守田です(20200506 22:30)

今回は原発のことについて論じます。

● 原発の中でクラスターが発生すれば一気に危機が。事故が起きれば最悪の事態に・・・。

新型コロナウイルス感染症対策として、緊急事態宣言が出され、8割の接触の削減が目指されてきましたが、そんな中でも原発は稼働を続けています。非常に危険です。
最も懸念されるのは、原発の中で感染が拡大し、クラスターが生じ、運転員や保安業務に携わっている方たちが感染してしまうことです。
そうなったとしても原発は、急には安全な状態にはなりません。原発を止めてから、核燃料が冷えるまでに、時間が必要だからです。

また原発内では、さまざまな工事が続けられています。その多くが、作業員をたくさん外から呼びこんで行われており、常に感染が起こる可能性があります。
実際に、玄海原発で4月に感染者が発生しました。東電の柏崎刈羽原発でも、同じことが起こっています。
これに対し、関西電力はこの点に気付き、大飯原発3号機で、5月8日から3か月の予定で実施されるはずだった定期点検を、数か月延長することにしました。しかしそれまでは動かし続けるとのこと。なんということでしょう。

さらにこの時期に、原発が事故を起こしたらそれはもう最悪です。
小さな規模の事故でも、調査や修理などで人手を増やさなくてはいけない。さらにより大きな事故になり、人々の避難が必要になれば、目もあてられないような最悪の事態になります。
放射能と感染症に人々が襲われてしまう。そんな危機を絶対に起こさないために、最低でも感染症が収まるまで、すべての原発を停めるべきです。


柏崎刈羽原発関連で5人の感染を伝えるNHK 4月27日

● そもそも特定重大事故対策施設も、重大事故対策施設もできていない!地震が来たら大ピンチ!

原発を直ちに停めるべき理由の二つ目は、そもそも各原発が「特定重大事故対策施設」が作れていないことです。もともとそれだけでも直ちに停めるべきなのです。
そもそもこれらの施設の設置期限は、2018年7月でした。ところがどこの原発もそれまでに設置ができなかった。そうしたらなんと規制委は期限を大きく延ばしたのですが、実はその新たな期限にすら各原発とも間に合わない。
このためにすでに3月17日に川内原発1号機が停まりました。2号機も、もうすぐ5月20日に停まります。高浜3号機は8月2日、4号機が10月7日が期限です。他の原発も2021年、22年に期限を迎えますが、突貫工事でも間に合いそうにない。



グラフ 特定重大事故対策施設の設置期限とその延長

感染症の観点からは、定期点検と同じように、特定重大事故対策施設工事も当然にも危険です。もともと2018年7月までに設置できなかった工事なのですから、いますぐ工事を止め、原発も停めるべきなのです。
いや、そもそもテロや航空機の突入など、「特定」の重大事故対策施設と名指されたものもできていませんが、実はその前に行うべき、重体事故対策施設の設置も、どこの原発も完全にはできていません。
特に大事なのは多くの原発で免震重要棟が作られていないこと。大地震で原発が壊れたときに、余震の中でも事故収束を可能とする免震構造をもった指揮所のことですが、これができていないばかりか、作る約束が反故にされたりしているのです。

しかし福島第一原発事故では、なんと半年前にこれができていたから、最低の対応が可能になったのでした。故吉田所長などの姿がテレビで写っていたあの施設です。あれがなければ東日本は壊滅だったのです。
それが今のほとんどの原発には設置されていません!さらに過酷事故の時のためのフィルターベントだってついていない。繰り返しますが、もうそれだけで動かすべきではないのです。
その上に、いまこの国が、いや世界が、深刻な感染症の中にあるのです。だからいま、全ての原発をただちに停めるべきです!声を上げましょう。


2015年12月17日、九州電力が「新規制基準合格後」に免震重要棟は作らないと表明

なおこれらの点をより詳しく知りたい方は、もりもりチャンネルの解説をご覧ください。
https://youtu.be/-EcpWkBESik
#原発停止 #新型コロナウイルス #重大事故対策施設 #特定重大事故対策施設 #免震重要棟

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