守田です(20181024 23:30)

放射能汚染水問題の続きです。

前回、東電が膨大な地下水が汚染水とまじわり海に流れ出ることを知っていながら当初は対処をサボタージュしたこと。
国政選挙をうまく利用しつつ、安倍政権と裏取引をして対策を国の財政で行わせるように仕向けてきたとしか思えないことを論じてきました。今回はそれがさらに強められたことを明らかにしたいと思います。

● さらに矢継ぎ早に、汚染情報を明らかにした東電

東電はその後も矢継ぎ早にサイトに林立しているタンクからの高濃度汚染水漏れなどを発表しました。
8月20日には汚染水を汲み上げたタンクから300トンもの汚染水が漏洩したことを発表。ベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり8000万ベクレル、300トンだと240兆ベクレルが漏れ出したと発表しました。
こうした情報と数値が次から次へと出てくると、聞いている側は感覚がマヒし、何が「高濃度」なのかも分からなくなってくるものですが、もちろん東電はその効果を十二分に知ってこうした発表を行い続けたのでした。

● 安倍首相のオリンピック招致発言でますます東電は有利になった!

さらに重大なのは安倍首相が東京へのオリンピック招致に向けて世界に大嘘を発信してしまったことでした。

Let me assure you, the situation is under control.「私はみなさんに原発は統制のもとにあることを保証いたします」。メインスピーチでこれを語りました。
「東京に悪影響を及ぼすことはない。私が保証する」とも語りました。もちろん安倍首相の念頭にあったのは汚染水問題でしょう。

あのとき世界は当然、東電が海に汚染水を何百トンも流していたと発表したことを見ていました。あるいはタンクからも汚染水が300トン漏れていたとかというニュースが続き、当然「日本はどうなっているんだ」と懸念が広がっていました。
実は東電はこれもあらかじめ考えていたに違いないのです。選挙だけではない。選挙のあとに東京オリンピック招致のための大きな山場がやってくる。そこに安倍首相が乗り込んでいくことも分かっていたのです。
分かっていたからこの時期にどんどん汚染水問題を表に出したのです。なぜか。政府が東電をどこまでもかばうしかなくなることが見えていたからです。
そしてまんまと安倍首相は東電の思惑通りに「汚染水の影響は福島原発の港湾内〇・三平方キロメートル内で完全にブロックされている」「必ず責任を完全に果たす」と世界に公言してしまいました。東電は重要な言質をとりつけたのです。

● なんと東電が安倍首相の発言を一部否定!

しかもこの時、なんと東電は直後の9月9日に安倍発言の一部否定まで行いました。「完全にブロックされているとは言い難い」と言ってのけたのです。
なぜにこんなことを言ったのか。一つに大嘘をついた安倍首相との対比を際立たせ、あたかも東電が安倍首相より正直であるかのような大嘘をふりまくためでした。
さらに安倍首相を少し苦しい立場に追い込み、より一層、政府に東電をかばわざるをえなくすること、とくに汚染実態を隠さざるをえなくするようにしむけるためだったと思います。東電の立ち回りはまさに狡猾きわまりないものでした。

● 海はすでに深刻に汚染されてしまった!

さて東電のこうした本当に腹立たしい行いはまだまだ続くのですが、ここまででももう十分に事態の本質を描けたのではないかと思います。
繰り返しますが海はすでにもう深刻に汚染されてしまったのです。しかも東電はこうなることを知りながら、自社の責任で対処することを回避し続け、政府をうまいこと対処に引き込んだのです。
そこで絞り出されているのは私たちがおさめた税金です。これはあまりにひどい。

● 私たちの力で人々の暮らしと命を守ろう!

東電、政府のこのあまりにひどく、情けない実態を見たときに、私たちこそが食べ物を厳しく監視し、選び取り、そのことで安全を確保しなければならないことは明らかです。
そのためには食べ物の生産・流通・小売りのすべての場面でひたむきな努力を傾けてきた方たちと消費者が固く、賢く連携していくことがとても大事です。
食べ物をつなぐ輪を命を守る輪として豊かに発展させ、人々の暮らしと命を守っていきましょう。

続く

#放射能汚染水問題 #東京オリンピック