守田です(20220622 23:30)

● なぜ日本が軍事的に防衛できないことを強調するのか

参院選が公示されました。この選挙に向けて、ロシアのウクライナ侵攻という事態に「便乗」する形の、軍備強化の声が起こっています。これに対し日本を軍事的に防衛することなど不可能なことを強調したいです。
そのため前回、旧陸軍の分類による「消極的防空」・・・都市構造を空襲から強くすることなどできないことを強調しました。戦後の日本は原発や石油コンビナートなど、攻撃を避けようのない施設を海岸線に林立させているのでなおさらです。
すでに諸国民と仲良くする以外にない道をこの国は歩んできているのです。

このリアリティを無視して「日本を守る」と言いつつ軍備増強を図るのはもはや騙しのようなもの。その背後にいるのは軍需産業です。
「戦争で儲けようとしている産業」のすべてが「軍需産業」だと言えますが、これらの人々が「日本を軍事で守る」というできもしない空論を展開してお金儲けを続けようとしているのです。騙されてはダメです。

原発だけでも海岸線の僻地にこれだけ並べている。諸国民と仲良くする以外ない道をこの国は既に歩んできている

● 日本は自然災害に対してあまりに脆弱。しかも年々危険度が増している!

そればかりではありません。今の日本は自然災害に対してあまりに脆弱です。このことは、スイスの保険会社スイスリーが、世界の616の都市を水害の観点から比較して明らかにしています。
スイスリーは、世界で最も危険度の高い都市圏を東京・横浜だと指摘しています。ワースト4が大阪・神戸、ワースト6が名古屋です。以下にランキングと出典を示しておきます。

1位 東京・横浜(日本)2位 マニラ(フィリピン)3位 珠江デルタ(中国)4位 大阪・神戸(日本)5位 ジャカルタ(インドネシア)
6位 名古屋(日本)7位 コルカタ(インド)8位 上海・黄浦江(中国)9位 ロサンゼルス(アメリカ)10位 テヘラン(イラン)
http://news.livedoor.com/article/detail/8709053/
http://media.swissre.com/documents/Swiss_Re_Mind_the_risk.pdf

これを特集した東京新聞紙上で、元東京都職員の土木専門家、土屋信行さんが次のように述べられました。
「日本を攻撃するのに、軍隊も核兵器も必要ない。無人機が一機、大潮の満潮時にゼロメートル地帯の堤防を一カ所破壊すれば、日本は機能を失う」。
まさにその通りです。

● 台風19号(2019年)で東京は壊滅寸前に

しかもスイスリーの指摘は、その後、恐ろしい的確さで当たりつつあります。例えば2019年の台風19号の水害で、東日本の河川が140か所で堤防決壊し、約300か所で氾濫しました。
利根川の水位も極めて危険な状態に達し、上流の河川が決壊しなければ、大決壊して東京が水没するところでした。そうしたら都市機能がダウンし、壊滅的な被害が出たでしょう。

決壊箇所を修復しても他が決壊するだけ。利根川の場合、次は上流が決壊しないと下流が決壊する 国土交通省の報告図より

より詳しくは以下の記事をご覧下さい。
「明日に向けて(933)東京は世界一危ない都市・・・警鐘「首都沈没」(東京新聞より) 2014年9月11日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/974f310ea1faae553cb23b4ad71496a8

● 国防というなら原発を止め災害対策を強化すべきだ

このように2019年の台風19号で、この国の防災体制は底が抜けたに等しい状態に陥りました。にもかかわらずこの点が省みられていない!大洪水と大地震への備えがちっとも進んでいない。
そもそもミサイルやジェット戦闘機を増やして何になるというのでしょうか。そんなもの、台風ひとつ撃ち落とすこともできないのです。そうではなくて、一刻も早く自衛隊を災害救助隊へと再編し、災害への備えを刷新すべきです。

さらにひずみ集中帯地震が頻発し、南海トラフ地震や首都直下地震がかなりの割合で予測されているのに原発を動かし、老朽炉を再稼働させようとするなんて愚の骨頂。政府にリアルに国を守る気などないからそんな愚策が行えるのです。
この点をもっと選挙の争点にして欲しい。人々を守る気概のある野党のみなさん。ぜひ「国防のためにも原発を止めよ!災害対策を強化せよ」と訴えてください。

老朽原発の廃炉を求めた大阪行動 これこそが郷土と民を守る真の行動だ! 守田撮影

#国防のために原発を止めよ #自然災害対策を強化せよ #スイスリー #東京は世界一危ない都市 #首都沈没 #2019年台風19号 #140河川で堤防決壊 #自衛隊を災害救助隊へ #消極的防空


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