守田です。(20151013 22:00)
川内原発2号機の再稼働が15日にも強行されようとしています。
現地、鹿児島で懸命の反対行動が行われています。
一つは11日に開始されたハンガーストライキです。「再稼働不同意住民の会」の呼びかけで20人が参加。「ハンスト中、再稼働反対」と書いた白い法被姿で午後1時より座り込みを始めました。
以下に毎日新聞の記事を紹介しておきます。写真もあるのでぜひご覧下さい。「川内原発再稼働阻止キャラバン」のFacebookページもご紹介しておきます。
川内原発2号機:再稼働反対の住民らハンガーストライキ
毎日新聞 2015年10月11日 20時20分(最終更新 10月11日 21時06分)
http://mainichi.jp/select/news/20151012k0000m040064000c.html
川内原発再稼働阻止キャラバン
https://www.facebook.com/sendaikyaraban
さらに12日には県内約90の団体が集う「ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会」呼びかけの1800人の集会とデモが行われました。
以下にKTS鹿児島テレビの動画と朝日新聞の記事を紹介しておきます。これもぜひご覧下さい。
【動画】川内原発2号機再稼働に反対する集会
KTS鹿児島テレビ 2015年10月13日
http://news.ktstv.net/e60289.html
川内原発再稼働は「自殺行為」 鹿児島で1800人集会
朝日新聞 中島健 2015年10月12日18時47分
http://www.asahi.com/articles/ASHBD5416HBDTLTB001.html
現地の頑張りにぜひ応えましょう。
「ストップ再稼働! 3・11鹿児島集会実行委員会」の連絡先を記しておきます。激励のFAXなど送ってください!Facebookページではコメントもできます。
事務局 〒892-0873 鹿児島市下田町292-1 TEL099-248-5455 FAX 099-248-5457
朝日新聞の見出しにあるように、参加者は川内原発再稼働を「自殺行為」と呼んで反対しています。
まさにその通り。この再稼働は私たちを大変な危険性に晒しています。
とくに現地の人々が強調しているのは、2号機が2009年二交換を発表した「蒸気発生器」を交換しないままになされようとしていることです。
この点については「明日に向けて」の前号を参照して下さい。
明日に向けて(1166)川内原発2号機の再稼働はあまりに危険!みんなで食い止めよう!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4b723d9972dd00d65f24baa1e200ebab
この点にとどまらず、「明日に向けて」では、繰り返し川内原発再稼働の危険性を指摘してきましたが、再度、ここで最も重要な「新規制基準」のあやまりをまとめておきたいと思います。
ぜひ学習会などに活用して深めて下さい。こうした内容を一つ一つ、市民の側が身につけていくことが大事です。これらは今後の再稼働が狙われている高浜原発や伊方原発にも通じる事柄です。
そのために「明日に向けて」(1132)の載せた(1060)~(1065)と(972)で連載した内容(2015年3月24日~4月6日と2014年11月15日)を再度掲載します。
2015年3月~4月の連載は、福島原発事故以降、事故の進展や規制庁による新規制基準の提出などに即して、純技術的側面からもっとも適格な解説を行ってきてくださった元格納容器設計者・後藤政志さんの発言に学んで行ったものです。
第一に指摘すべきは、そもそもの九州電力が行った再稼働対策に向けた許認可申請があまりに杜撰に行われたことです。
後藤さんは「プラントの配置関係を全部伏せて白抜きになっている。どこに何があるか分からない状態になっている。耐震強度を計算する時に耐震の解析モデルがあるが、それの高さ方向の値がすべて白抜きになっている」と怒りをもって指摘されました。
要するに川内原発再稼働に向けた許認可申請は、主要部分を公開せずに行われたのです。あまりに杜撰でした。
明日に向けて(1060)あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0870cd08844d3d12e17ae6345ae8b79b
第二に再稼働の是非を審査する、規制庁の新規制基準に大問題があります。端的に新しい規制基準では「重大事故」が防げないことを前提にしているということです。
福島第一原発の教訓を踏まえて、「重大事故」を絶対に起こさないようにする・・・とは言ってないのです。
起こさないように努力するが、それでも「重大事故」は発生しうる前提に転換したのです。大事故がありうることが前提に再稼働を認めると開き直ったのです。こんなことは絶対に認めてはなりません。
明日に向けて(1062)原発再稼働に向けた新規制基準は大事故を前提にしている!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f
第三に規制委は「福島第一原発事故の教訓」を参考に新基準を作ったと言っているのですが、そもそも福島原発事故はその全容がまだ解明されていません。
それどころか1号機から3号機は放射線値が高すぎて内部がほとんどみれず、溶け落ちた核燃料の状態やありかさえつかみ切れていないのです。
事故は継続中です。汚染水の発生から明らかなように格納容器のどこかが壊れているのは確実ですが、どこかが分かっていない。事故がどのように進展してどこが壊れたのかも分からないのです。それでなぜ対策ができるのでしょうか。
明日に向けて(1063)福島の教訓に基づく重大事故対策などまだできるわけがない!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8
第四に、規制委が新基準に盛り込んだ地震対策のあやまりです。ここにはそもそも地震の揺れの大きさは現代科学で十分に解析できるのかという問題が横たわっています。
この点で重要なのは8年近く止まっている柏崎・刈羽原発を襲った2007年中越沖地震の地震動です。この原発の設計基準地震動は450ガルでしたが、実際には1699ガルの地震動がここを襲ったのでした。4倍もの揺れでした。
ここで明らかになったのは現代科学ではまだ地震動の揺れを正確に捉えることができないことです。にもかかわらずこの重大問題に目を伏せたまま規制委は認可を与えています。
明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1
第五に、新規制基準における「重大事故」対策の内容が、事故を収めるどころかむしろ拡大しかねないより危険な内容をも含んでいることです。
とくに重要なのは、川内原発や高浜原発で採用されている加圧型原子炉の格納容器には、東電のような沸騰水型原発と違って窒素が充填されておらず、水素爆発が起きやすいので、イグナイタ―をつけて水素が溜まる前に燃やしてしまおうとしていることです。
しかし福島原発事故で明らかになったように「重大事故」ではそれまでの設計上の想定が突破されているのですから、こうした非常用の装置も期待通りに動くとは限りません。水素が一定たまってから着火がされてしまえばかえって自爆してしまいます。
明日に向けて(1065)新規制基準の「重大事故」対策はあまりに非現実的でむしろ危険だ!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af
明日に向けて(1075)川内原発再稼働も禁止すべきだ!~加圧水型原発過酷事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ~
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a
第六に、火山に関する噴火評価が火山学会の誠実な提言を踏みにじって行われたことです。川内原発は日本の中で破局的な噴火を起こしうる10の火山のうちの5つが集中する地帯にあり、どの火山の大噴火でも深刻な被害を受ける可能性があります。
これに対して九電は大噴火の兆候は数年前に分かるので、そのとき核燃料を炉心から降ろして安全な場に移すと述べており、原子力規制もこれを承認しています。運転中の核燃料を降ろせるようになるには数年がかかりますがその前に分かると言うのです。
しかし火山学会は繰り返し現代の技術では数日から数時間の範囲でしか予測ができないと語っています。いわんや数年の規模での予想などまったく不可能というのが学会の常識なのです。再稼働はこの火山学会の提言をまったく無視してなされています。
明日に向けて(972)原子力規制委の噴火評価はデタラメ!火山学会の誠実な提言を受け入れるべきだ!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9f924552b380fc1efc744322658a6fad
以上、新規制基準はなんら原発の稼働の安全性を保障していません。
それどころか、申請が杜撰、「重大事故」に開き直り、解明されていない福島原発の教訓に学べるはずがない、地震の揺れが正確に予想できないことを無視、「重大事故」対策がかえって危険、火山の大噴火の予知ができないことを無視と矛盾だらけです。
私たちはこの間の復水器トラブルは、こうしたもともとの再稼働の本質的誤りの上にさらに危険性を示すものとして表れていることをきちんととらえておく必要があります。これらの点を広げ、稼働を許さない民主的パワーのアップを図っていきましょう。
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