守田です。(20120810 12:30)
お盆明けの18日から19日にかけて、広島県三市の方たちから呼んでいただけました。18日尾道市、福山市、19日三原市でお話します。このところ放影研訪問や、黒い雨の問題などなどで、原爆と放射線の問題を深めてきただけに、この時期に広島でお話できるのはとてもありがたく、嬉しいです。尾道では2回目の講演になりますが、今回は放影研のことについてもより突っ込んでお話したいと思っています。
そもそも僕が広島県に呼んでいただけるようになったのは、肥田舜太郎さんと岩波書店が、尾道の方たちと僕との縁を結んでくださったことにはじまります。というのは昨年9月8日に東京で「講演会 さよなら原発」が行われました。このときに大江健三郎さんが発言されていますが、そのなかで大江さんは、僕が肥田さんをインタビューして作成し、『世界』9月号に載せて頂いた記事に触れてくださいました。
大江さんは次のように語られました。「『放射能との共存時代を前向きに生きる』という 文章は必読の文章であります。とくに福島の子どもたち、お母さんたちには最良の支えとなるでしょう。ここにもきてくださっている若いお母さんのために、私は最も有効な励ましになるものだと思っています。」この発言は以下から動画で見ることができます。
明日に向けて(259)放射能との共存時代を前向きに生きる(大江健三郎さんと『世界』と肥田さんについて)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/de47f8fb787ad88eca411fb4930bf7da
さて、実はこのとき、東京まで尾道の「フクシマから考える一歩の会」のメンバーの一人の方が駆けつけていました。大江さんのファンでもあったので、どうしてもこの集会に行きたかったのそうです。それでこの大江さんの発言に注目された。それでただちに『世界』2011年9月号を購入され、尾道に戻って、みなさんに配って回し読みしてくださったのだそうです。
そこから出てきたのは「肥田さんを尾道にお招きしよう」という意志でした。それで今年の3月31日に尾道しまなみ会館に肥田さんをお招きした講演会をされました。なんと500名の参加をみたそうです。肥田さんも広島で話をするのはどこにもまして嬉しいと語られたとか。
そしてそのとき、一歩の会の方たちが、ちょうど3月8日に発刊になった、矢ヶ﨑さんと私の共著『内部被曝』(岩波ブックレット)を販売しようということになり、私に電話を下さいました。もちろん快諾して岩波書店からブックレットを送っていただきましたが、それが私と尾道のみなさんとの出会いの発端になりました。
不思議なもので、そうこうしているうちに私自身に個人的に広島に行く用事ができました。それで尾道に寄ることができるので、ぜひみなさんとお話がしたいとお伝えすると、講演の場を設定してくださいました。私にとっては経費の面でも助けられ、ありがたいの一言につきました。そうして尾道での講演が設定されました。
このときの忘れられないエピソードが二つあります。一つは身体障がい者で被爆者でもある方が、ストレッチャーに乗って僕の前に来て下さり、「守田さんは、俺らのような障がい者が生まれるから原発に反対しているのですか」と実に大切な質問をぶつけてくださったことでした。
ちょうどこの頃、放射線と障がいの問題を、映画『チェルノブイリハート』などにも即して考え抜いていたときでもあり、僕は即座に「違います」とお答えしました。「放射線はすべての人に病になる可能性を作り出します。その意味でその可能性を作り出す原発に僕は反対です。それと、障がい者の尊厳のことは分けて考えなくてはいけません。障がい者が生まれるから原発に反対だと言うのは間違っています」とお答えしました。
広島・長崎では多くの被爆者の方が差別にも苦しめられました。結婚差別などもたくさんあったと聞いています。放射線の害の強調は、一つ言い方を間違えると、あるいは差別問題としっかりと向き合う観点がないと、差別の助長にもなりえてしまいます。だからといって放射線がもたらす害についてありのままに触れないと、被害隠しにもつながってしまうという問題も抱えています。この問題はまた別の機会にきちんと論じたいと思いますが、ともあれそんな鋭い質問がポンと出てきたことに、感慨深いものがありました。
また交流会の席上で、ある女性の方が「私も赤ちゃんの時にABCCに連れて行かれて検査されたことを、最近になってお母さんから聞いて知りました。もう悔しくてなりません」と語られたことも忘れられません。ああ、ここは広島県なのだと、当たり前のことですが、強い当事者性を感じました。僕はこれまでも、被爆者の方たちに何度も背中を押されたような感じをリアルに味わうことが多かったので、ああ、また導かれてここまできたのだなと思いました。
その後、すでにお知らせしたように、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」での活動の中で、ECRR会長さんらと広島にある放影研本部への訪問まですることができたわけですが、ますます僕は広島・長崎で亡くなられた多くの方たちの霊が、僕に、さらに奮闘せよ、自分たちが血で購った経験を未来の人々の幸福のために活用せよと激励を強めてくださっているように思えてなりません。
そんな思いも秘めながら、(これだけ話せば秘めることにはならないかもしれませんが)尾道、福山、三原で、一生懸命にお話をさせていただこうと思います。お近くのみなさま、どうかお越しください!
*************
8/18(土)・19(日)
守田敏也さん講演会
「報道されないフクシマ」@尾道・福山・三原
3.11から1年半がたとうとしている今、原発事故や放射能の報道は鳴りを潜め、フクシマの人々が現在進行形でさらされる低線量・内部被曝の現実も忘れられつつあります。
このような状態ですから、西日本の放射能危機はなおのこと話題に上りません。ですが、食品の種類によっては、むしろこれから食卓に上るもののほうが気を付けないといけないものもあります。
フクシマの実態はどうなのか? 原発の状況や放射能汚染の現実は? そんな疑問に、科学者とともに内部被曝の問題に取り組むジャーナリストの守田敏也さんが答えます。3都市での連続講演会です。ぜひご都合のつく日程にお越しください。
——————————————————————–
報道されないフクシマ
暮らしは? 子どもは?
食べ物は? 震災がれきは?
内部被ばくの危険性は?
日本の未来は?
守田さんのお話を聞いて、一緒に考えませんか?
講師:守田敏也さん(ジャーナリスト、共著に『内部被爆』)
*ブログ「明日に向けて」
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
資料代:500円
託児あり:事前申込が必要、1人200円
《尾道》
日時:8/18(土)13:30~16:00
場所:尾道市公会堂別館(尾道市久保1-15-1)4F
主催:フクシマから考える一歩の会
TEL:090-2002-8667(小林)
《福山》
日時:8/18(土)19:00~21:30
場所:福山市市民参画センター(福山市本町1-35)5F会議室1
主催:原発のーてもえーじゃないBINGO!実行委員会
TEL:090-9115-3317(坂田)
《三原》
日時:8/19(日)13:30~16:00
場所:三原市中央公民館(三原市円一町2-3-1)第2・第3講座室
主催:命と未来を考える会・三原
TEL:0848-66-3592
********
なお以上の情報は、以下から転載させていただきました。
市民SOHO 蒼生舎
http://blog.livedoor.jp/sakatakouei/archives/51439751.html
- 投稿タグ
- 原爆・水爆・核兵器