明日に向けて(1518)玄海原発4号機で故障を起こした一次冷却水ポンプは欠陥装置だ!

守田です(20180508 07:00)

再稼働を準備中の玄海原発4号機で5月3日に一次冷却水ポンプが故障事故を起こしました。
前回は再稼働の度に故障が連続しているのは、そもそも日本中の原発が4年以上も止まっていたので、機械としての限界に瀕しているからであることを述べました。
だから川内1号機、高浜4号機、伊方3号機、玄海3号機、玄海4号機と、再稼働するたびに故障事故を起こしているのです。

今回はそれだけでなく、今回故障した「一次冷却水ポンプ」はこれらの原発に共通する「加圧水型原子炉」のアキレス腱であり、欠陥装置であることを明らかにしたいと思います。
この点に僕が気が付いたのは2016年7月17日に伊方3号機で今回とまったく同じ故障事故が起こった時でした。

まず今回の故障事故がどのようなものであるのか、九州電力の説明に基づいてみておきたいと思います。以下の図をご覧ください。
玄海4号機 1次冷却材ポンプ
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0132/0123/bgojodfjdfk5.pdf

この炉は格納容器内にある「加圧器」で水圧を150気圧にまで高めています。そうすると水の沸点があがるのでより大量の熱を運べるようになるためです。
この炉の場合、300度でもまだ沸騰せずに熱水として「蒸気発生器」で二次冷却水に熱を渡し、蒸気を発生させてタービンを回しています。
ところがこの蒸気発生器が矛盾した役割を抱くことになります。細管が通っていて150気圧300度の熱湯が回っているのですが、圧力と温度に耐えるためには細管は肉厚が大きい方がいい。
一方で熱を伝えるためには小さい方がよく、どちらにも振り切れないまま、結局、何度もピンホールが空いてしまってきたのです。美浜原発では細管が破断する最悪の事故も起き、メルトダウン寸前に至りました。

このため開発者である三菱重工は、ピンホールが多くなると蒸気発生器本体を交換するようになりました。しかし図から見ても分かるようにこの装置はいざというときの砦のはずの格納容器の中に入っている。
設計段階では交換など予定していなかったので、容器を切断して交換せざるを得ず「心臓移植手術」などと揶揄されてきました。
一方でこの蒸気発生器の危険性の大きさのために他の部分の点検が十分には追いつかず、二次系の配管が破断してしまう大事故も同じ美浜原発で起きました。
定期点検中の作業員の頭上で熱湯が噴出し、4名が即死、もう1名が後から亡くなる大惨事でした。

さらに今回、また壊れたのが「一次冷却水ポンプ」でした。150気圧の熱水の循環を促進するためプロペラを回している装置です。そのためにはモーターが必要で軸が配管に対して直角に差し込まれています。
軸が回るためには当然にも隙間が必要ですが、しかし熱水が150気圧もあるのでここから上がってきてしまうのです。そのために三重のシールドが施されているのですが実はこの部分がうまくいかない。
このため伊方3号機も今回の玄海4号機も、あらかじめここを新品に交換したのですがそれでも事故を繰り返してしまった。

伊方3号機のときに調べてみたら、なんと同様の故障事故が過去にも起きているのです。2003年10月に伊方3号機で。2005年10月に美浜1号機で。
さらに川内1号機で2008年4月にプロペラを回している主軸が破断し、玄海3号機でも2011年12月に同じ主軸破断事故が起きました。根本的に欠陥装置なのです。

2016年夏にこれらを論じた記事を並べておきますので詳しくは以下をご覧ください。

明日に向けて(1282)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!上‐20160724
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/643579af330808d6be892623cd6ed94b

明日に向けて(1283)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!下‐20160724
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9a7954d2d3903adade7e5affa003fb26

明日に向けて(1295)事故を繰り返している伊方原発3号機はただちに停めるべきだ!‐20160828
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2412481f98cbc23293ee38df3546e2a8

明日に向けて(1296)伊方原発3号機1次冷却水ポンプは耐圧試験で壊れた!ただちに停止すべきだ!‐20160829
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/bd1bfc81022eb59c30aa507aef2c5edc

さらに僕なりに問題の解明に至り切って書いた記事をご紹介します。

明日に向けて(1299)一次冷却材ポンプ、再循環ポンプは原発のアキレス腱!川内、伊方原発をただちに停止すべきだ!‐20160901
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/15be99138463055eb10641f091bb8341

これは冷却水ポンプが欠陥装置だと確信した僕が、元東芝の原子炉設計者の小倉志郎さんにお尋ねして得られた知見です。小倉さんはBWR(沸騰水型炉)でも同様の再循環ポンプがアキレス腱なのだと教えてくださり、こう語られました。
「私がBWRの原子炉再循環ポンプをはじめ各種のポンプでのシール部漏洩を起こした場合に良く見たのは『シール面=こすれ合う面=に微細な異物が侵入した』という理由です。しかし、分解してみてもそんな微細な遺物が見つかったためしがないのです。
今回の伊方の場合もそうですが、本当は漏洩の原因は不明なのです。しかし、『原因不明』と公表してしまえば『対策の妥当性』を説明できなくなります。そこで、苦し紛れの誰も確認できない理由を挙げざるを得ないのです。」

要するにどうして壊れるのか理由が分からないから抜本的な解決ができず、故障を繰り返してきたのです。
このことは原発が実は技術的に完成などしてないこと、核心部分に分からないことを抱えてたまま運転していることを示しています。

だから「何が起こるか分からない」(九電瓜生元社長)と言いながら再稼働しているのですが、そんなことがこれ以上、許されていいわけがない!
欠陥装置を抱えた原発をすぐに止めるべきです。玄海4号機一次冷却水ポンプ故障事故はそのことを私たちに告げています。