守田です(20221013 14:00)

● 広島・長崎訪問報告をお届けします

この夏、広島、長崎と駆け抜けてきました。広島には4日から7日まで。長崎には8日から11日まで滞在しました。とても実りの多い旅でした。この報告を8月28日に京都市でさせていただきました。
少し時間が経ってしまいましたが、その動画をご紹介します。核と戦争の問題を捉え返す原点とは何かを探りながら語りました。

● 平和記念公園と宇品港で思いを馳せてきました・・・

この夏の旅は、被爆地を訪れ痛みをシェアし、今一度、戦争とは何か平和とは何かを問うためのものでした。
8月6日には、式典には参列できなかったものの、平和記念公園内をくまなく歩きまわり、もう何度目かですが、感慨深くそれぞれの碑と向き合って来ました。

元安川対岸から見た原爆ドーム 2022年8月6日 守田撮影

7日に旧陸軍桟橋のある宇品港も訪れてきました。日本陸軍兵士の大半が海外へ出兵し、そのまま還らなかった地です。
そこからの輸送船の運航や上陸を担ったのが陸軍船舶隊で、宇品に司令部がありました。暁部隊とも呼ばれていました。僕の父が所属した部隊でもありました。
中国侵略戦争の際、世界で初めて上陸用舟艇を開発。「大発」「小発」と名付けて戦争で多用しました。太平洋戦争末期に特攻ボートを作って若者を米艦に突入させた隊でもありました。

父、守田文也 陸軍船舶幹部候補生隊附陸軍少尉に任官して香川県豊浜に着任 23歳 19440707 父のアルバムより

父はその教官もしたようです。教え子たちの一部は、出兵を待って広島の島々にいる間に原爆に遭遇。直爆は免れましたが、被爆直後の爆心地に救援に入って奮闘しつつ、深刻な被爆を受けました。その名残りの場も取材してきました。

日本陸軍が開発した上陸用舟艇「大発」 父のアルバムより

日本陸軍が開発した上陸用舟艇「小発」 貨車から海に降ろそうとしている 父のアルバムより

● 長崎の痛みをもっとシェアしなければ・・・
    
長崎は二度目の訪問で初めて式典に参加させていただきました。拍手が圧巻で、参列している方たちの思いが心に飛び込んでくるようでした。
その後、平和公園内の碑を一つ一つ撮影し、原爆落下中心地、原爆資料館、追悼平和祈念館、そして長崎平和資料館などを訪ねました。
被爆したことは確実なのに、国に被爆者として認められず「被爆体験者」と呼ばれている方の講演も聴くことができ、その後、個人的にもお話を聞けました。

8月9日、式典に参加させていただきました

いろいろなところをまわって京都に戻りましたが、まだまだ学びが浅いと思っている時に、京都「被爆二世・三世の会」の仲間から、「今回の田上長崎市長の平和宣言は、はじめに長崎の怒りを高らかに宣言した渡辺千恵子さんに触れていて素晴らしかった。守田さんはもっとそこに学ぶべきだ」とありがたいご指摘をいただきました。

それでさっそく渡辺さんの著書『長崎に生きる』を購入して拝読し、やっと長崎から発せられてきた被爆者のピュアな声をきちんと拝聴することができたように思いました。また今回、原爆資料館で、背中一面にものすごいやけどを負った谷口すみてるさんの写真に強く引き寄せられたのですが、その谷口さんが、渡辺さんたちが立ち上げた「長崎原爆乙女の会」に合流されたこと、その中で会が「長崎原爆青年乙女の会」へと発展したことなどを知り、感慨深く思いました。この点も講演で語らせていただきました。

守田講演スライドから

● 資本主義の矛盾の根っこに戦争と原水爆がある!

総じて2つの被爆地の訪問を通じて思ったのは、現代社会、とくに資本主義の問題の一番の根っこは戦争であり、その頂点に原水爆があるのでは? ということでした。

第二次世界大戦終盤にアメリカが開発したB29戦略爆撃機 日本と朝鮮に壊滅的な空襲を繰り返した
ニューメキシコ州ニュークリアサイエンスミュージアムにて守田撮影

現代資本主義の中軸産業は軍事産業であり、それもまた核兵器を軸に形成されています。これまでの資本主義批判の中にこの点の捉え返しが今一、弱かったとは言えないでしょうか?
だから社会主義を志した人々が、核兵器や原発に手を染めてしまい、実はそのことで資本主義に呑み込まれてしまったのでは?

広島・長崎の虐殺に使われた核爆弾のレプリカ ロスアラモス・ブラッドバリーミュージアムにて 守田撮影

またこの点を解き明かすためには、日本は唯一の戦争被爆国であるという捉え方の誤りと向き合うことが、とても大切だと思うのです。
国は被爆などしない。被爆したのは広島、長崎とそこにいた人々であり、さらには核実験の行われた場にいた人々です。
被爆国という言い方は、多くの人々を被爆させてしまった国の責任をあいまいにさせています。

今後、これらのことをさらに深めていきたい。そのために広島、長崎への訪問をまだまだ繰り返そうと思います。ぜひご注目下さい。

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