守田です(20170928 12:30)
総選挙に向けて大荒れの状態になってきました。言いたいこと、言うべきことはたくさんありますが、一言、現状を示すならば、政治家の劣化のもとでの大混乱が起きていると言うことです。
もちろん一番悪いのは安倍政権です。今回の解散、大義がないどころか、明らかに朝鮮からのミサイルを追い風にしたものでとんでもなさすぎる。
安倍首相は国連で「北朝鮮との対話は不可能。圧力のみが有効だ」などと連呼しましたが、それが意味するのは日本の私たちにどんどん戦争の危機が迫ってくることです。
これに対して韓国はまさにこの時期に人道援助を行いました。これは朝鮮民主主義人民共和国に対しての「戦争をする気はない」という大きなメッセージの発信です。
日本の右派系メディアは「裏切り」だの「国際的足並みを乱す」など言っていますが、冗談じゃない。戦争になったら真っ先に一番死ぬのは朝鮮半島に住まう南北の人々なのです。
だからこそ、被害を最も受ける当事者であるがゆえに韓国は、アメリカトランプ大統領の圧力に抗して、戦争を避けるメッセージを北に送っているのです。国民、住民を守ろうとする立派な態度です。
安倍政権はまったく逆です。戦争を煽っているようにしか思えない。実際に中国は「日本はアメリカに戦争を煽っているように見えるが危険すぎる」と懸念を表明しています。
では本当に安倍首相が戦争になることを考えているのかというと、まったくそうではないことが透けて見えてしまう。
一つに朝鮮半島の目の前にある高浜原発を稼働させ続けていること。本気で戦争を考えるなら真っ先に止めているでしょう。さらに「国難」だとかなんだか叫んでいるこの時期に、政治空白が生じる解散総選挙に打って出たことです。
これに対して小池新党が立ち上り、民進党がまさかの解党で合流して、政局の大転換を狙いだしたわけですが、端的にどうなろうと日本の政治が流動化するのは必至で、とてもですが、短期のうちに朝鮮半島の緊張関係に向き合える態勢など作れません。
事態のここまでの流動化を安倍政権は予想していなかったと思われますが、ともあれ安倍政権をみているとはっきりと目に見えるのは、実は心の底では朝鮮民主主義人民共和国を信頼しかつ甘えきっているということです。
かの国が高浜原発を狙うことなどはないだろう。政治の空白時に戦争を起こすことなどないだろうとまったく高をくくっているのです。
もちろん実際に僕もかの国が高浜原発を襲うことも、戦争を仕掛けてくることもないと思います。もちろん、そうなればアメリカの軍事力による報復は必至で、とても国家を維持できなくなるからでもありますが、それ以上にそもそも朝鮮民主主義人民共和国が一貫して求め続けているのは、アメリカと平和友好条約を結び、1950年に始まった朝鮮戦争以来続いている「休戦」状態に最後的に終止符を打つことにあるからです。それこそが戦略目標なのです。
しかしそうであるならばその読みをこそ明らかにし、アジアでの無用なテンションの高まりを作らない努力を続けることこそが平和の道なのです。いまのように「北が暴走することなどない」と考えて恫喝を繰り返すのはタカ派の平和ボケです!

これに対して小池東京都知事にしても前原民進党党首にしてももう滅茶苦茶です。もし小池氏が国政に転じたならば、東京都民はまたも莫大なお金をかけて知事選挙を行わなければならなくなる。
いや衆院選に出ずとも、いまの状態では小池氏は東京都のことにとてもではないけれども専念できないでしょう。しかしそれで築地の問題はどうなるのでしょうか。オリンピックを強行しようとすることで生じている歪みはどうなるのでしょうか。(オリンピックそのものはもはや返上すべきですが)
ようするに東京は、小池氏とその周りの人々によって、政権をとるための「だし」にされているのでしかありません。
前原氏の解党、無党派出馬も滅茶苦茶です。前原氏はこれまでの野党共闘において、「理念の違う人々と一緒に政権を目指すのはいかがなものか」と語り続けていました。
しかし今回、理念を語り合う場はあったのでしょうか。何もなしです。ただ議席をとるためだけの解党に走ってしまいました。では投票者はいったい何の理念に投票するのでしょうか?安倍首相以外ならなんでも良いのでしょうか。今のままでの解党、希望の党へのなだれ込みは、政治的理念の解体をしか意味しません。そもそも希望の党はきちんとした政策理念すら公表していないのです。
しかも小池氏は、民進党が「憲法違反」と正面から批判してきた「安保法制」に賛成しており、これを希望の党から旧民進党候補者が公認を得る踏み絵にしようとしています。これでどうしてまともな合流になるのでしょうか。
はっきりしていることはもはや与党から大半の野党まで、政治が劣化しきってしまっていることです。劣化しているのは安倍政権だけではなかったのです。安倍政権とともに多くの政治家がもう本当に劣化しきってしまったのです。
この事態を私たちはどう捉えたら良いのでしょうか。僕は実は政治は、今、劣化したのではなく、もうとうにダメになっていたのであって、その現実が今日、表面化したに過ぎないと思います。
大切なことはもはやこれ以上政治を、「政治家」なる、よく考えてみればわけのわからない人々に委ねていてはだめだと言うことに多くの人々が目覚めるときだと言うことです。私たち民衆がもっと政治に参加しなくてはいけない。
もちろんそこには国政選挙運動への参加も大事なモメントとして含まれます。各地で新しいムーブメントが育っていますが大いに進めていただきたいです。
それと同時に僕は、こんなときこそ、中央ではなくて地方で、それぞれの町々で、崩れ去っている政治を立て直すことが大事だと思います。
その際、何を軸にすべきかと言うと災害対策だと僕は思っています。なぜか。真の国難である大災害が連続して起こり続けているからです。
言うまでもなくその筆頭は東日本大震災と福島原発事故災害です。
この災害は、被災者の救助の面、三陸の町々の再建の意味でもまだまったく終わっていません。いわんや福島原発はまだ事故の収束にすら程遠い現状にあります。
さらに原発事故避難者は国によって見捨てられたままです。さまざまな形で激発が報告されつつある健康被害にいたっては、何らの国家的対処すらなされていません。
その上、この国には南海トラフ地震による壊滅的な被害が迫りつつあり、それこそ総選挙の政治空白の間にそれが起こってもおかしくないのに、まったく有効な対策が進んでいません。いわんや住民の啓蒙策は皆無に等しい。
ちなみに朝鮮民主主義人民共和国から弾道ミサイルが発射され、この国の領空ではなく、はるか空のはての何百キロも上空を通過したときに、けたたましくアラートが発せられましたが、あれは防災対策上、最悪の、犯罪に等しい行為でした。
なぜか。絶対にこの国のどこかにミサイルが落ちてこないことなどわかっていて警報を発したからです。これまた選挙のためだとしか思えませんが、しかしこんなことをしたら人々はアラートに反応しなくなってしまいます。
まさに「狼少年」の寓話で語られてきた行為そのものです。そもそも災害が間近に迫っている時ですら、人々はしばしば正常性バイアスに捉えられて迅速に動けないのです。
ましてや嘘のアラートなんか発せられたら、人々は行政機関から発せられるあらゆる警報にますます鈍感になり、「どうせ危険など迫ってきやしないよ」と捉えて、避難や退避行動をとらなくなってしまいます。
そもそも東日本大震災で15000人を超える死者が生じたことも、これまでの警報の発し方や、正常性バイアスへの対応におけるこの国の蓄積されたあやまりの結果だったのでした。にもかかわらず災害に弱い国作りにしかならない愚策が再びなされてしまいました。最悪です!
しかし情けないかな、この観点からアラートを批判した政党は僕の知る限りありませんでした。警報をもてあそぶのは犯罪行為であるにも関わらずです。
ようするに多くの政治家が、劣化が著しいがゆえに災害に対して鈍感になり続けているのです。だから南海トラフ地震に対する備えもまったく進んでいないし、もろに被害を受ける位置にある伊方原発も再稼働されてしまっています。
このままでは子どもたちの命も、私たちの命も、未来の命も守ることができない。
だからこそ東日本大震災でのすべての被害への対処も含めた災害対策にこそ、いまこの国は力を入れるべきだし、それを地方から進めていくことこそが、政治の劣化を克服していく一番の道だと僕は思います。
こう思うのは、これまでの原子力災害対策へのかかわりの中で、中央の政治家たちの劣化に比して、地方、ないしおのおのの現場の方たちが、いまなお誠実に己の職務を遂行しているのを見てきたからです。
中央がこんなに崩れているのに、この国が崩れ切らないのはそのためです。矛盾がどんどん地方に押し付けられ、あるいは現場に丸投げされているにも関わらず、多くの現場で涙ぐましいまでの努力が継続されている。
そこにもはや「右」も「左」もありません。この国の多くの方は平和を願っています。誰も戦争など望んでいません。自民党や公明党の党員でもそうです。与党でも野党でも大半の現場の方は戦後に作られた平和を愛しています。
そしてそうした方たちがいま、各地で激発する災害の際に、命を賭して町を守っているのです。それらをみても痛感するのは、もはや地方の自民党公明党の人々と安倍政権とはまったく別物だと言うことです。
だから劣化した政治家たちにこの国の命運を任せず、下から、草の根で国の方向を変えていく。お金儲けよりも命を大事する国に変革していく。その大きな足場が災害対策になると僕は感じています。
ぜひみなさんの現場でこうしたことを語り合ってください。
迫りくる、いやすでに来てしまっている本当の国難に立ち向かうために、災害対策を、下から進めていきましょう!
政治の完全な劣化を見据えて、地域から政治を立て直していきましょう。
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以下、当面の講演をお知らせしておきます。10月6日まで連続5回お話します!
9月29日 滋賀県高島市
29日に高島市でお話します。
「くらしとせいじカフェ@原子力災害〜 備えておきたい知識と心構え【議員さん向け勉強会】」というタイトルで、今年6月に草津市で行った際に参加された高島市の議員さんなどが動いてくださって開催が決まりました。
今回は「くらしとせいじカフェ@たかしまの防災」のタイトルとなりました。
企画には高島市原子力災害対策室が来てくださって報告もしてくださいます。また米原市の防災課の方も来てくださいます。
高島市と高島市教育委員会が後援してくださいます。
自然災害と原子力災害双方からの命の守り方についてお話し、高島市の方たちと災害対策をしっかりと進める一助としたいです。
9月30日 京都市下京区
30日に京都市下京区でお話します。18時半21時まで。ひとまち交流館京都にてです。
僕も参加している「ウチら困ってんねん@京都(ウチこま)」の主催です。
ウチこまではこの間、「京都の今とこれからを考える」という連続企画を行って来ました。
今回はその原子力災害対策版です!タイトルは「原子力をめぐる自体体の取り組みと世界情勢」です。僕自身、篠山市で原子力災害対策を推し進めてきた経験をぜひ京都市に還元したいと思っており、いくつかの具体案を用意しています。また国際情勢については、この間のドイツ訪問で見えてきたことに触れます。
原子力災害対策を京都市でいかに進めていくのかぜひ京都市のみなさんと一緒に考えたいです。
10月2日 兵庫県神戸市
月が替わって2日に神戸市でお話します。神戸市勤労会館405号室にてです。
依頼された内容は以下の通りです。
1、福島原発事故以後の全国の状況
2、関西電力の高浜・大飯原発等の再稼働への動きと、その危険性
3、高浜・大飯原発事故の際の甲状腺被曝の広がりと危険性。安定ヨウ素剤の備蓄・配布の必要性
とくに2,3を重点的にということですので、これに沿ってお話します。
主催はセンター神戸(全神戸労働組合センター)です。
10月5日 京都府舞鶴市
5日に高浜原発間近の舞鶴市にまたお話にいきます。
今回の主催は京都生協南丹ブロックさんです。
タイトルは「原発災害にたくましく備えよう」です。
午前10時から11時45分まで
中舞鶴総合会館5階セミナールームにてです。
参加費200円です。
なお10月6日夕刻に京都市のたかつかさ保育園でもお話しますが、保護者の方たち中心です。
詳しくはたかつかさ保育園にお聞きください。