守田です(20180526 12:30)

再稼働を目指している玄海原発4号機で、5月3日に一次冷却水ポンプが故障を起こし、再稼働スケジュールが延期されました。
このポンプは2016年7月に伊方原発3号機再稼働前の点検時にも故障を起こしており、その時に僕はこのポンプでこれまで同様の故障が繰り返されてきていること、にも関わらず故障を繰り返しているのだから「欠陥装置」であることを突き出しました。
この点をまとめたのが以下の記事です。

明日に向けて(1518)玄海原発4号機で故障を起こした一次冷却水ポンプは欠陥装置だ!
https://toshikyoto.com/press/2677

その後、5月15日に九州電力から今回の玄海4号機での故障に関して以下のような「原因と対策」の説明がなされました。

玄海原子力発電所4号機1次冷却材ポンプシール部の流量増加原因と対策についてお知らせします
平成30年5月15日 九州電力株式会社
http://www.kyuden.co.jp/press_180515-1.html

これを読んでみてますます一次冷却水ポンプが欠陥装置であること、場当たり的で再発防止策がまったく不十分にしか説明されていない(それしかできない)という印象を持ちました。
以下、説明を試みたいと思います。九電が示した図を参照しながらお読み下さい。

玄海4号機 一次冷却材ポンプ
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0133/0597/t6bxfbhh.pdf

そもそもこのポンプと言われる装置、150気圧300度で流れている一次冷却水の中にプロペラを仕込んで回し、水流を促す役割を果たしているものです。
プロペラを回すためにモーターが必要で、その軸が循環している一次冷却水の配管にいわば直角に差し込まれ、その先でプロペラが回されて冷却水が攪拌されているのですが、このモーターの軸の部分がシールド上の弱点になっているのです。
なぜかというとモーターの軸が回転可能なためには当たり前のことですが軸受け部に隙間がなくてはなりません。しかし一次冷却水は150気圧ですので、このわずかな隙間に高圧の熱湯が押し寄せて冷却水漏れが起こりやすいのです。

この「隙間がなくてはならないけれども隙間があると高濃度の放射能を含んだ一次冷却水があがってきてしまう」という矛盾の解決のために編み出されたのが、一次冷却水よりもっと高圧の水をこの隙間部分に流してシールすることです。
それもシールを3重にすることで抑え込もうとしているのですが、そのためにシールになる水が通る場を囲む「シール部」と呼ばれる部品が作られていて、流れに合わせて上下に動くようにしています。しかし端的にここが技術的に未確立なのです

今回、玄海4号機で壊れたのはNo.2シールでした。しかも4つある冷却水ポンプのうちの2つで同時に壊れてしまいました。いや分解してみたところ、もう1つも水漏れには至らなかったけれど不具合が生じていました。4つのうち3つが壊れていたのです。
原因はなんだったのかというと「稼働を前にこの部分に空気が残らないように水を充てんしていたところ、水の温度が25度から28度に上がったため体積が膨張してしまい、可動部分の「シール部」が押し上げられ、Oリングが上部にかみこんでしまった。
このため本来可動すべき部分が動かずにシール部の下部が開いたままになっていて、No.1シールに流している「注水」がNo.2シールの方に入ってきて流量が増えてしまった」と言うのです。
「たかだか水温が3度あがっただけでもう壊れてしまうシール部とはそれ自体でもう欠陥部品じゃないか」とも思いますが、しかしさらに九電の報告を読み込んでいくともっと不可解なことが出てきます。

続く

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1次冷却水ポンプのことも含めて、原発の危険性と原発からの命の守り方について高島市でお話します。ご参加下さい。

危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!」
https://www.facebook.com/events/164667064127488/

5月27日(日)
13時30分開場 14時開始 16時終了
場所 高島市観光物産プラザ(JR新旭駅前)視聴覚室
参加協力費 500円

主催
新日本婦人の会高島支部原発ゼロ部
ばいばい原発高島連絡会
連絡先 中平清三(09062421634)