守田です。(20120704 23:00)

大飯原発3号機の再稼動が始まってしまいましたが、先週の土曜日から月曜日の未明にかけて、素晴らしい現地反対行動が取り組まれました。東京の首相官邸前20万人行動と心でつながった行動だったと思います。

その後、現場から戻ってきた多くの方たちが、その様子を伝えてくれました。これまで講演会・学習会などで出会った実に多くの方たちが参加していたことがわかって、胸が熱くなりました。

今回の現場の行動を見ていて思うことは、非常に高く美しいモラルをみんなが共有していたということです。それは原子力発電という巨大な暴力装置に、思想的にも立ち向かうものであると僕には思えました。だからそれは非暴力であり、非攻撃的であり、説得を第一においた行動だったと思えます。とくに誰もが非暴力に徹しようとしていることが素晴らしいと思えました。

今後の運動の発展のためにも、ここらで暴力の問題に関する考察を深めておきたいと思いますが、今はともあれ、現場で実現したことを少しでも全国のみなさんとシェアするために、幾つかの報告を紹介したいと思います。

まずはその中の一つ、僕の大親友で京都在住の蒔田直子さんが7月1日に書いた報告からご紹介します。

*********

蒔田直子さんの現場報告(7月1日)

蒔田です。

今朝5時にハリーナの友子さんたちと京都を発ち、7時頃大飯ゲート前に到着しました。

昨夜も雨の中で、真夜中に車を鎖でつなぎバリケードが築かれ夜を徹して抗議行動が続けられていました。私たちの車もバリケードの最前列で頑張ってくれました。
雨でずぶ濡れになりながら、徹夜組の若い人たちが声を挙げ続け、持ち込んだドラムや打楽器を打ち鳴らして、休むことなく、しかもお祭りのように楽しく!気持ちを奮い立たせてくれました。

8時前に反戦老人クラブをはじめ(こちらは平均年齢70歳位?)デモ隊が拍手の中到着。
ゲート前は300人以上になり、雨が強まる中でドラムと抗議の声が膨れ上がりました。

機動隊がさっそく登場し、何度か緊迫感が漂いましたが、一時間ごとにメンバー交代して徹底無表情で立っているだけ。
並んだ機動隊の盾をコツコツと叩きながら、何時間も静かに隊員の顔を見つめ続ける若い女性たちには胸を打たれました。
私は、あなたたち顔を見て話をしようよ、いい身体してるんだからこんな因果な仕事はやめなさい!ひたすらしつこくオバサン話しかけ作戦を展開、いやだったと思う。

女性や子ども、老人が多い時間に手は出さない、疲れるのを待つのだと見て取れました。
Uストリーム配信などで多くの人が見ているのは、随分心強いものですね。来たくても来れない膨大な仲間が背後にいるのですから。
現場の弾圧の目撃者がいるのは、暴力の抑止になるのを実感しました。
雨で消耗する中、神輿をかついだオトコたちも登場し、みんなの気持ちを奮い立たせました。
激しい雨の中でドラムを叩き続ける若い女性、意気軒昂な老人たち、仮面の機動隊員と対照的な美しい表情の顔ばかりです。

上がるかとみえた雨が激しく降り出し、どしゃ降りになった昼過ぎに体力限界で引き上げました。
バリケードから抜けるとき、うちの車も泣いて・・帰り道、他県の装甲車が何十台も待機しているのを、たまらない思いで睨みながら、夕暮れ以降に起こることに悔し涙でした。

悔しいけれど、できることをそれぞれが長~い時間軸で、がんばらない、あきらめないで続けていくってことでしょうか。緊迫しながらも非暴力に徹したお祭り空間、今もあらたに現場に向かう人たちがいます。
これはひとつの始まり、ジブンたちの力を信じたい。

(引用はここまで)

*********

こうした現場の姿は、動画や写真などで随分、たくさん私たちのもとに届きました。

みなさん、それぞれにいろいろな動画をお持ちでしょうが、ここでは山水人(やまうと)というMLへの、友人のフージーさんの動画投稿をご紹介します。

***

フージーです。

昨日の最前線。機動隊によって最前線が後退したので僕が最前線になってしもてる。
http://youtu.be/1rlXdPyX8ug
http://youtu.be/2MMxQczpXwo

***

ちなみにこのMLには山水人の主宰者の一人、祖牛さんが現場の様子を流し続けました。ここで当日の朝からのものをまとめてご紹介したいと思います。臨場感を味わってください。

祖牛さんの現場報告(6月30日~7月2日)

6月30日午後11時5分

祖牛です。
現在の大飯原発ゲート前の状況。
機動隊が装甲車の中に入り休憩中、その間に仲間の車でバリケードを再構築。
PAが運び込まれ、ゲート前でライブが始まりそうです。これからどういう展開になるか分かりませんか、ゲート前に来る道は封鎖されていません。
明日の朝にまた応援が増えそうですが、明日が再稼働予定の日です。
集まって下さい。

7月1日午前1時25分

祖牛です。
大飯原発ゲート前です。
ゲートを挟んで内と外の人間バリケードの空間で、はちようびとジャンベ軍団のライブのリズムに乗って、再稼働反対のコールが激しく、現在、機動隊の動きが止まっています。
夜が明けるまで、機動隊の攻撃が無いこと切に願います。
応援を待っています。

7月1日午前6時32分

おはようございます。祖牛です。
大飯原発ゲート前、朝を無事迎えました。
ゲート内側の仲間たちは、雨にうたれながら一晩中、太鼓隊に元気づけられ、再稼働反対を叫び、機動隊と対峙しました。
ゲートの外側では、人間の鎖の前でダッチマンのヒューマンエラーをながしています。夜明け前から大鹿や岡山の仲間たち、そして各地から参加者が増えている状況ですが、再稼働前に、あの町長と大臣が来るとの情報です。それまでに機動隊による何らかの強制排除があると予想されます。
まだまだ、人数が足りません、応援をお願いしたいです。
とにかく、今日が再稼働の日です。

7月1日午前9時25分

祖牛です。
皆さんありがたいです。
明るくなってから東京からの大型バスの人達も加わって、参加者がとても多くなってきました。雨もきつくなってきましたが、徹夜組も元気をとりもどしています。
心配なのは、いつ機動隊が動き始めるかです。
再稼働予定は午後9時だそうです。
まだまだ間に合うので、応援をお願い致します。

7月1日午後6時7分

祖牛です。
ついに、警察の実力行使が始まります。
暴力反対!

7月1日午後10時

祖牛です。
ゲート前より
大飯原発3号機、再稼働したようですね。
ここからはまったくわかりません。

こちらの状況は、実力行使に警察が入ってから3時間余り。
一番外側の座り込みのバリケードは暴力的に引き抜かれ、その次の自動車のバリケードを警察は突破。
ゲートに鎖でくくりつけた仲間たちと対峙。
そのゲートの原発側に約50人の仲間が、ドラム隊のリズムに乗って、完全武装の機動隊に押し返されないように頑張っています。

残った仲間たちは、座り込みのラインからかなり押し出され機動隊と対峙して、ゲート内側に孤立した仲間を励ますように抗議を続けています。
警察は解散しなければ実力で排除すると指揮車から再三通告していますが、中に孤立している仲間たちを勇気づけるためにも続けるしかありません。

中で頑張っている仲間がこれからどうなるのか、非常に心配です。
今のところは、逮捕者は出ていません。みんな非暴力を徹底しています。

7月2日午前12時25分

祖牛です。
大飯原発ゲート前から
今、突然に一番外側で封鎖線をつくっていた警察隊が引き上げました。
分断されていた外側の仲間が、孤立化していたゲート内側の仲間の所に、歓声を上げなだれ込みました。
しかし、依然、原発を守る完全武装の機動隊は隊列をなし封鎖を続けていますが、一気にお祭りになっています。
この急展開に、私は戸惑っています。
どのような結末を迎えるか安心はしていませんが、とにくこの瞬間は皆、大喜びです。
また、報告致します。

7月2日午前2時40分

祖牛です。只今、無事に帰路についています。
その後、自然な流れで衝突も無く、収束に向かっていきました。
再稼働はしたけれど、みんな明るく、達成感にあふれた表情をしていました。
長い2日間でした。
色々と応援していただいた皆様に感謝です。

(引用はここまで)
*********

こうした現地の熱い活動を、海外のメディアも積極的に取り上げてくれました。
福島事故のあった日本の中で、私たちが原子力政策にどういう態度をとるのか世界が大きく注目していることがこれらの報道から見て取れます。
いくつか拾ったものを紹介します。NHKが海外向けに報道しているNHKWORLDのものあります。それぞれ写真や動画などが見れますのでご覧ください。

ALJAZEERA
http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2012/07/201271102219570481.html

the guardian
http://www.guardian.co.uk/world/2012/jul/01/japan-protest-nuclear-plant-reopens?newsfeed=true

ル・モンド紙
http://www.lemonde.fr/japon/article/2012/07/01/le-japon-redemarre-un-reacteur-nucleaire-dans-la-kansai_1727551_1492975.html

BBC紙
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-18662892

ドイツARDテレビ
http://www.youtube.com/watch?v=E4vlXa45HO4&feature=relmfu

NHK WORLD 
http://www3.nhk.or.jp/daily/english/20120701_13.html

*****

以上、現地の様子を拾いました。ぜひ追体験しましょう。
そうしてこの経験を、私たちみんなのものにしましょう。
そのために、「明日に向けて」の次の号で、もう少し、現地の様子を拾おうと思います。次は、やはり現地から発信を続けてくれていた「いっぽんのこころ」さんの報告など取り上げさせていただく予定です。

紫陽花革命をさらに前に進めるために、貴重な体験のシェアをじっくり進めましょう!