守田です(20210414 16:30  0415 01:00 訂正)

4月13日の閣議後に「処理水」の定義変更が行われ、トリチウム以外の核種も放出されることが明示されました。ただし変更ではありません。より明確化したものです。
この点で、僕が最初に出した記事には誤りがありました!申し訳ありません。今回の変更を「詐欺」と名指した点も取り下げます。その点の訂正も含めて解説します。

● 「処理水」など存在していなかった

昨日13日、政府は関係閣僚会議を開き、「トリチウムを含む処理水の海洋放出」の方針を決めました。
これに対してこの「明日に向けて」の場で、「処理水」とはまやかしであること、どこにもないしこの先も作れないことを指摘しました。理由としてあげたのは以下の点です。

1、トリチウムが残留している。トリチウムは「薄めれば安全」と言うがそれなら「濃ければ危険」ということで危険性は認知されている。その上、汚染水は濃度ではなく総量が問題。薄めれば安全とは言えない。
2、さまざまな核種が残留していて「トリチウム以外を取り去った水=汚染水」などというものはALPSで作れておらず現状では存在していない。

これらから「処理水」などというのはまやしであること、かつまた「作れなていないし、この先も作れないだろうこと」を指摘しました。

● 放射性核種はすべてとるのではなく排出基準までは流すとされている(この点、誤解をしていました)

ただし僕の中に誤解があり、それが環境省の出した「変更」を誤読することにつながってしまったので訂正します。
というのは前項の続きですが、僕は「処理水」がトリチウム以外の核種を含まないとは言えないとして、以下のように書きました。
3、核種の測定には「検出限界」があるので、この先も「すべてを取り去った」とは証明できない。検出限界値以下のものがある可能性を否定できず、トリチウムのみ含むものとは言えない。

この点、なんというか僕は政府や東電の意図を誤解していました。もともと政府も東電も、トリチウム以外の放射性核種を完全に取り除こうなどとは考えていないのです。
それぞれの「排出基準を満たす放射性核種は放出する」ことを目指してきていて、今回、それをより鮮明化したのです。
お恥ずかしいことですが、僕は政府と東電が検出限界まで他の放射性核種を取り除こうとしているかのように思い込んでいたので誤解しました。政府や東電をこの点で「よりよく」みてしまっていました。

再度、明記します。アルプスはもともとトリチウム以外の核種をすべてとりのぞくことなど目的としていないのです。ではどの値から流そうとしているのかというと、「告知濃度限度比総和」が1.0以下のものです。
それぞれの核種に定められた排出基準(告知濃度限度)以下は海に放出するつもりで、複数の核種の場合はそれぞれの告示濃度限度が異なることから、比率を計算して総和を出し、それを1.0以下にすると決められています。

ただしこれは大変分かりにくい言葉と数値です。具体的にどの核種をどれだけ出そうとているのかを明らかにすべきです。

僕の誤解は恥ずべきことですが、やはりこれまでの政府や東電の言い方の中に「放射性核種をすべて取り除く」かのような誤解が生じる面があることも指摘したいです。

● 4月13日の閣議決定後にALPS処理水の定義を変更

その点で今回の変更で、「トリチウム以外の放射性核種を排出基準以下で海洋放出すること」がより明確化されたことで、僕も誤解に気づけたと言えます。
「ALPS処理水」の定義をこう変えられています。以下、経産省ホームページからの引用です。

「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS処理水」と呼称することとします。
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210413001/20210413001.html

トリチウム以外の核種についても、「排出基準」以下のものは海に流すと言っている点を大きくアナウンスしたいです。
ただしその点ではもともと「トリチウムを含む処理水を海洋放出する」という閣議決定の言い方そのものにも問題があったと言わざるを得ません。
その段階で、「トリチウムを含み、トリチウム以外の核種についても、環境放出の際の基準を満たす水」を海洋放出すると言うべきだったのです。

● 放射能汚染水の海洋放出絶対反対

この点では「濃度が低ければ大丈夫詐欺」が、トリチウムだけでなくすべての核種で行われようとしていることをつかむことが大切です。
繰り返しますが、すべての放射性物質が、濃度ではなく総量で規制されるべきなのです。濃度が低くても総量が多ければ当然、環境破壊は進みます。
トリチウムだけでなくセシウムやストロンチウムなど、様々な核種が入ったものが「規制基準以下」であろうと125万トンも海洋放出されたら、放射能汚染は間違いなく計り知れなく拡大します。

やはりこの「処理水」は、トリチウムだけでなく、他の放射性核種も入っているのですから、どこからどうみたって「放射能汚染水」そのものなのです。
他の原発、他国の原発からの排出水との比較がなされていますが、他の原発からの排水には、デブリを冷却した際に生じる多様な核種の混入などはありません。トリチウムだけでは比較できません。
あらためて「放射能汚染水」の海洋放出反対を叫びたいと思います。なんとしてもとめましょう。とりあえずはこの間、紹介した署名がまだしっかり動いているのでぜひご協力ください。

福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!
http://chng.it/JnTfZgSxjh

#放射能汚染水海洋放出反対 #福島原発事故から10年 #トリチウム #薄めても危険性は変わらない #政府はウソつき #濃度が低ければ安全詐欺 #薄めれば安全詐欺

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