守田です(20230409 10:30)

統一地方選前半投開票日になりました。前回に続いて原発がオワコンであることを示します。ぜひ原発反対を訴える候補のたくさんの当選を実現しましょう。

● 日本原燃がとんでもない審査申請書を提出

前回、プルサーマルの行き詰りについて書き、最後に「こうなると次に来るのは再処理工場の閉鎖です」と書きましたが、その現実性も浮上してきています。
それを象徴するのが、六ケ所再処理工場=使用済み燃料からプルトニウムを取り出す施設の稼働を目指す日本原燃が、間違いだらけのとんでもない審査申請書を提出したこと。

この書類は、工場稼働に必要な審査のためのもので、昨年末に提出されましたが、3月28日の審査会合で原燃自身が大幅に不備があったことを明らかにしました。
約6万ページの申請書のうち、なんと約3100ページで落丁や記載漏れがあったと言うのです。記載がまるまる抜け落ちた落丁が400ページ、記載漏れが800ページ、必要な計算結果の不記入が1000ページ、様式不備が900ページだそうです。

そもそも六ヶ所の再処理工場は1997年に完成する予定が、トラブルを繰り返して、26回も延期しています。
昨年も「年度の上半期に完成」とそれまで宣言していたものの、12月末に「2024年上半期完成」と26回目の延期を行いましたが、その時に提出した申請書がとんでもないものだったというわけです。

東京新聞 2023年4月8日の記事より

● 六ヶ所再処理工場はオワコン

どうしてこんなことになってしまったのか。東京新聞が記事の中でこう分析しています。
(原因は)「経営層がスケジュールありきで現場の社員に無理な作業を押しつけたことがある。現場は『経営層に言っても、工程は見直されない』『間に合わないことは許されない』ととらえ、不完全な書類がそのまま原子力規制委員会に提出された。」

「間に合わないことは許されない」…現場に無理命じて間違いだらけ申請書 日本原燃・六カ所の再処理工場審査
東京新聞 2023年4月8日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/242807

確かにそれもあるかもですが、問題はもっと根深い。スケジュールよりも、もやは再処理工場を完成させようとすること事態が、無理な押しつけになっていることが現れたのではないでしょうか?
なぜってもはやもんじゅが廃炉になり、プルトニウムを使うMOX燃焼工場も作れていません。唯一の頼みのフランスの同工場も暗礁に乗り上げ、再処理する意味が無くなっている。プルトニウム大量備蓄は禁止だから、やっかいものを生みだすだけです。

このことを一番よく理解しているのは現場の技術者、労働者なのです。岸田政権が「原発推進」と無理な号令をかけても、原発が終わったコンテンツであること、再処理工場もオワコンで、なんの未来もないことを現場はよく知っているのです。
その上、六ケ所再処理工場自身も、26回もトラブル続き。技術的にも完全に行きづまっているわけで、その困難を越えんとするインセンティブなどもはや全くないのです。26回目の延期に関するNHKの記事を示しておきます。

青森 六ヶ所村 使用済み核燃料の再処理工場 26回目の完成延期
NHK NEWSWEB 2022年9月7日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220907/k10013807991000.html

● あるのは巨大な危険性だけ、きちんと終わらせなければ

そう考えると、実は現場は、書類の不備を分かっていながら提出したのではとさえ思えてきます。これを裏付ける情報はないですが、しかしそうでもなければこんな大幅な落丁、記載漏れ、計算結果の不記入、様式不備など起こるでしょうか?
少なくとも現場のモチベーションが相当下がっており、仕事に対する誠意など、どんな現場でも必須のものがまったく無くなってしまっていることは明らかです。

それは危機管理意識の低下にもつながっている可能性がある。そもそも26回も稼働が続く中で、6万ページの書類のうち3100ぺージもの不備を生み出す組織が、きちんと危機管理ができているとは思えません。
恐ろしいのは六ヶ所再処理工場には、すでにたくさんの使用済み核燃料が運びこまれていること。軽水炉の事故よりはるかに怖いです。軽水炉は日本の半分を壊滅させかねませんが、再処理工場は北東アジアに壊滅的被害を与える可能性がある。

だからいま、再処理工場はオワコンであることを政府、原子力業界にきちんと認めさせ、即刻再処理工場の廃止に向かい、備蓄した核燃料の安全管理に向かわなければです。
まさにきちんと終わらせることが大事。そのためにも原発反対の声をさらに高めましょう!

再処理工場の事故の恐ろしさについては以下のビデオを入手してご覧下さい。

『カタストロフィ-破滅を防ぐために-』
脚本・監督 池島美紀子
制作 ストップ・ザ・もんじゅ
http://stopthemonju.la.coocan.jp
音楽 坂本龍一「Anger」 さだまさし「防人の詩」
詩の朗読 吉永小百合

以下の動画もご覧下さい。

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