守田です(20181011 22:00)(20181029 20:00修正)

汚染水問題の続きです。

● これまで指摘してきた問題点

これまで「地下水バイパス」「サブドレン」「地下水ドレン」から汲み上げたものが濃度規制だけで意図的に放出され続けていることを問題にしてきました。
その際、「汚染前の」ものとされている「地下水バイパス」から汲み上げられたものにすでに120~250ベクレルものトリチウムが含まれていることから、トリチウムの雨が降っていて、汚染水対策の前提が揺らいでいるのではという指摘を行いました。
続いて「サブドレン」は汚染される前のものと汚染された後のものが混在していて、これと汚染された後の「地下水ドレン」からのものを混ぜることは、汚染水を薄めてトリチウム濃度を低くしていることに他ならないことを指摘しました。
濃度規制ではこうした操作が簡単にできてしまうので、総量規制でなければ意味がないことも指摘しました。

● 累積排水量は「サブドレン」「地下水ドレン」から611,715トンだがトリチウムの排出総量が極めてわかりにくい

では総量ではどれぐらい排出されているのかというと、これがまたとても分かりにくい形で発表されている。
運用状況をみると2018年10月9日15時現在で累積排水量611,715t 排水回数832回とされているのですが、その際、トリチウムなどを何ベクレル排出したかは一回、一回の排水時のデータでしか示されていません。
例えば本年10月1日に採取したタンクAの汚染水には東電調べてトリチウムが960ベクレル、第三者機関調べで1000ベクレル含まれているとされています。

http://www.tepco.co.jp/decommission/data/analysis/pdf_csv/2018/4q/drain_stank_18100501-j.pdf

これを排出したのは10月6日で排出量は697トンとされています。
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watermanagement/subdrain/calendar/index-j.html

しかし832回のすべての資料をこのように点検し排出量にかけあわせないと排出総量は出てこない。
情報は以下のようにアーカイブされていますが、タンクがもともとは7つ、最終的には11に増えており、それぞれが月に3回ほどの排出を行っています。
その一つ一つの報告書を開き、膨大な計算をしないと総量が分からない。これもまた実態隠しの手口の一つです。
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watermanagement/subdrain/calendar/archive/index-j.html

● 約500億ベクレル前後のトリチウムが「地下水バイパス」「サブドレン」「地下水ドレン」から海に捨てられてきたのではないか

とてもすべてを計算する時間はないですがそれでも大雑把な傾向はつかめると考えて、タンクの一つのAタンクのそれぞれの月の1回目の計測時のトリチウム濃度(第三者機関調べ)を観ていきましょう。
2015年から現在までのデータを表にすると以下のようになります。

これらから分かることはトリチウムは1リットルあたり最小で280ベクレル、最大で1100ベクレルの濃度で排出されているということです。
したがって実際には常にこの間のいずれかの濃度で排出されていると考えると最小なら260×611,715×1000ベクレル、最大なら1100ベクレル×611,715×1000ベクレル排出されていることになります。
約1590億ベクレル~6730億ベクレルです。大雑把に中央値をとると4160億ベクレルですからこの前後ぐらい排出されていると考えて良いのではないでしょうか。
(なお「明日に向けて(1543)では排出量を1リットルあたり1500ベクレル(上限)と計算し6月までで1.4兆ベクレルとしましたが、この段階ではこの毎月のデータを入手できていませんでした。今回の概算の方が現実により近いと思います)

「地下水バイパス」から汲み上げたものも1リットルあたり120~250ベクレルぐらいのトリチウムを含んだまますでにこの10月11日までに413,225tが排出されています。
同じように計算すると120×413,225×1000=約500億ベクレルから250×413,225×1000=約1030億ベクレルですから中央値をとって約770億ベクレルになります。
これをも併せて大雑把に約5000億ベクレル前後のトリチウムがすでに意図的に海に流されてきたのではないかと思われます。

続く