守田です(20180124 17:00)

昨日23日午前9時59分ごろ、群馬県北西部の草津白根山が噴火しました。
近くで訓練をしていた陸上自衛隊隊員8人が噴石にあたり、うち1人が背中への直撃を受けて亡くなられました。スキー客も4人もけがをし、ロープウェイ山頂駅に一時およそ80人が取り残されましたが、その後、無事に救助されました。
気象庁は白根山の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げ、引き続き警戒を呼びかけています。亡くなられた方のご遺族にお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方のご回復を祈るばかりです。

この報を受けてすぐに思ったのはこれは中央構造線のこの間の激しい動きと連動したのではないかということです。
ちょうど地震による原発の危険性を訴え続けてきた広瀬隆さんの最新刊、『日本列島の全原発が危ない!』(DAYS JAPAN1月号増刊)を読んでいたところだったからでもあります。
広瀬さんのこの本の第一章、「超巨大活断層「中央構造線」が動き出した!」というタイトルで書かれています。

それで中央構造線と白根山の関係を調べてみると、やはり近くに位置していること、またちょうど中央構造線が中央地溝帯(フォッサマグナ)に重なる地帯にあることも分かりました。
ちなみに2014年に噴火して多くの犠牲者を出した御嶽山も中央構造線とフォッサマグナの近くにあります。

中央構造線を図示したアドレスをご紹介します。出典はウキペディアです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8A#/media/File:Tectonic_map_of_southwest_Japan.png

中央構造線と白根山の位置、およびフォッサマグナを図示したアドレスをご紹介します。出典はブログitoito styleです。
https://itoito.style/wp-content/uploads/2018/01/FossaMagna.png

大地震と火山噴火に関連聖を火山噴火予知連会長の藤井敏嗣さんが解説しているNHKのページをご紹介します。
http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20120622.html

図を見れば分かるように、中央構造線は日本列島を縦断する1000キロにもおよぶ活断層です。
その西の端の方で昨年、熊本で大地震が起こりました。正確には熊本・九州地震と呼ぶべき地震でした。川内原発の近くの鹿児島県から伊方原発近くの大分県まで激しく揺れたからでした。
こうした大きなエネルギーの変動は断層帯を経て遠く離れた地域にも反映すると考えられています。そうした例が過去にたくさんあります。

広瀬さんは、これらを踏まえて、すぐにすべての原発を止めないととんでもないことになると訴えています。
その広瀬さんの講演内容を見て「日本列島の全原発が危ない!」というタイトルを同書につけたのが広河隆一さんだそうです。
そもそも中央構造線を軸に「西日本が地震の活動期に入ったと思われる」という事実は、阪神大震災以降、繰り返し多くの方に指摘されてきていることです。火山噴火予知連絡会も同じように表明しています。
だから今回の白根山噴火からも、日本にある火山全体の大規模な噴火への警戒を強めるとともに、そのための準備としても、原発を停め、使用済み核燃料や核燃料廃液を少しでも安全な状態に移すことを急ぐべきなのです。

もちろん今回の白根山の噴火と中央構造線の関係性が科学的にすべてわかるわけではありません。
というよりもそもそも地震について、火山の噴火について、まだまだ私たち人間にはわからないことがたくさんあり、どんどん新しい知見が発見されています。
しかし多くの原発がそうした新しい学説が登場する前に計画化され、作られてきました。だから地震大国で原発を動かす安全性の担保など、地震学の面からいってもまったくできていないのです。

中央構造線の歴史にさかのぼると、いまわかっているのは日本列島が壮大なスケールの大地の動きの中で現在の形に至っていることです。
これを解説した記事をご紹介します。

「中央構造線」列島横切る巨大断層 熊本地震の延長上 九州~近畿で400年前に連続発生
日経新聞2016/4/22 3:30
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO99946320R20C16A4TJN000/

現在の研究で明らかになっているのは、私たちが生息している日本列島がもともとは、今でいう中国大陸の一部だったことです。
約2500万年ぐらい前に大陸から離れ始めたようですが、そのとき日本列島は、中央構造線で割った形で大きくずれて存在していたのだそうです。
今でいう日本海側が南へと移動し、反対に太平洋側が北へと移動し、中央構造線で接合する形で現在の形になったのだそうです。

文章では表現しにくいので以下の図をご覧ください。これも日経の同じ記事に掲載されているものです。
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXKZO9994635021042016TJN000&dc=10&ng=DGXKZO99946320R20C16A4TJN000&z=20160422

こうした大陸規模の動きを見ると、どんな大きな地震や変動が起こっても不思議ではない気がします。
原発政策は「そうかもしれないけれどそれは当分は起こらない。そんな天文学的なことを考えていたら何もできない」という屁理屈で推し進められてきたわけですが、もやはそんな詭弁を通用させてはいきません。
そもそも南海トラフ地震など「天文学的」な年月で起こるのではなく、今後30年間をとっても7割という大変に高い確率で起こると考えられているものなのです。これ一つとっても原発はもうアウトなのです。

私たちは今回の白根山の噴火だけでなく、東日本大震災や、熊本・九州地震、御嶽山の噴火等々の大地動乱を踏まえて、「日本が地震の激動期に入っていると思われる」ことを踏まえるべきです。
そしてもうそう「思われる」だけで、一刻も早く原発を停め、使用済み核燃料や廃液を安全な状態に移すことに全力を傾けなければならないのです。

原発ゼロに向けて前進しましょう!

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なお光栄にも広瀬隆さんと2月17日に京都市でジョイントで講演を行うことになりました!
コープイン京都で午後1時から4時までです。
Facebookのイベントページを貼り付けておきます。

広瀬隆さん&守田敏也さん~ジョイント講演会
https://www.facebook.com/events/368974836849823/

ぜひ広瀬節を聞きに来てください。僕も頑張って発言します!