守田です。(20130515 23:30)

橋下維新の会共同代表の性暴力発言に対して、国内外から非常にたくさんの怒りの声が発せられています。
橋下発言にはたくさんの批判すべき内容が入っています。最も許しがたいのは、女性を男性の性のはけぐちとすることを当然のことと言い放ち、それを米軍にまで勧めたことです。女性に対する性暴力発言そのものです。
この発言でどれだけ多くの女性が傷ついたことでしょうか。重大な犯罪行為であり、即刻公職から退くべきです。こんな人物を代表から下ろすことができないのであれば、維新の会も即刻解散すべきです。

同時にこの発言は、私たち男性に対する冒涜でもあります。男たるもの、こんな人物と自分を一緒にされて黙っていてはいけない。何よりも男性こそがこの暴言と闘わなくてはいけません。黙っているならば、男性は野獣のような存在であり、女性を性的欲望のはけ口としかみてない存在であると認めることになってしまいます。
また目の前で女性の権利が侵害されたことを黙って見ていることはこの性暴力に加担することにほかなりません。あなたの愛する女性たちの権利が侵害されているのです。正義と、誇りと、愛にかけて、この暴挙と闘いましょう。
すでに多くの女性団体が抗議の声を上げています。日本には「男性団体」というものはほとんどありませんが、繰り返しますが、私たち男性こそが声を上げなくてはなりません。それでなければ、こんな人物が、政治家になれてしまう日本の現実が変わりません。ぜひ一緒に抗議を行ってください。

同時に僕は、いわゆる軍隊「慰安婦」問題、旧日本軍性奴隷問題が、根底において大きくつながっていることを強調したいと思います。どちらも正されてこなかった構造的暴力の問題であるからです。
こうしたことを僕はこれまでも折にふれて発信してきました。以下の記事などをぜひお読みいただきたいと思います。

明日に向けて(546)福島原発事故は戦争の負の遺産とつながっている(上)

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/430fed7c5227f1b2f3d950199e350215

さらにこうした事実をより鮮明に表した有力な証拠が高知の「草の家」の方たちから発表されたので、ご紹介したいと思います。
以下、「しんぶん赤旗」の記事を紹介します。

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「土人女を集め慰安所開設」中曽根元首相関与示す資料 高知の団体発表
「しんぶん赤旗」 2011年10月28日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-28/2011102814_02_1.html

中曽根康弘元首相が、戦時中に慰安所設置に積極的に関わっていた資料が防衛省の公開している文書の中から見つかったと、高知市の平和団体が27日、高知市内で発表しました。

明らかにしたのは、高知県内の戦争遺跡の調査や保存に取り組んでいる民間団体「平和資料館・草の家」の岡村正弘館長や馴田正満研究員(63)ら。
今回見つけたのは「海軍航空基地第2設営班資料」。当時の第2施設隊(矢部部隊)工営長の宮地米三氏(海軍技師)の自筆を含めた資料をもとに1962年に防衛省(当時庁)がまとめたものです(26ページ)。第2設営班の主計長が中曽根氏です。
資料には班の編成や装備、活動内容とともにバリクパパン(インドネシア・ボルネオ島)で飛行場整備が終わり、「氣荒くなり日本人同志けんか等起る」「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設氣持の緩和に非常に効果ありたり」(原文のママ)と書いています。バリクパパン上陸前の地図と上陸後、民家を接収し垣やトイレをつくり慰安所にした地図もあります。
中曽根氏は『終りなき海軍』の本で「私は苦心して、慰安所をつくってやった」と書くなど慰安所建設は認めていました。しかし、外国特派員協会の記者会見でも「慰安所は軍人らが碁を打つなど休息所の目的で設置した」と、いわゆる「慰安婦」を置く慰安所設置は否定していました。
研究員は資料で(1)中曽根氏が慰安所建設に積極的にかかわった(2)インドネシア人女性を集めて慰安所をつくった(3)42年3月11日に海軍基地内に慰安所が開設されたなど具体的な記述がある(4)慰安所内の配置図が明らかになった―と説明。「防衛省の所蔵文書で確証は高い。中曽根氏が慰安所設置に能動的に動いたことが分かる。中曽根氏自ら真実を明らかにするとともに、政府はさらなる調査をすべきだ」とのべました。

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この事実一つだけでも、安倍首相や、橋下維新の会共同代表が唱えている「慰安所設置に国家の関与はなかった。強制はなかった」という発言が、まったくの偽りであることがはっきりしています。橋下氏は「そういう事実が出てきたら謝罪すべきた」と唱えてもいるのですから、即刻、全面的な謝罪を行うべきです。
同時に私たちは、日本の首相になった人物が、かつて慰安所=性奴隷施設を作っており、何らの反省もしてこなかったことを、非常に重大な問題として捉え返す必要があります。
しかも中曽根氏は、アメリカが日本に原発を導入しようとしたとき白羽の矢を立てた人物でもあります。中曽根氏と読売新聞・渡辺恒雄氏の連携のもと、アメリカは被爆国日本に原発の導入を行いえたのです。
そのとき導入されたのが、すでにアメリカで欠陥が確認されていたGE社のマークⅠ型原発でした。福島原発で採用されたものです。それが2011年3月にメルトダウンし、爆発を起こしたのです。

このように、慰安所設置と原発導入は、中曽根康弘氏という人物によって直接的につながっています。
しかも、一昨日、5月13日に行われた憲法改定を狙う超党派の議員連盟総会において、中曽根氏はビデオメッセージで登場し、「96条についてまず考えようという運動が起きたことは、憲法改正への門を開くものとして非常に評価する。同時に、改正手続きのほかに、どう改正するのかという中身も国民が聞きたいところだ。国民によく理解してもらい、改正へ前進できるよう一緒に努力したい」と述べています。
つまり慰安所設置、原発導入、そして憲法改悪という一連の流れの中にい続けてきているのが「中曽根康弘」という政治家であり、正されてこなかった暴力の歴史のつながりが、彼に象徴されているのです。

大事なことは、歴史が正しく捉え返されてこなかったことにより、私たち日本人、ないし日本に住まう人々の権利が、戦争の中でさんざんに蹂躙されてきたことも、ほとんど顧みられてこなかったことです。
あんなに酷い戦争に駆り立てられ、若い男性はまったく無謀な戦闘に放り込まれ、「玉砕」などを強いられ、各地で無残に死んでいきました。しかも侵略戦争の尖兵にされ、酷い虐殺の下手人にされ、さらに慰安所に連れて行かれるなど、人間としての尊厳と良心が解体してしまう場に何度も放り込まれました。
戦場にいかなかった人々も、軍隊最優先の耐久生活を強いられた上に、空襲などに何度もさらされ、塗炭の苦しみを舐めました。アメリカの明らかな戦争犯罪である諸都市への空襲や原爆投下、沖縄上陸戦闘などを受けてのことですが、戦後の政府はこうした日本民衆の「命と人権」の侵害に何一つ謝らず、アメリカの戦争犯罪への抗議もまったく行いませんでした。

それどころか「鬼畜米英を撃滅せよ」とか言っていた政府や軍の関係者ほど、戦後は一貫してアメリカに擦り寄り、朝鮮戦争やベトナム戦争に協力し、その中でボロ儲けし、権益を拡大してきました。
その流れの中にあったのが、核戦略の維持のために「原子力の平和利用」を打ち出したアメリカの手先となっての中曽根氏の暗躍でした。今回、彼が慰安所建設に携わっていた証拠が出てきたことが物語るのは、こうした日本が引きずっている歴史の暗部としての暴力構造です。

従ってこうしたことを正すのは、私たち日本人と日本に住まう人々の人権を確立し、発展させることであることを是非とも知ってほしいと思います。
自ら名乗りをあげた性奴隷問題の被害女性たちは、その意味で、私たちの人権をも守るために声を上げ続けてきてくれていることを知ってください。彼女たちが異口同音に繰り返すのは「二度と若い人たちがあんな目にあって欲しくない」ということです。
彼女たちは、今なお私たちの権利を侵害し続けている日本政府のあり方に、怒りを表明し続け、同時に彼女たちよりも若い世代すべてへの愛を表明してきてくれました。私たちの尊厳と人権にとって、もっとも心強い味方こそ、あのおばあさんたちなのです。

とくに男性のみなさん。私たちの国、日本が女性の地位が大変低い国であることをご存知でしょうか。さまざまな統計の中で、日本の女性の地位は世界の100番よりももっと低いところに位置しています。
そのことが意味するのは、私たち日本の男性が、国際水準でみてとても劣った存在であるということです。同時に、そのことはまた実は私たち男性の人権も未確立であり、非常に低い位置にあることを物語っています。

戦前・戦中の日本兵は、馬よりも価値の低いものとして扱われました。上官に絶対服従を強いられ、とりわけ新兵は、理由もないのに古参兵士たちから殴られ続けました。軍隊はそれ自身が、いじめと虐待の巣窟でした。
しかも戦闘指揮もめちゃくちゃ。まったく合理性のない戦闘を強いられ、玉砕やバンザイ突撃などが強いられました。まさにそれによってものすごいストレスが兵士たちを襲いました。
本当に残念なことに、その日本兵の中から反乱に立ち上がるものは現れませんでした。軍がその状態を管理するために、慰安所を設置し、半ば強制的に、システマチックに兵士をそこに送り込むことで、ストレスを吐き出させたからです。
兵士たちは自らレイプを行い、女性を虐待することで、自らの権利意識そのものも麻痺させてしまい、自らへの虐待に抗する意志を失って理不尽な命令に従い続け、各地で無残に死んでいったのです。

この歴史が正されていません。ということは私たちもまた同じような目にあう可能性が大きくあるということです。
いや、まさにそれが今、起こっているのが福島原発事故後の事態なのです。多くの地域が、それまで、飲み食い、寝ること、18歳未満を連れ込むことを禁じてきた「放射線管理区域」に該当していながら、当然の避難の権利も与えられないのが私たちの国の現状です。
それまでは「危険」と言われていた放射線量を「にわかに健康に被害がない」とかいう突然の言い換えによって浴びせられ続けている現実。それが今、私たちの前にあることです。

これは政府と東電による私たちへの虐待です。けして被災地の人々だけに加えられた虐待ではありません。被災地の人々の痛みを感じで心を痛めているすべての私たちが今、理不尽な虐待を受けており、著しく権利を侵害されているのです。
しかし私たちの中から、自らへの虐待に抗議する声は、まだまだ小さいものでしかありません。こうしたことと慰安婦問題を正せてこなかったことは大きくつながっていると僕は強く思います。

だからこそ今、それを正そうではありませんか。とりわけ男性のみなさん。この事態に対して、自らの問題として声を上げましょう。国軍創出を狙う、橋下氏、石原氏、安倍氏などのもと、女性にむき出しの暴力を振るう、野獣のごとき男性の列に入れられることを、断固拒否しようではありませんか。
戦前、戦中に、侵略への加担を強いられ、慰安所でのレイプを強いられた男性たちが、虐待に次ぐ虐待の中でそれを拒めなかったという、あまりに悲惨な歴史の流れに終止符を打とうではありませんか。そして未来において、日本の男性がこの時から変わった。けだもののようなあり方を一掃し、世界に誇れる男性に変わったと言われるように行動しようではありませんか。

そのために、橋下発言を一時期の問題にせず、ここに色濃く現れた、私たちの国の暴力性そのものを正すために行動しましょう。
福島原発事故後の、莫大な人々の被曝に心を痛めるみなさんが、一緒になって立ち上がることを訴えます。橋下氏を政治の世界から追放し、中曽根氏の犯罪を弾劾しましょう。そして安倍政権に、慰安婦問題への全面的謝罪と補償を行わせましょう。私たちの尊厳と人権もまたその中で確立し、輝いていくのです!

<橋下大阪市長への抗議先>
郵 便: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目30番20号
大阪市政策企画室秘書部 宛
電 話: 06-6208-7237
FAX: 06-6202-6950
Email: 大阪市HP→組織一覧→政策企画室(お問合せ等)→総務担当