内原発定期検査作業中止を申し入れ 反原発団体、感染拡大防止挙げ
西日本新聞 20200514
https://news.livedoor.com/article/detail/18260983/

原発を停めよ!の声を高めていきましょう!

#川内原発 #特定重体事故等対処施設 #テロ対策 #原発とコロナ #原発を停めよ

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