守田です(20211026 09:00)

● 「特定重大事故等対処施設」はなかなか作らないのは、電力会社が「ムダ」だと分かっているから!

ここで重大な問題が浮かび上がってきます。なぜ「特定重大事故等対処施設」はただの一つの期限までに作られなかったのか。二度の猶予さえ破られたのか。
一つに考えられるのは、電力会社が黒字優先で、儲けにつながらない「安全施設」の建設をできるだけ延ばそうとしてきたこと。この際、規制委員会の「規制」などあってないようなものだと「なめきっている」こともこれを可能としました。

二つにより重要なのは、電力会社が「特定重大事故等対処施設」では「重大事故を防げない」としっかり認識していることです。だからそんなものに、労力もコストもかけたくないと思っていのです。
なぜって、まともに考察してみれば、重大事故=過酷事故とはもともと「想定外」の事故で、設計段階で設置された安全装置が次々突破された事態のこと。その「想定外を想定する」施設など、本来作りようがないからです。

そもそも福島原発事故そのものが、どんな経緯を辿ったのか、どこがどう壊れてどう放射能が漏れだしたのか、未だにほとんどつかめていません。教訓など抽出できり段階ではないのです。それで同じような事故が防げるわけがありません。
電力会社、とくに現場の人々は、十分にそのことを分かっているのです。だから「特定重大事故等対処施設」設置にまったくやる気が見られないし、現場から緊張感も失われている。「やっても無意味」なことがなされているからです。


関西電力ホームページの美浜原発に関する説明より 「テロ対策」といいつつたくさんの「過酷事故対策」を並べているが、どれも無駄だと分かっているからこそなかなか進めてこなかった

● 原発ゼロにしないと日本と世界が危ない

私たちは、「特定重大事故等対処施設」が10年近く経ってもきちんと作られて来なかったことに、電力会社が、福島原発事故の再来を防ぎようがないと熟知していることをこそ見てとらねばなりません。
この間、現場で他の社員のIDカードを使って、原発の中枢部に入る社員が出てしまったり、検知器が何年も壊れっぱなしだったり、緊急時作業員が無断で繰り返し外出していたりと、信じがたいことが頻発しているのもそのため。

現場はいま進めている対策のむなしさを熟知している。僕が繰り返し指摘していることも、当然、十二分に知っている。だからこそ、モラルも指揮も、低下しきってしまっているのです。
いやそれだけではありません。あれだけの事故を起こしながら東電に罰が与えられていない「悪い教訓」も重なっています。「どうせ深刻な事故を起こしても罰せられない」との思い込みも垣間見え、規制委もなめきっています。

だからこそ、原発ゼロに向かわないと、私たちは、日本は、世界は、大変危険です。
今回の選挙で少しでも脱原発派の力を大きくしましょう。野党議員に票を集中しましょう。

2011年3月6日に行われた愛知県豊橋市での「つながろう福島 なくそう原発 311追悼・東三河市民集会」でのパレード 日本共産党愛知県委員会HPより

● 特定重大事故等対処施設についてしっかり学ぼう

脱原発の声をさらに高めるために、マスコミが「テロ対策施設」などと報道してしまっている「特定重大事故等対処施設」についての、しっかりとした学びも深めましょう。
以下、2020年3月川内原発1号機が停まった時にリリースした解説動画をご紹介します。前回もご紹介しましたが、今回は三つのうちの一つというならこれ!というものをご紹介します。

【動画】もりもり解説 そもそもベントがある段階で原発はアウト 重大事故等対処施設などあってはならない

ご興味が沸いたら、以下の二つもご覧下さい。

【動画】もりもり解説 川内原発1号機停止について 実は新規制基準などいまだにきちんと適用されていない!

【動画】もりもり解説 特定重大事故等対処施設は「テロ対策」以前のもの できてないのは「テロ対策」以前のもの。各原発とも免震重要棟も出来ていない。

#美浜3号機 #特定重大事故等対処施設 #テロ対策施設 #新規制基準 #過酷事故 #原子力規制委員会 #規制委員会の規制は穴だらけ #過酷事故 #老朽原発

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