守田です。(20150425 23:30)

ほんの少し前にトルコのプナール・デミルジャンさんから報告がありました。
チェルノブイリ原発事故から29年を迎えたこの日、トルコのシノップに44000人が集い、大きな原発建設反対集会が開かれました。胸が熱くなります。
プナールさんが最速で書いた記事をご紹介します。

4万人がシノップで原発に反対!
http://yesilgazete.org/blog/2015/04/25/40-bin-kisi-sinopta-nukleer-e-gecit-yok-diye-haykirdi/

交差点にも大きく「シノップ市民は原発に反対する」と書かれました!
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10153221114514534&set=a.10150758843444534.462464.604259533&type=1&theater

僕もシノップには4月12日に行ってきたばかりです。その時も熱い討論が行われました。
あの時、あの場にいたみなさんが今日の集会に参加されているのだと思います。
今回の訪問では最後の日に新聞社のインタビューも受けたのですが、非常に大きな記事を一面に掲載してもらえました。
これも今日の集会に向けての特集でもあったのではないかと思えます。その意味では今日の大成功に僕も少しだけ力になれたかもしれません。

記事の写真をご紹介しておきます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10153207744594534&set=a.10150758843444534.462464.604259533&type=1&theater
ネット版の記事も
http://www.birgun.net/news/view/nukleer-felaket-tanigi-konustu-is-verdik-diyecekler-olume-goturecekler/16826

周知のように日本政府、とくに安倍政権はこの間、原発輸出に向けた「トップセールス」を精力的に展開してきました。
これは小泉政権による「2005年大綱」から路線化されてきたものですが、福島原発事故を経た今では、日本の原子力産業の重要な生き延び策となっています。
なぜか。答えは簡単で日本の全原発が止まっているために産業の維持がどんどん苦しくなっているからです。
ウラン燃料をはじめ、原発関連物資が売れないし、技術者も仕事がないのでどんどん腕がなまっていく。さまざまな意味で、全ての原発が止まっていることが脅威であり、だから輸出で時間稼ぎをしたいのです。

そもそも原発はどれぐらい止まっているのでしょうか。本日4月25日で日本が原発ゼロになってから587日が経過しています。
ただしその前に動いていたのは大飯原発のみ。3号機と4号機の2つの原子炉しか動いていませんでした。他の原発はほぼ4年近く動いていてないのです。
今年の4月15日を基準点としてそれぞれの原発がどれぐらい動いていないか具体的に見てみましょう。

柏崎刈羽2号機(新潟)        7年9カ月
柏崎刈羽3、4号機          7年8カ月
島根1号機(島根)          5年
女川2号機(宮城)          4年5カ月
浜岡3号機(静岡)他3原発3基    4年4カ月
高浜1号機(福井)          4年3カ月
東通1号機(青森)他2原発2基    4年2カ月
福島第二1号機(福島)他3原発8基  4年1カ月
川内原発1号機(鹿児島)他3原発5基 3年11カ月
高浜原発4号機(福井)他1基     3年8カ月
敦賀原発2号機(福井)他4原発4基  3年7カ月
玄海1号機(佐賀)他1基       3年4カ月
伊方2号機(愛媛)他3原発3基    3年3カ月
島根2号機(島根)他1基       3年2カ月
高浜3号機(福井)          3年1カ月
柏崎刈羽6号機            3年
泊3号機(北海道)          2年11カ月
大飯3号4号機(福井)        1年7カ月

平均停止期間 約3年10カ月

グリーンピースジャパンの以下のページの資料から作成
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/1/blog/50568/

このように日本の原発はすでに平均で3年10カ月も動いていないのです。しかも世界最大出力を誇る柏崎刈羽原発の2号機~4号機が8年近くも止まってしまっています。
柏崎刈羽原発が止まっているのは直接的には地震の影響です。しかしその後の安易な再稼働を私たちが許してこなかった面も大きくあります。
その意味で私たち日本の民衆は、すでに福島原発事故以前から原子力行政に一定の歯止めをかけてきたのです。

同時にこのように並べてみると非常にはっきりするのは、原発がなくても電力は完全に足りているということです。
いやそれも正確ではありません。原発が止まって、多くの人々が省エネを考えだし、実行してみたらかなり無駄な電力が使われていたことが分かったのでした。電力は余っていたのです。
今はどうでしょうか。夜に町に出てみて下さい。たくさんの自動販売機が煌々と闇夜を照らしており、街中にはたくさんのコンビニエンスストアが営業しています。その意味で実はまだまだ電力使用や減らせます。

実はこのこと自身が、政府にとっても電力会社にとってもとてもまずいのです。上述の日本の全原発の停止状況は、実は日本のような経済大国でも原発なんか必要ないことを如実に示してしまっているからです。
政府や電力会社はこのことに世界が覚醒することを何よりも恐れているのだと思います。
繰り返します。日本という経済大国は、ほとんどの原発が平均すれば4年近くも動いてないのに、経済を回すことができているのです。
ここに「原発のウソ」がくっきりとあらわれています。原発など実は無用の産物なのです。いますぐに世界の原発を止めたって何とかやっていけるのです。(根拠は不安定な電源である原発は必ずバックアップの火力発電を持っているからです)

やっていけないのは原子力産業だけです。ウランが消費できない。技術を維持できない。関連産業を保てない。
だからこそ、生き延びるために必死になっている。青息吐息で延命を模索しているのです。その大きな道が原発輸出です。

もちろんこれに地域でさまざまな意味で大国にのし上がりたい各国政府の思惑が絡んでいます。トルコのエルドアン政権がより大きな支配力を得るために原発を欲しており、日本の延命策と利害が一致しています。
だから強引な原発輸出・輸入が進められようとしているわけですが、反対に言えば、これを食い止めることで、それぞれの政権の覇権化を食い止めつつ、日本の原子力産業の延命策にふたをすることができます。
その意味で原発輸出を止めることは、受け入れ国と日本の住民の双方の未来に大きな幸をもたらすことになります。

だから日本に住まうみなさん。本日、シノップで行われた4万4千人の行動は、直接に私たちの幸せをサポートするものでもあることを知ってください。
だからこそ私たちはこれに応えぬく必要があるのです!!

核のない世の中を目指すことは、さまざまな意味で本当の平和な世の中を目指すことにもつながります。
私たちはそのための共同事業を、トルコの方たち、世界の方たちと今、ともにしているのです。
だから今日のシノップでの集会の大成功を共に祝いましょう!そこから勇気と希望をくみ取りましょう。
シノップの熱い息吹を私たちの力に変え、行動に変え、トルコの人たちに力強くお返ししましょう!

シノップ反原発集会の大成功に乾杯!!