守田です。(20150302 22:00)

福島原発事故から4年の3月11日に前後に全国で脱原発企画が行われますが、僕は3月6日午後に京都府綾部市の竹松うどん店で、夕方から舞鶴市の西方寺ふれあい会館でお話することになりました。
3月7日には原発ゼロ京都北部集会(舞鶴市)で講演し、デモにも参加します。3月8日には東近江市の「たむたむ畑」でお話します。今回は西方寺ふれあい会館での企画についてご紹介します。
まずは企画を案内してくれているFacebookのイベントページをご紹介します。

「つながる晩餐会~守田さんを囲んで、「テロ」と原発と食!のお話」
https://www.facebook.com/events/803092849784001

お題は「テロ」、原発、食ですが、総じて暴力と平和について、未来についての話になればよいなと思っています。

今回、僕を呼んで下さったのは、これまでしばしば僕を舞鶴や近辺に呼んでくださった田中ゆーじさんや添田みつこさんなど舞鶴の方たち。
これに昼間の綾部市竹松うどん店での企画をセットしてくださった今井葉波さんを含めて、若狭湾周辺でずいぶんいろいろなところでの企画をこれらの方たちと共にしてきました。
京丹後半島の伊根町や天橋立のある宮津市、舞鶴市、綾部市の他、福井県の高浜町、大飯町でも企画を持ちました。僕自身はこの他に、京都府の与謝野町、福井県の小浜市でもお話したことがあります。

いずれも原発から30キロ圏内に入るかその少し外に位置する町々。高浜町では原発から数キロのところにある内浦の公民館でお話しました。小浜市の会場も、大飯原発から直線距離で10キロ以内、しかも間は海で遮るところが何もない会場でした。
宮津も与謝野も舞鶴も単に原発から距離が近いだけではなくて海に面しています。遮るものがない。原発事故時に海側から放射能が押し寄せればほんの数分の間に、激しい汚染を被ってしまいかねない町々です。
この原発直近の地域で繰り返し話をさせていただきながら、僕はいつも私たちの国が本当に最深部から変わりつつあることを感じてくることができました。大都市圏よりも変革の波が直に感じられたのです。

例えば京丹後半島の伊根町は美しい船宿でも有名な町ですが、現在の人口は2300人。ピークだった1954年の7700人の三分の一以下になっています。
その伊根町での集会、確か50人ぐらいの方が集まってくださったと記憶しています。正確な数ではないかもしれませんがとにかく活気が溢れていました。
同時に印象的だったのは美味しい食べ物がいろいろと並べられた中での企画だったこと、溢れる活気も柔らかくて温かいものでした。いっぺんでその場が好きになってしまいました。この地域の多くの企画に似た感じがありました。

伊根町でとても印象的だったのは、近くの生産者の方たちが参加してくれていたことでした。田舎の町々から呼ばれる場合、都会から移り住んだり戻ってきた若い人たちに呼ばれることが多く、地元の生産者の方たちが参加されることはまだまだ少ないのですが、伊根では違う。
忘れられないエピソードがあります。食べ物の話をしていて、僕が鶏舎のことを批判する発言をしたときのこと、「鶏舎はにわとりにとっては監獄ですよ」と言ったら、会場からどよめきに似た含み笑いが起こった。
「まずい。鶏舎を運営している方が来られているんだ」と思ったものの後のまつり。目でどの方だろうと年配の方を探したりしました。

質疑応答の時にその方が手を上げて笑いながら発言して下さいました。「守田さんのおっしゃる通りです。鶏舎は監獄です。あんなところに何万羽もいれてしまっていいわけがない。でもうちの場合は2000羽です。これぐらいの数だとにわとりの一羽一羽の顔を覚えて体調管理してやることができるんす。」
・・・とてもありがたい発言でした。僕はそれまで現場をよく知らずに平飼いはマルで鶏舎はバツと考えてしまっていたのです。鶏舎はにわとりのストレスが強いから病気になりやすい。そのためあらかじめ抗生物質を入れてしまったりしている。でも2000羽の鶏舎ならそんなことは必要がないことが分かりました。
さらに2度目の伊根町への訪問で今度は交流会でその方とお話したら、それこそ1960年代、どんどん当時の若者が都会に出て行ってしまったときに伊根に残って農の営みを行われてきた方だということが分かりました。中学の同窓生80人のうち、役場に残ったものを除き、ただこの方だけが伊根町に残って農の営みを始められたのだそうです。

「時代が一巡して今やトップランナーですね」と僕が語ると嬉しそうにされていました。今やその方のお子さんたちや、周りの方たちが新たに農の営みを始めています。さまざまな工夫が凝らされています。
ご存知のように今、日本政府はこの伊根町のすぐ近くにアメリカ軍のXバンドレーダーサイトを作らせてしまいました。伊根町は西にレーダー基地、東に原発群に挟まれる町になってしまった。いや、舞鶴にはもともと自衛隊の軍港もあります。
それでもこの町にいくと、農村から人を引きはがして工業化にまい進し、さらにその工業を潰して商業へと転身し、その商業の中身もまっとうな売り買いからバブル的なカジノ的取引にすり替えつつ、全体としてのモラルを荒廃させているこの国の歩みの真逆の流れを感じます。

ちなみにそんなことを考えていたら伊根町に関するこんな記事を見つけました。やっぱりやるなあ、伊根町!・・・ご覧下さい。(末尾に記事を貼り付けておきます)
学校給食や修学旅行、4月から全部無料にする町
読売新聞 2015年02月27日
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150227-OYT1T50085.html

現場で肌で感じるものを十分に言語化できないのがもどかしいのですが、僕はこうした戦後の開発経済の流れと早くから切り離され、かつ自覚的にも自分を切り離そうとし、穏やかな時の流れや人の和を大事にしてきた人々の住まう地域、そのために人間的温かみが残っているところにこそ、これからの私たちの国の展望を示す何かがあるように思えるのです。
そこに原発があり問題意識があるから・・・と単純にはとても言えません。原発があるから脱原発の意識が高い・・・というわけでもない。むしろ直近の町々は電源交付金などの存在で、少なくとも政治家はほとんど原発を批判することはありません。
しかしこれらの地域には、直感的にと言おうか、この国のこれまでの流れはもうダメなんだと言う気付き、ないし悟り(仄かな)があるように思えます。もちろんすべての方がそうだというのでもないし、まだまだ少数派でしょう。それでも都会のど真ん中での気付きよりももっとリアルで確かな何かがここにはある。

それだけに僕はこれらの地域から呼んでいただけると何とも心がウキウキします。もちろん直近には原発がある。矛盾がどーんと存在している。だけれども本当は都会の方がもっとさまざまな意味で危険であり、矛盾がひしめいていながら、それを見させないたくさんのカラクリがある。
若狭湾周辺には美しい農漁村と原発がドーンと並んでいる。「さあ、どっちがいいですか」と誰かがどこからか囁きかけてくるのを感じ取れるような面があるように思えます。都会では見えなくなってしまう二つの道がここでは少なくとも目を凝らせば見えてくる。
その町の中に再び三度、迎えていただき、今回もまた僕はこの地域の方と一緒になって、この国に今ある危機と、それを越えた展望がどこにあるのかを一緒に語り合い、考えたいと思います。

お近くの方、ぜひお越しください。いや今回は少し遠くの方にもぜひ舞鶴や若狭に訪れて欲しいと思います。
以下、企画案内を貼りつけます!

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日本中、世界中を飛び回ってポジティブオーラを振りまく「これ核心問題なんですよ。」でおなじみの、守田敏也さんが、3月6日に京都府舞鶴市に遊びに来られます♪
そこで、守田さんを囲んでみんなで持ち寄りのおいしい晩ご飯を食べながら、今きっとみんなが気になっていることについて、わいわい話し合ってみない?ってことになりました~。

守田さんは、知識も経験も豊富で、とにかくポジティブ。
暗いニュースばかりが飛び交う世の中で、落ち込んだり悩んだりしてる僕達をいつも元気にしてくれます。

いろんな方にご参加してもらえたらうれしいです。ぜんぜん堅苦しくなーいメンバーと企画したイベントなので、ぜひぜひお誘いあわせの上、お気軽にご参加くださいませ。
いろんな人とつながって、世の中をゆるやかに楽しく良くしていけたらいいなあと思ってます~。

「つながる晩餐会~守田さんを囲んで、「テロ」と原発と食!のお話」
時 2015年3月6日(金)開場18:00 食事会18:30-21:30
場所 京都府舞鶴市 西方寺ふれあい会館(p有)
参加費 無料 一品持ち寄り(もしくはカンパ)
お酒OK(ただし泥酔禁止♪運転禁止!)

お約束ごと  お互いの違いを認めてつながること。

問合せ 田中ゆーじ 090-4560-8560
添田みつこ 080-3033-7479

つながる?晩餐会~守田さんを囲んで~ テーマは「テロ」と原発と食!
https://www.facebook.com/events/803092849784001

ちなみに田中ゆーじさんから「自撮りでメッセージを送れ」と言われて、初めて自撮りなるものに挑戦してメッセージを出しました。ちょっと恥ずかしいですがご覧下さい。
https://www.facebook.com/video.php?v=562357427239448&set=o.803092849784001&type=2&theater

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学校給食や修学旅行、4月から全部無料にする町
読売新聞 2015年02月27日
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150227-OYT1T50085.html

京都府伊根町は27日、小中学生全員の給食や修学旅行にかかる費用、実験器材などの経費を新年度から所得制限なしで全額負担すると発表した。

保護者の負担は年10万円前後減る見込みで、子育て世代の定住化を促す狙いだ。同様の無償化は、山梨県の早川町や丹波山村などで行われている程度とみられ、文部科学省によると、こうした取り組みは珍しいという。

伊根町の人口は町制が施行された1954年がピークで約7700人いたが、今年1月末は約2300人に減少。基幹産業の漁業や農業の衰退が原因で、小中学生も62年のピーク時の1706人から、今月26日現在では、小学校2校、中学校1校の計99

人になった。

町では4月以降、全小中学生を対象に、修学旅行費や給食費のほか、理科の実験に使う器材やテスト用紙などの費用を町が全額賄うという。新年度と2014年度補正の各予算案に関連経費計約700万円を盛り込む。

保護者の負担は、筆記用具や制服、体操服など、個人所有の道具類や衣類だけになる予定。同省児童生徒課は「所得制限を設けずに修学旅行や教材にかかる費用も無償とするのはあまり聞いたことがない」としている。