守田です(20161130 23:30)

11月27日に京都「被爆2世3世の会」で「福島の被曝、そして広島・長崎の被爆の重ね合わさるもの」という企画を行いました。
東京の小平市で子どもたちを中心に3000人の人々の血液検査を行い、東京で表れている被曝影響をつかんで可能な治療を重ね、やがて自らも岡山に避難移住した三田茂医師をお招きして講演していただき、その後に僕が対談させていただきました。
大きなポイントだったのは、僕も参加している京都「被爆2世3世の会」で行った「被爆2世健康調査」を事前に三田さんに見ていただいて、重なり合うものについて語っていただいたことです。
これをIWJの萩崎茂さんが丁寧に撮影してくださり、中継するとともにアーカイブをアップしてくださいましたので以下にご紹介しておきます。

被爆二世の健康実態調査報告と原発事故被災者の健康を考える学習講演会 福島の被曝、そして広島・長崎の被爆の重ね合わさるもの
三田茂医師、守田敏也氏 2016.11.27
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/347977

大変、刺激的な内容で、すぐにもみなさんにお伝えしなければと思っていますし、今後、僕も三田さんのつかまれていることを積極的にあちこちに広めていこうと思っています。
今日の表題にも書いたように、被曝からみんなの命を守るために、三田医師の言葉に耳を傾けて欲しいです。

さてそのために報告を書かねばと思っていたら、この日の参加者の方が素晴らしいレポートをFacebookにアップしてくださいました。
書いて下さったのは下澤陽子さんです。東京から関西へと避難移住された方で、岡山の三田医院にも訪れ、娘さん、息子さんの治療を受けてこられました。
下澤さんのレポートが素晴らしいのは、一つにかなり的確に三田さんの話された内容をつかんでまとめられていることです。
同時にご自身の体験と思いが重ねられており、レポートの域を超えた感動的な感想文になっています。

ここまで下澤さんの理解が進んだのは何より下澤さんが被曝当事者であること。
そしてまた、三田さんと出会うまでは医師のもとに駆けこんでもまったく相手にされずに苦しみ、もがき、そんな中で移住を決行されてきたということ、こうした体験を逞しく超えてこられたからだと僕には思えます。
下澤さん自身が、お子さんたちとご自身の命を守るために大奮闘されてきたがゆえに、素晴らしい理解力で三田さんのお話の核心をつかまれたのでしょう。

そこで今回は、下澤さんにご了解いただいて、この内容を転載させていただき、みなさんにご紹介することにしました。
ぜひお読み下さい。その上で、萩崎さんが撮って下さった動画もご覧になって欲しいと思います。
有料になってからでも一定の額を払えばご覧になることができます。
これを機会にこうした活動を続けているIWJを支えるためにも、お金を払っても観ていただけたら嬉しいです。

三田茂さんと下澤陽子さんに感謝を捧げつつ、以下、下澤さんのレポートをご紹介します。(なおタイトルは文章の僕がつけました。長いので2回に分けます。)

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被曝からみんなの命を守るため三田医師に耳を傾けて下さい!
~「福島の被曝、そして広島・長崎の被爆の重ね合わさるもの」に参加して~
2016年11月28日 下澤陽子

昨日は、私の娘と、家族の命の恩人である三田先生と、その恩人へと繋ぐ道を作ってくださった方々の中の一人である守田敏也さんのお話を聞きに京都まで行きました。
「福島の被曝、そして広島・長崎の被爆の重ね合わさるもの」と題する講演会。
京都「被爆2世・3世の会」の主催するものでした。
またも猛烈に長い投稿になりそうですが、ぜひ、三田先生のお話を中心にご紹介させてください。

先生がご講演で話されたのは、原子力緊急事態宣言によって全ての防護の基準がゆるゆるになった中で生活する日本の人たちの被ばくの状況。
それも首都圏東京の被ばくとその健康被害のことについてお話しされました。
まず、先生が話されたのは 血液検査のことでした。
電離放射線健診、これに準じたことをやれば何かわかるかもしれないと、先生が考えられて始められた 血液検査です。
その血液検査はうちの子供達もしていて、その事を何度もFBで投稿してはいるのですがここでまたお話しさせてください。

先生が関東首都圏の3000人以上の人達に血液検査を続けてきて、はっきりとしてきたのは子どもたち、特に10歳以下の子ども達の白血球の中の好中球の値が下がってきているということ、それが今も続いているということです。
以下箇条書きにします。

〇2011年から2012年の春にかけての検査を始めて間もない期間では、その傾向が見られていたのは東京の東の方、ホットスポットの多い汚染の強い場所に限られていて西の、東京の真ん中の比較的きれいな地域では、見られなかったのだそうです。
それが今ではどこでも同じ傾向そしてそれが続いているのだそうです。
影響が広く確実に出ているということ、汚染は全然解決されていないということ。

〇血液の数値は転地保養、移住によって 改善される例がとても多い。
私(下澤陽子)の子供達の例を書きますね。

好中球の変化(移住後)
息子 1980→3730→5230
娘 2079→2820→4210→3030

〇一般的には被曝の影響ではリンパ球が下がると言われているのだそうです。 私も他のお医者に下がるのはリンパ球だと言われたことがあります。(でも、現にうちは違うのに)
でも、広島長崎のデータを丁寧に見てみるとぽろぽろとそういうデータが 発見されるのだそうです。( 好中球減少)

〇同じ検査は福島健康調査でもしていて、実は白血球、好中球減少の同じ傾向があった。(大人でも)事故後2年目あたりからほとんど情報が出なくなってしまっているとのこと。
人の関心が 甲状腺検査のみに向かっているというのも大きいのでしょう。
三田医院よりはるかに充実したデータである福島のものを、本当であれば公開させてみていく必要がある。

〇最近では、東京の人のデータがとても悪い。
栃木や茨城の人、避難をしている福島の人などと比べても悪い。人口が過密な場所での一般ごみの焼却の影響は大きいのではないか。

〇様々な病気、疾患の傾向について
東京ではインフルエンザは平成24年以降大人の病気に。体力のあるはずの30代~40代の入院が多い。
子どもに替わり、大人が流行を作っている。(数、増え方)
元の数が少ないので目立たないが血液の病気、白血病、リンパ腫の増加。
順天堂大付属の病院の診療実績から230→876
・ 性病の増加。どんな報告も2011年から激増をしている。
・ 東京で同じ患者さんを見続けていたが 子供の鼻炎、副鼻腔炎、蓄膿症が、同じ手法で治りにくくなっている。

喘息は とてもまずいと感じている。2012年に今まで薬で十分にコントロールしていた患者さんが自分の手に負えなくなる。
呼吸器系(鼻のど気管支)は、明らかに影響(放射性物質)を受けている。確実と思う。
・ 手足口病やヘルパンギーナなどの子供の病気が大人がかかるようになっている。逆に帯状疱疹に子供がかかるなどありふれた病気のプロフィールが変わってきている。
・ 医学の診断学、治療学にうまく入らない病気はどんどん増えていると思う。
例えばあちこち体が痛いというのが、リュウマチ性多発筋痛症の治療で上手くいくとか。ぶらぶら病のように不調で活動性が落ちて動けなくなるような状態が実は喘息であったり。(これ!まさに私の娘)

〇放射能によると思われる即時的、一時的症状について
・千葉の柏→岡山、避難後に皮膚炎が始まり水ぶくれだらけになり猛烈に痛がるお子さん。移住後に一時的にひどい症状が現れる例がある。
汚染地から綺麗な所へ転地すると、ガードが固すぎた免疫が裏手にでて激しい反応が出るのではないか。
そして落ち着くと、前は何ともなかったのに東京へ戻ると具合が悪くなる人。
汚染のある地から送られてくるダンボールや、来客で鼻血や皮膚症状など。
微妙な症状の例数々。

〇小児甲状腺癌は現実は小児ではない。平均年齢は16歳ぐらい。10歳以下はわずかである
最もハイリスクで現に進行している年齢層に検査の照準を当てていない。一番激増している15歳以上の検査頻度を減らして5年に一度はあり得ない。今のやり方では後になって数は分かっても適切な時期の治療ができない。
現在リンパ節転移は 患者の8割に登っている。
命を救うということ、病気を小さいうちにみつけるという視点で見ればこのやり方は倫理的に許されない。
甲状腺癌については大人の側が危機的状況にあると見られる。 20代~30代、それ以降。
そしてその原因は放射性ヨウ素とは言い切れない。

〇健康影響について子どものほうが影響大という話ではない。倒れるのは大人。
30代40代の、子供の親である世代の急死も多い。悲劇。

続く