守田です(20230522 22:00)
● 広島で核抑止が公然と語られた!
広島サミットが閉幕しました。日本被団協はじめ多くの団体が「大失敗だった」と声明しています。サーロー節子さんは「死者に対する大きな罪」と指摘しました。僕もまったくそう思います。
特に批判が集中しているのは「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」で核抑止論が公然とうたわれたことです。
外務省ホームページに掲載された原文にはこう書かれています。
Our security policies are based on the understanding that nuclear weapons, for as long as they exist, should serve defensive purposes, deter aggression and prevent war and coercion.
仮訳としてこう日本語化されています。
「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page1_001689.html)
要するにわざわざ広島に集って、抑止力としての核兵器肯定を行ったわけですが、核を持っていることへの批判は、ロシア、中国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、イランだけになされている。
原爆による大量虐殺を行った戦争犯罪国アメリカを問う姿勢はまったくない。その後に米英仏が、中ソと共に大気圏内核実験を繰り返し、世界中の人々を被爆させたこともスルーしている。
それでアメリカが無差別殺りくを行った広島の地で、アメリカに酷く殺された人々の前で、自分たちの核だけは肯定する。まさに「死者に対する大きな罪」です!
● 広島が戦争遂行の議論の場に使われた!
二つ目にひどいのは、ウクライナ戦争の一方の当事者であるゼレンスキー大統領を招き、各国首脳からウクライナ支持=戦争のさらなる遂行への支持・協力表明がなされたことです。
世界に平和を訴えてきた広島で、戦争遂行の話がされたのです。ゼレンスキー氏は戦争支援を求めに広島に来たのであり、G7首脳はエールを返したわけです。広島を使って。あまりにひどい!
広島の体験が教えているのは「正しい戦争」などないということ。戦争は上級国民―支配階級が起こし、下級国民―被支配階級が戦わせられるのです。「国家の大義」をたてに殺し合いが強制されるのです。
そんなことがもうあってはいけあい。二度と国によって、殺し殺されることを強制されてはいけない。それが広島・長崎をはじめ、この国で平和運動を担ってきた人々が唱えてきたことです。
そもそもかつて第一次世界大戦を前に、ロシアのレーニンはこう叫んだのでした。「ロシアの労働者とドイツの労働者が撃ちあってはならない」。
私たちもこう叫ぶべきです。「ロシアの若者とウクライナの若者がもうこれ以上撃ちあってはならない」「戦争を即時止めよ。各国政府はそのためにただちに動け」と。
G7の首脳にそれができないのではない。する気がないのです。戦争が続けば武器がもっと売れて大儲けできるし、核抑止論ももっと強調できるからです。
私たちはこういう支配層のたくらみに抗わなくてはいけない。どの国が悪いとか悪くないとかの議論に巻き込まれずに、世界の民衆、労働者、農民の団結を目指さなくては。
支配者たちは民衆がそうやって団結しないために、あえて広島で戦争遂行の議論を行ったのでした。
私たちはこれに抵抗していきましょう。戦争を止めるための行動を起こしましょう。
● 「世界の現状における非暴力の可能性」について共に考えよう!
どうしたら良いのか。どう考えたらいいのか。ぜひご覧になって欲しいのが「世界の現状における非暴力の可能性」と題した講演です。
2月にカトリック岡山教会で、岡山のプロテスタントとカトリックの方たちに合同でお呼びいただいてお話したものです。
僕はここでお話したことを広げることで、非暴力の可能性を広げられるとあらためて確信しています。
そのために今後、このブログでこの内容の文字起こしも行っていこうと思います。
みなさん。いまこそ戦争の世紀を越えるために奮闘しましょう。
暴力にまみれた人類前史を閉ざし、友愛に満ちた人類後史の扉を開けるために。
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