守田です。(20150226 22:30)

福島原発事故から丸4年を迎える3月11日前後に、全国で脱原発企画が行われます。
僕は舞鶴市で行われる「原発ゼロ京都北部集会」に参加して講演をさせていただくことになりました。
これに合わせて前日より京都北部に赴き、午後に綾部市で、夕方から舞鶴市でお話させていただきます。
以下、京都府綾部市志賀郷の竹松うどんさんでの企画をご紹介します。原子力災害対策についてのお話です。

僕も初めて呼んでいただいたところなので、どのようなお店か調べてぐっぐっと引き込まれました。
ほんの少し前まで主流的に目指された生き方だった「良い大学を出て良い会社に勤め良い稼ぎをしならが人生を送る」ことに早くから背を向けた大将、竹原友徳さんによって営まれてきたお店であることが分かったからです。

出発点は友徳さんが大学の時に香川に旅行に行って讃岐うどんにはまったこと。大学一年の夏にとにかくうどんを打ってみたいとの一心で師匠のもとに飛び込んだそうです。
その後、大学で教員免許をとられたにも関わらず、仕事としてのうどん作りを志向。まずは香川で3年修行。その後に師匠からの「はじめるなら金をかけるな。工夫をしろ」との教えのもと、まずは全国を車で放浪しながら300か所でうどんを手打ちして修行。2年間で全国すべての都道府県を周ったそうです。
その後、綾部に戻ってきて8畳ぐらいの農機具小屋を改装してうどん屋を開設。うどん店として軌道にのると、今度は自ら蔵をリフォームして今の店舗を建てられました。
このリフォームにもいろいろな工夫を凝らしたそうです。例えば土壁を作るために自ら竹を採りにいき、割き、編んだそうです。それも多くの方たちに手伝ってもらいながら作りあげた。

友徳さんは金がないからこそできることがあると言います。自分には「何はなくともまずやる気はある」と言う。また金をかけずに作ったものほど愛着が生まれ。大切にしたくなるのだと言います。しかもたくさんの人が関わればその分、愛着も分け持ってもらえる。
600世帯しかない田舎で、なおかつ観光地でもなくそのための通行者もいない。しかも値段もとても安いうどん屋さんです。それでどうやってやって店を回してきたのかというと「ちょっとわかりにくい、怪しいうどん屋」を目指すことでだったそうです。
「ちょっと苦労しながら来て、店を見つけて、うどんを食べたら美味しかった。思わず翌日、職場で話したくなる」・・・そんなうどん屋を目指したのだそうです。この発想がとても面白い。とても良いなあと思います。

しかも日本で数件しかない薪で炊く釜でうどんを茹でている。薪が積み上げられた一風変わったうどん屋さんなのです。もちろん化学調味料は一切使わない。
よく挑戦したなあと思いますが、友徳さんは「何事も挑戦することが大事。興味をもったら飛び込むのが大事。やらないと後悔しますよ」と語られます。
ま、僕自身の人生を振り返ってもまったくその通りだったので、大いに共感しました。

お連れ合いは妙さん。2010年頃に友徳さんと結婚され、一緒に店を発展させて来られました。新店舗も一緒に手作りされました。
妙さんはうどん屋さんをやる前は、栃木県で益子焼の陶芸を10年間されていたそうです。お店で使っている食器も一部は妙さんが作られたものだとのこと。
今回は舞鶴の今井葉波さんが妙さんに話を持ち込んでくださり、一緒に企画を決めていただきました。

実は僕はまだお二人とお会いしたことはありません。もちろん竹松うどん店にも行ったことがありません。
ここに書いたことはすべてネットから検索して見つけた情報です。
妙さんについてはほとんど情報が得られなかったので、お会いした時にもっとたくさんのことを知りたいなと思っていますが、いずれにせよ、高浜原発の再稼働が取りざたされるこの地域でお話をするのにとてもフィットする素敵な場に呼んでいただけたなと思っています。

なぜかと言うと、友徳さんのお話は、本当にすべてが原発に依存した国づくり、町づくりと反対の流れだからです。
原発はどこの地域でも、「魅力的で、人が思わず苦労してでも行ってしまう」ようなものとして作られたのではまったくありませんでした。
いわんや「お金をかけるな、工夫をしろ」の真逆。原発の危険性に不安をいだく地域の人々を潤沢なお金をつぎ込んで丸め込み、たくさんの業者の利権をも集めて、まさにお金で支持を買い付けて建てた産物でした。

このため建設過程でも、その後でも、地域社会のコミュニティをズタズタに引き裂いてしまいました。人の心を荒れさせてお金をまく産物でした。
そんなにしてまでも原発を作りたかったのは、金儲けと利便性のため。国がビックパワーを持ち、より大きな権力を得るためでした。もちろんその場合の利便性とは、原発を受け入れた地域の人々のというよりは、都会の人々の利便性でした。
その利便性のためであっても都会に原発を作ったら危険性が大きく、大きな反発が予想される。そのために、つまり都会の人々に原発の危険性に気が付かさせないために、都会から遠いところに建てられたのでもありました。

友徳さんは、何も原発反対を意識してこのお店を建てられたのではないと思いますが、僕は竹松うどん店の発想の中に、原発だけでなくエネルギーに依存し、利便性の罠にはまりこんできたこれまでの私たちの社会のあり方を越えていくヒントがたくさんあるように思いました。
僕が感じているのは、福島原発事故以降、こうした試みを行う人たち、とくに若い人々がどんどん増えていることです。
いやそれは正確ではないですね。竹松うどん店の新店舗ができたのも2010年10月。福島原発事故の5か月ほど前でした。すでにこうした新しい生き方を選ぶ人々がどんどん増えつつあった。

それが原発事故後、急速に、ドラマティックに、出会い始めているのだと思います。
あるいは僕がそうしたみなさんと出会わせていただいているのかもしれません。本当に、講演などで呼ばれる先々で、こうした面白い試みがなされていることを知ってきました。
その意味で、未来に向けた新しい志向性いっぱいに楽しく営業している竹松うどん店で、お金とエネルギーに依存した権力志向という、古い発想の象徴としてある斜陽産業の原発に関するお話をすることそのものが何かの象徴であるようにも思えます。

お近くの方はぜひですが、どうか少し遠くの食いしん坊の方も、薪でたく釜で茹でられたうどんを食べに来られて、ついでに僕のお話も聞いてくださって欲しいなと思います。
みなさま。ぜひ竹松うどん店にお越しください!

なお、上述の記事における竹原友徳さんの紹介は、ブログ「独立して田舎で自給自足するための半農半X的仕事の作り方」を主催している草刈正年と友徳さんとの対談を参考にさせていただきました。
ブログのアドレスを記しておきます。対談は映像化されています。そのアドレスも記事の末尾に記しておきます。
http://ameblo.jp/cotomake/

以下、企画案内を、竹松うどん店のFacebookページより転載します!

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☆3/6(金)
緊急企画!

守田敏也さんによる
「防災について考えよう~家族を、子どもを守るにはどうしたらいい?初級編~」@竹松うどん

シェアお願いします!m(_ _)m

日時:2015年3月6日(金)13~15時

参加費: 800円(ハーブティー.資料代含む)
※別途うどんを12:30までにご注文下さい。
場所:竹松うどん

3/11で東日本大震災から4年が経とうとしています。
最近京都府では小さな地震が頻繁に起こっていて不安な気持ちになられてる方も多いのではないでしょうか…
丹後でも88年前に大地震がありました。
日常に追われる中で防災への意識も日々失われつつあるように思います。

大地震や若狭原発で事故が起こったら…。
「もしも」の備えがあるのとないのとでは大違い。
事故が起きたら、まずどうする? 子ども連れの避難生活は? どんな避難グッズを用意すればいいの??などなど、実際的な防災について学び合います。
講師に篠山市原子力災害対策検討委員会委員も務めるジャーナリストの守田敏也さんをお招きします。
備えあれば憂いなし!

子どもを守る為にお母ちゃんが出来る事、防災のいろはについて一緒に学びましょう。

?守田さんってどんな人?
東北被災地を度々訪問し、福島の現状、内部被曝の実態、放射能から身を守る方法や原発防災など、被害者に寄り添い、市民と手をつなぎながら、真実を訴え続けている数少ないジャーナリストの一人です。
被爆医師肥田舜太郎医師へのインタビューや、著作に琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏との共著『内部被曝』があり、放射能や内部被曝について各地で講演活動を精力的に行われています。
大飯町小浜市など、若狭で何度も講演が開かれており、独自の取材や研究に裏付けられたお話しには胸を打たれる参加者が多く、強い信頼が寄せられています。
登山がお好きな自然を愛する方でもあります^^
ブログ「明日に向けて」を通じて、連日、原発情報を発信中。

お申し込みはFacebookメッセージか0773211665竹松うどんまでよろしくお願いします(*^_^*)

京都府綾部市志賀郷町儀市前13
0773-21-1665
定休日は7.8.9のつく日
11:00~15:00
takematsuudon@gmail.com

竹松うどん店
https://www.facebook.com/pages/%E7%AB%B9%E6%9D%BE%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93%E5%BA%97/324142814291997?fref=ts

竹松うどん店の日々薪パカーン!
http://mensoule.seesaa.net/

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以下、竹松うどんについてのビデオを紹介します。

1、うどん店を開始したばかりの時のインタビュー。

「志賀郷暮らしはこんなにエコ」(5)竹原友徳さん・妙さん
里山ねっとあやべ  2010/08/08アップロード
https://www.youtube.com/watch?v=mfRarqWOx4A

2、新店舗(現店舗)の手作り紹介

竹松うどん店ができるまで
eyoueyou8 2010/10/08アップロード
https://www.youtube.com/watch?v=dKPzkhL4Zts

3、食いしん坊のお客さんによる訪問記

店舗が新しくなった「竹松うどん」さんに行って来ました。
美味しいもの食らうンジャー 2010/11/29
http://mametan802.blog105.fc2.com/blog-entry-458.html

4、竹原うどん大将との対談

田舎でうどん店を仕事に生きる~京都綾部竹松うどん~
自給自足で田舎暮らしを目指す半農半X的仕事作り 2014/05/12公開
https://www.youtube.com/watch?v=uSUO5dsO1hU