守田です(20180620 21:30)
大阪北部地震発生から60時間近くが経ちました。
西日本には激しい雨が降りました。大阪北部にも降ったので二次災害の発生が懸念されます。
みなさまの無事をお祈りしています。
地震後、多くの人士からまだまだより大きな地震が起こりうる可能性が指摘されています。
前回も触れましたが、熊本地震では最初の震度7マグニチュード6.5の地震のほぼ28時間後に震度7マグニチュード7.3のより大きな地震が起こりました。
この経験からもなお十分な構えをしておく必要があります。
とくに懸念されるのは原発です。昨日も述べたように今回の地震は「ひずみ集中帯」地震である可能性が大きい。
「ひずみ集中帯」地震は、1995年の阪神大震災をはじめ、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震、2011年長野県北部地震、2014年長野県北部地震、2016年鳥取地震など、連続して起こり続けています。
とくに2007年新潟県中越沖地震は柏崎刈羽原発を直撃しました。奇跡的に破局的事故にいたりませんでしたが、この自然からの「警告」をこれ以上、無視していて良いはずがありません。
なお京都大学防災研究所の西村卓也さんは、熊本地震もひずみ集中帯地震に分類し、1995年以降に起こった12の主な内陸直下型地震のうち、9つがこの地震に分類されるとしています。
西南日本のひずみ集中帯と内陸地震
京都大学防災研究所 地震予知研究センター 西村卓也 2017年10月11日
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/kokai/potal/h29/h29_ppt1.pdf
鳥取、新潟、長野、大阪と連続してきていることを考えると、福井の原発銀座が襲われる可能性は十二分にあります。
しかも一度、ここが襲われたら、複数の原発サイトが深刻なダメージを受ける可能性があります。廃炉の決定がされたからといって、もんじゅにはまだナトリウムや核燃料がつまったままです。
この原発銀座のリスクを少しでも減らすのに有効なのは、高浜・大飯の運転をただちに止めることです。
原発は止めた後も熱をもった核燃料があり続ける限り、「崩壊熱」を出し続けるので危険ですが、しかし私たちが知っておくべきことは、運転中の方が格段に危ないということです。
最も恐ろしいのは、地震時に原子炉を緊急停止させようとして制御棒を挿入しても入らずに原子炉が暴走すること。そうなると事故は福島原発事故をかるがると越えて想像を絶するものになりかねない。
実際に制御棒が入らない事態は起こりうるでしょうか。この点で大事なのは耐震設計の要にある「基準地震動」です。いわば設計士たちが「この揺れまでは責任をもってとめます」と言っている値です。
高浜原発は700ガル、大飯原発は856ガルですが、熊本地震の震源地益城町で観測された揺れは1,362ガルでした。
また「最大加速度上位10観測点」を見てみると8~10位までが600ガル代、7位の湯布院は723ガルで5位以内は800ガル以上。2位の宇土は882ガルで大飯原発の基準地震動をも越えていました。
2016年4月16日熊本県熊本地方の地震による強振動 防災科学技術研究所
http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/Kumamoto_20160416/kumamoto201604160125.pdf
さらに2007年中越沖地震では柏崎刈羽原発3号機でなんと2058ガルという値が観測されました。
これで破局的な崩壊に至らなかったのは奇跡としか言いようがありません。
原発で最大揺れ2058ガル 柏崎刈羽3号機
朝日新聞 2007年07月31日00時03分
http://www.asahi.com/special/070716/TKY200707300400.html
これらから福井の原発群が危険であることは言うまでもないですが、それでも運転を止めていれば危険度が減らせることも見ておく必要があります。
運転を止めていれば地震が起こった時に問題になるのは核燃料の冷却です。核分裂でできた放射性物質が放射線と「崩壊熱」を出しながら違う物質に変わっていくので冷やし続ける必要があるからです。
重要なのは原子炉内の熱は運転停止後に急速に減っていくことです。運転時が100だとすると停止直後に6、1分後に4、1時間後に2、1日後に0.7、2日後に0.2になります。
それでも元が大きいので冷却しなければメルトダウンしてしまいますが、運転時が100、停止2日後に0.2であることを踏まえれば、運転を止めればリスクを大きく減らせることが分かります。
停止後、崩壊熱の除去が重要 1日後には0.7%
[原子力産業新聞] 2011年3月17日 第2566号 <1面>
http://www.jaif.or.jp/news_db/data/2011/0317-1-3.html
これらからも高浜・大飯原発は安全のためにただちに止めるべきなのです。
みんなで声を大にして、このことを訴えていきましょう。
地震は止められないけれど原発は止められる!