守田です(20180511 23:30)

9日に再稼働を強行した大飯原発4号機、もうトラブルを起こしました。
10日午後5時38分に蒸気発生器の水位計が異常を検知。「原子炉を止めよ」という警報を発信しました。
以下、正確を期すために関西電力のプレスリリースを貼り付けておきます。

「大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力118万キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、平成25年9月15日から第15回定期検査中のところ、本日17時38分、中央制御室原子炉盤に「原子炉トリップパーシャル※作動(原子炉系)」警報が発信

し、同時刻に復帰しました。同時刻に、プラント計算機に「C蒸気発生器水位低原子炉トリップパーシャル」警報が発信し復帰しました。
プラントパラメータ等を確認したところ、蒸気発生器(2次系)の水位は規定値内であり、プラント状態に異常はありませんでした。
これにより、17時00分から実施していた原子炉出力上昇操作は中断していますが、今後、念のため水位計について問題がないか点検し、問題がないことが確認できれば、原子炉出力上昇操作を再開する予定です。
また、周辺環境への放射線の影響はありません。

※原子炉をトリップ(停止)させる信号は4系統で構成されており、そのうち1系統の信号が作動した時に発信する警報である。なお、2系統以上の信号が同時に作動すれば、原子炉は自動停止する。
[平成30年5月10日 お知らせ済]

本日20時25分から21時05分において、C蒸気発生器の水位計について点検を行い、異常は認められなかったことから、今後、準備が整い次第、原子炉出力上昇操作を再開する予定です。」

大飯発電所4号機の状況について(「原子炉トリップパーシャル作動(原子炉系)」警報の発信)(第2報)
2018年5月10日 関西電力株式会社
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2018/0510_4j.html

要するに蒸気発生器という部品の水位に異常がないのに水位計が「危険」を感知し、警報を鳴らしたというのです。
「原子炉トリップ」というのは原子炉を止めることで、4系統のうち2つが動いたら原子炉が止まるのですからあと一つで緊急停止していたわけです。

このリリース、良く読み込むとなんとも奇妙です。
水位が危ないわけではないのに水位計がアラームを出した。それで念のために水位計も点検した。でも問題がなかったから中止していた出力上昇作業に入ると言っているからです。実際に大飯4号機は11日17時から発電を開始しています。

ではなぜアラームが鳴ったのでしょう?点検して問題がないと言ったって、水位がおかしくないのに「おかしい」という警報を発したのですから、どう考えたって水位計の誤作動なのです。
しかし「異常は認められなかった」という。これは実際には「異常が起こったけれど原因が分からなかった」ということなのではないでしょうか。プレスリリースを読む限りそうしか解釈できません。「なぜ誤報が発せられたのか」がどこにも書いてないからです。

今回のこの故障事故は、明日にも大事故が起こるような兆候ではないだろうとは思います。
しかし安全装置の不具合で、適正に働いていないわけで、そうなると他の水位計は大丈夫なのかという懸念も生じます。
水位が下がってもいないのに「警告」を出してしまったのに、その原因も特定しなければ修繕もしていないからです。

いや恐ろしいのは今回は安全な状態なのに危険と判断したわけですが反対も起こりうるのではないか。危険になっているのに感知しない。そういう危機的な誤作動もありうるのではないか。それなのに原因究明がなされない。このあり方に僕は巨大な危険性が潜んでいると思います。

なんでこんなことになるのか。一次冷却水ポンプについて指摘してきたように、実は原発はさまざまな点で完成していないプラントで、計器の不具合など、頻繁に起こっているからだと思います。実は細部では分からないことだらけ。しかし「そんなことにかまっていたら運転できない!」というのが電力会社側の本音でしょう。そこに危機が大きく介在しているのです。

ともあれ大飯4号機のウォッチを続けます!