守田です(20181023 17:30)

● 内部被曝問題について守山市でお話します!

今週末の10月28日日曜日は午後2時から滋賀県守山駅前コミュニティホールにてお話しします。
新日本婦人の会滋賀県本部のお招きで、タイトルは記事の表題と同じです。チラシをご案内します。

● あらためて内部被曝の危険性に目を向けよう

この間、自然災害+人災が猛威を振るっていたのでその対応と分析に追われていましたが、今回は「隠されてきた内部被曝の危険性!」についてしっかりとお話しようと思います。
原発事故が恐ろしいのは大量の放射能が出てきてしまう可能性があるからですが、もともと放射能の危険性は大変、過小評価されてきました。福島原発事故後はさらにそれに拍車がかけられています。
このため被曝から命を守るためには、隠されてきた内部被曝の危険性をきちんと把握することが大事です。

● 内部被曝の危険性を隠したのはアメリカだ!

そもそも大量の人間がたくさんの放射線を浴びせられた経験は広島・長崎への原爆投下が初めてでした。
現代の放射線防護学はこの時に理不尽に放射線を浴びせられた被爆者に対して行った追跡調査を最も大きなデータベースとしています。
問題なのは調査を行ったのが誰かということです。答えは理不尽にも放射線を浴びせたアメリカです。こんな調査、そもそもあってはならなかったのです。加害者が被害者を調査したのですから。加害者に不利なことがきちんとカウントされるはずがない。

● アメリカは被曝の深刻な影響を隠さなければ核戦略を維持できなかった

そもそもアメリカには放射線被害を隠す大きな理由がありました。核兵器をもっとたくさん製造するために非人道性を隠すことでした。
また放射線を当てると生物が影響を受けることは生物学者マラーによるショウジョウバエへのX線の照射実験で、生物学者、とくに遺伝学者の間に広く知られていることがらでした。
このため原爆投下後、ヨーロッパの科学者たちから「原爆は未来世代への攻撃でもあり戦争犯罪そのものだ」という批判の声があがったのでした。アメリカはその声をかき消さなければ核戦略を維持できませんでした。

   

● 被曝被害を外部被曝に限定

しかし広島・長崎で多くの人が放射線を浴びて大きな傷害を負ったことは否定しようのない事実でした。
そこでアメリカが考え付いたのは、これらの被害は原爆が破裂した時に生じた中性子線とガンマー線による外部被曝によって生じたものとのみ断定することでした。
このため被曝被害の程度は爆心地からの距離によって評価されました。当初アメリカは爆心地から半径2キロまでは100ミリシーベルト相当の放射線が届いたため外部被曝の被害が生じたが、それよりも遠くでは被害は確認されないと主張しました。

● 内部被曝を隠したアメリカと追従した日本政府

事実はまったく違っていました。原爆によって生じたキノコ雲は放射能の塊であり、それが届いた広範な地域に放射性微粒子が降下しました。
雲の下にいた人々は何らかの形で放射能を身体の中に取り込み、内部被曝してしまったのですが、アメリカは一切、被害を認めませんでした。
いやアメリカだけではありません。日本政府もこれに完全に追従し、被曝の実相を無視しました。こうして内部被曝の被害はほとんどカウントされず、だからまた被爆者への救済もあまりにおざなりなものとなりました。それが原爆被害の実態だったのです。
現在も厚労省がホームページに掲げている距離で影響を測った図と原爆研究の第一人者、沢田昭二さん作成のキノコ雲の図をご紹介します。

● 内部被曝被害を隠したのは管理ができないからでもあった

さらにアメリカが内部被曝を隠したのは、内部被曝が防護が難しく、とてもではないけれども管理できないものであることが分かっていたからだと思われます。
外部被曝は線量で被害を評価することができます。全身に浴びた場合、量が増えれば増えるだけ危険で、量的な評価が可能です。
ところが内部被曝の場合、どのような放射性物質が体のどこに入り込んだのかによってダメージがまったく違ってしまいます。しかもそもそも放射性物質は実に多様で化合物になったりもするので体内の挙動のすべてを把握することなどできないのです。

● シーベルトと言う名のまやかし

また例えば人間にとって甲状腺を被曝し甲状腺がんになってしまうことと、血管に傷害が出て心筋梗塞や脳梗塞を惹き起こすことと、その危険度を数値的に対比することなどできません。
前者に対して後者は突然死する可能性が高く、だからより怖いものだと思えますが、数値化などはできません。いや心筋梗塞と脳梗塞の恐れとて本来、数値化して比較することなどできないのです。
その点で実は放射線がどれだけあたったかの数値で人間への打撃が評価できるわけではないのです。しかしこの点を掘り下げると放射能を管理できないことがあぶり出されてしまうため、で強引に数値化を測ったのが「シーベルト」などの評価の仕方です。

● 放射線は浴びる量が多ければ多いほど危険というのは正しくない! 微量でも大変危険な場合がある!

つまり量だけで被曝影響を評価するあり方は被曝の具体性を無視しているのです。どれだけの放射能が体のどこに入り込んでどの器官をどのように傷つけたか・・・などの具体性です。
本来はその一つ一つを調べなければ事実に迫れない。その際、現代科学では調べられないものも多すぎる。だからまともに管理できないのだから放射性物質の使用はできるだけ避けた方が良いというのが結論になるのです。
医療において厳しい管理のもとに特定された放射線源からの放射線を使って医療行為をするなどが許されるのみで、核兵器の爆発や原発事故ではどんな形で放射能が飛び人体にどう入るのかも分からないことが多すぎるので管理などできるわけがないのです。

● 内部被曝の危険性隠しはいまも行われている!

これらをみたときに出てくる結論は、危険性が高くしかも管理が十分にできない放射性物質を散乱させうる原発など使ってはならないということです。もちろん核兵器などは論外です。
反対に言えば、核戦略を維持し、原発を肯定するために内部被曝の危険性隠しは必須なのだということです。
だから核なき世を手繰り寄せるために、隠された内部被曝の危険性を暴きたて、多くの人に知ってもらうことが大事なのです。

以上、ガイストを書きましたが、10月28日に守山市でより詳しくお話します!ぜひお越しください。