守田です。(20140819 08:00)

8月16日に行った、滋賀県大津市石山の「フィンランド学校」で行われている「びわこ1・2・3キャンプ」でのお話の続きです。
ハイ!ハイ!といっぺんに何人も手を挙げて質問する子どもたちの、活発な姿を思い浮かべながらお読み下さい!

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なんで戦争なんかするの?
(2014年8月16日 びわこ1・2・3キャンプでの子どもたちとの対話から)その2

女の子 「なんで日本に爆弾を落としたの?」

―日本にアメリカが爆弾を落としたのは日本とアメリカが戦争をしたためです。
戦争をしたからなんだけれども、今の質問もとても良くてね。戦争というものはもともと軍隊と軍隊がやるものです。戦争にはルールがあって、軍隊以外は殺してはいけないというのが本当はルールなの。
ところがそれが第二次世界大戦、1939年から45年まで行われた戦争で、そのルールがなくなっちゃったの。

男の子 「そのルールはアメリカが潰したんですか?」

―そのルールはアメリカが潰したのか・・・。鋭いね。子どもたちは。そのルールはね。アメリカだけが潰したのではないの。戦争しあっているとお互いに潰してしまうの。
たとえば空から爆弾を落とすことを空襲といいます。空襲をするとね、相手の軍隊だけではなくて、そこに住んでいる子どもたちや戦争に関係ない人をたくさん殺してしまいます。だから空襲はやってはいけないと本当は決まっていたの。
それを一番最初に大規模に破ったのはどこの国か。大人のみなさん知っていますか?一番最初に小さな飛行機でやったのはナチスドイツです。スペインのゲルニカの空襲です。
では一番最初に爆撃機を飛ばして空襲をやった国はどこでしょうか。

男の子 「アメリカ」

―違う!

男の子 「日本」

―ピンポン。そう、日本なんだよ。日本が中国の重慶というところに行った戦略爆撃が、世界で初めての本格的な都市空襲です。
そうすると子どもたちなどもいっぱい死んだのだよね。だから本当はそんなことはやっちゃいけないのに、相手がやるからやりかえすという具合に、どんどんどんどん人殺しがひどくなってしまったのが戦争です。

女の子 「なんでそんな倍返しばかりするんですか」

―うーん、そうなんだよ。まさにその通りで、倍返しなんかしちゃいけないの。倍返しなんかしないで、やられたことに対して、もう武器をもってお互いやりあうのはやめましょうといって戦争を止めるべきなんだけれども、歯止めがなくなってしまうのが戦争なんだね。

男の子 「一番初めに戦争を始めた国はどこですか」

―これはねえ、ずーっと歴史を遡っていくと、2000年、3000年前から人間って戦争をやってきたんだね。だからどこが始めたのかは言えないな。今の国ではなくてもっとずっと古いことです。
ただ言えることは、私たちは今、この地球に生きていて、人類というものの中に私たち一人一人がいるのだけれど、なんとかね、もう戦争を止める時代に向かっていきたいなあと僕は思っています。

女の子 「なんで戦争しちゃうんですか?」

―なんで戦争しちゃうんだろうね?これは本当に大事な問いだね。

男の子 「これからも戦争はあるんですか?」

―戦争は、今も、行われています。

女の子 「えー!」・・・多くの子どもたちからどよめき。
男の子 「どこで?どこで?」

―パレスチナというところ、中東というところでね、そこでイスラエルと言う国がパレスチナのガザというところに、どんどん一方的に戦争をしかけて、今、2000人ぐらいの人が殺されちゃったのかな。そういうことが起こってます。
あとはウクライナというところでも起こっているし、そういう細かい戦争はあちこちでいっぱい起こっています。

男の子 「なんで殺し合いなんかするんですか」

―なんで殺し合いなんかするんですか・・・。その通りでね。僕もなんで?と思いますね。殺し合いなんかしなくていいのに、だけれども人と人が分かりあえない中で暴力をエスカレートしていくと殺し合いになってしまうんだね。

女の子 「また日本とアメリカで戦争があるんですか」

―大人の方、これに答えを出してください!

大人 シーン

―あのね、日本とアメリカは戦争をするようには向かっていません。でもアメリカはあっちこっちに攻め込んで、あっちこっちで空襲をしています。今はアメリカはイラクというところで空襲をしています。
アメリカは日本の自衛隊にすごく協力して欲しいんです。それで今の私たちの国の首相の安倍さんは、すごく戦争が好きな人でね。アメリカに強力する方向にどんどん向かっています。
だから本当に僕なんかは一生懸命に反対しているんだよ。

女の子 「なんで謝らないんですか?」

―なんで謝らないのか。もうその通りだよね。その通りだと思います。謝ることが一番大事でね。謝って、お互いのことを思いやれば戦争なんかする必要はありません。
だけど自分の都合ばっかり言いたててね、相手の国が悪いとばかり言いたてて起こるのが戦争だよね。だからもっとお互いのことを理解するようにならなくてはいけないね。

女の子 「集団的自衛権って何ですか?」

―集団的自衛権というのは、アメリカがやられたときに、日本がアメリカに代わって仕返しをするというもの。他の国の戦争に参加するのが集団的自衛権です。
アメリカはそうやって自分の戦争に日本を引き込みたいんです。安倍さんはアメリカべったりの人なので、アメリカの戦争に日本の自衛隊を出したくてたまらないわけ。それで作ったのが集団的自衛権だね。
こんな法律は本当にあってはいけない法律です。

えー、話が前に進みません!

大人たちから笑い声

男の子 「なぜ日本はアメリカとチームを組むんですか?」

―大人の方、答えを考えてください!すごく難しいよね。
さっき言ったように、アメリカは、いやすべての国が、すべてが悪いなどということはありません。例えばアメリカは科学や医療などで素晴らしい業績もあげてきた国です。
そういうところでは一緒に協力すると、例えばガンを治していく技術や、身体を良くしていくことなども研究できるのだよね。だからいろいろな国がいろいろな国と協力することが間違いではないよね。
どういう方向で協力するのか。人間を豊かにしていくために協力するのか。そうではなくて戦争のために協力するのかによって、良い悪いが決まってしまいます。
だから協力一般が悪いのではなくて、戦争への協力はもう止めて欲しい。

女の子 「日本がこれから戦争をすることってありますか?」

―ありうるんだよ。だから僕はそれをどうしても止めたいと思います。何としても止めたいときにね、えっと僕は今、なんとか話を放射能のことに戻したいと思っているのですが(大人から笑い声)何としても戦争を止めたいと思うときに、僕は放射能の害について知って欲しいと思うのです。
放射能の害はもともとアメリカが原爆を落として、たくさんの人を殺して、その中で放射能の害なんて大したことはないんだと言ってきた、その歴史を知って欲しいわけ。
つまりさっき言ったように、アメリカはすべてが悪い国ではありません。だけれど原爆を作って落としたのはすごく悪いことです。そのアメリカの戦争に日本は絶対に付き合ってはいけないんだね。
そのことを考えるときに『はだしのゲン』を読んで欲しいし、アメリカの起こしてきた戦争について考え欲しいんです。

女の子 「なんでアメリカは反省しないのですか」

―その問いも大事だね。アメリカ人全体が反省してこなかったのではありません。アメリカの中でも反省してきた人はいます。あとたぶんね、一番、反省する力を持っているのは子どもだと思うな。
僕の友だちが、朝鮮人の女性なのだけれど、カリブの男性と結婚して数年前にアメリカに引っ越しました。彼女には前の日本人のお連れ合いとの間に子どもがいて、その子は中学校1年生でアメリカに渡りました。
そのアメリカで通い始めた学校で、第二次世界大戦に関する授業が行われたのですね。

その時、日本とアメリカが戦争に入るときに、日本軍はアメリカのハワイの真珠湾というところを突然襲いました。だまし討ちをしたのね。
そのことが授業で話されたときに、アメリカ人が日本人を差別する時に使う「ジャップ」という言葉があります。僕の友だちの娘さんは、朝鮮人でもあるのだけれども、アメリカ人の友だちに「ジャップ」と言われていじめられたのだそうです。
ところがその授業がちゃんとしていてどんどん進んで行って、アメリカが原爆を落としたこと、それだけではなくて、東京だとか大阪だとか、たくさんの町に爆弾をいっぱい落としたことがちゃんと教えられました。
そうしたら「ジャップ」と言ったアメリカの友だちが、「ごめんね」と言って泣きながら抱きついてきたのだそうです。

子どもたちが一番そうやって、悪いことは悪いと思って、謝ってくれるんだね。
そうやってお互いの国が、自分が犯した過ちをちゃんと認めてね、相手に対してちゃんと謝りあって、仲良くしていくことができれば、戦争は止められると思います。
まあ、興味はつきないとは思うけれど、戦争の話はこの辺で終わりましょう。なんとか食い止めた・・・なんて言ったらいけないですね(大人たち笑い)僕ももっとやりたいのですが・・・。

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話はこのあと、放射能とは何かという段に移っていきました。
その内容も聞きたいと思われる方もおられると思いますが、今回はここまでで文字起こしを切ります。

これを読んでいてもお分かりのように、子どもたちは戦争とは何か、どうして戦争が起こるのかなど、真剣に考えています。
ぜひご家庭にお子さんがおられる方、身の回りにお子さんがおられる方は、こういう話をしてあげてください。してあげながら、この国の底部に浸透している平和力に触れてみてください。

ちなみに8月16日は僕の誕生日でもあって、そのことをキャンプのスタッフの方が知っていて、僕の帰り際に、子どもたち、大人たち、スタッフのみなさんで、ハッピーバースデーを大合唱してくれました!
しかもピアノの伴奏までついて・・・。人生で一番、たくさんの人に祝われた誕生日になりました。子どもたち。素敵な会話と歌をありがとうございました。大人のみなさん、スタッフのみなさん。素敵な場に出していただいてありがとうございました!

以上、びわこ1・2・3キャンプでの戦争の話の報告を終わります!