守田です(20220626 22:30)

● 美浜3号機は特重施設ができたから再稼働すると言うけれど・・・

美浜3号機が8月上旬にも再稼働しようとしています。昨年6月に稼働を強行したけれど、特定重大事故等対処施設(特重施設)建設が期限までに間に合わずに、昨年10月に停止していたのでした。
その後、一年の予定で設置するはずでしたが、夏の電力需給を憂慮した政府に、前倒しの稼働を依頼され、特重施設を8月頭までに完成させて再稼働させるのだそうです。

でも、「あれ?何か変だ」と思いませんか?だって美浜3号機は昨年6月には「特定重大事故等対処施設」などなしに稼働したのです。でも10月にはそれがないからと止められたのです。これなんなのでしょう?
ここに表れているのは、安全対策上、重要なはずの特重施設設置が延び延びになっていたこと。関西電力が安全対策のための期限を守らなかったのです。だからいったん止められたのですが、実は期限を守らないことは、今のところ再稼働したすべての原発で起こっています。

昨年6月、美浜3号機は特定重大事故等対処施設なしに再稼働を強行した NHKの報道より

● 何度も設置期限が延ばされてきた

この設備は「福島原発事故の教訓」によって、過酷事故に対応するため、新たに設置が義務付けられたもの。2013年7月の新規制基準で決められました。その施設がなんと今も建設中なのです。あまりにひどいと思いませんか?
ここには矛盾に満ちたカラクリがあります。まず規制委員会が、加圧水型原発について、当初から施設設置に5年の猶予を与えてしまったのです。福島原発と同じ沸騰水型原発はすぐには動かせないので、加圧水型から動かそうとしたからでしょう。

ところが加圧水型原発を所有している九州・四国・関西電力が、設備をまったく作ろうとしなくて、期限である2018年7月までにできないことが明らかになった。
そうしたら2016年1月に規制委員会が「この施設の設置申請を出してから5年」と期限を再延長してしまったのです。ところがそれでも電力会社が作らず、次々と新たな期限が来てしまった。追い詰められた規制委員会がやむを得ず原発を止めました。

守田講演スライドより

● 電力会社は原発が止められることもスケジュールに組み込んだ

最初に期限が来たのが川内原発。1号機が2020年3月、2号機が5月に止まりました。さらに高浜原発3号機が8月に、4号機が10月に止まりました。
電力会社は規制委員会をなめきっていたため、川内原発が止められた時は驚きましたが、この後はこの停止を定期点検に合わせ、スケジュール管理するようになりました。

川内原発1号機は、設備を完成させて2020年11月17日に再稼働しましたが、この時、マスコミは「新規制基準で全国初」と書きました。新規制基準は福島原発事故から9年半、新規制基準から7年4カ月で初めて適用されたわけです。
さらに関西電力は、この施設のない美浜3号機をあえて昨年6月に動かしました。老朽原発の稼働実績を一刻も早く作るためだったのでしょうが、この過程を見ていると、電力会社がいかにこの施設設置に真剣に向かい合おうとしていないかが見えてきます。

2020年11月18日に初めて新規制基準が仙台1号機で満たされた ひどすぎる・・・西日本新聞の報道から

続く

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7月24日(日)美浜現地集会が呼び掛けられています。以下からチラシが見れます。
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cbf2a3eebf8bd03b9e9f44069fc629c7

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