守田です(20201001 22:30)

● 国と東電の責任をあらためて認める!

福島原発事故の被災者約3650人が、国と東電を訴えた生業(なりわい)訴訟控訴審で、仙台高裁は昨日30日、「大規模な津波が到来する可能性を事故の前に認識できたのに、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘。1審に続いて国と東電の責任を認め、原告3550人に計10億1千万円を支払うように命じました。素晴らしい!原告のみなさんに大拍手です。
この判決は全国で約30件行われている同様の裁判の中で、初めて高裁で国の責任を認めたもの。約2900人に計約5億円の賠償を命じた一審判決から賠償総額を約2倍に引き上げ、救済範囲も拡大しておりその点も素晴らしいです。


NHK NEWSより

高裁上田哲裁判長は次のように指摘しました。「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない」。
1審が国の賠償責任の範囲を「東京電力の半分にとどまる」としたことに対しも「国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない」などと指摘。東京電力と同等の責任を問いました。
この判決について、中央大学法科大学院の野村修也教授はこう語っています。「今回の判決では、原発事故を避けることができたかどうかについて、国が証明できないかぎり責任を負いなさいという考え方が示された。このような判断のしかただと、事故を避けられたかどうかが不明確でも、国が責任を負う可能性が高くなってくる。ほかの裁判所の判断にどう影響するか注目したい」。ニュースソースを示しておきます。

原発事故で国の責任認める 仙台高裁 2審で初めて
NHK 2020年9月30日 20時21分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200930/k10012641371000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

国の責任、二審も認める 生業訴訟仙台高裁判決 賠償の対象拡大
福島民報 2020/10/01 08:20
https://www.minpo.jp/news/moredetail/2020100179526

● 被災者自らが国と東電の責任を明確化させた

これまで地裁段階では13の裁判所で判決が出て、すべてで東電の責任が認められたものの、国の責任を認めたのは7裁判所にとどまっていました。
国に責任ありとしたのは前橋・福島・京都・東京・横浜・松山・札幌の各地方裁判所。責任なしとしたのは千葉・千葉・名古屋・山形・福岡・仙台の各地方裁判所でした。
この間は、国の責任を認めない判決の方が多くなっていましたが、今回の仙台高裁の判決は、この間の流れを逆転させる位置を持ったものとなりました。


各地の判決の比較 毎日新聞より 

こうした判決は、ひとえにこの裁判を担った原告を始めとしたみなさん。そして各地で裁判を担った来られた被災者のみなさんの営々たる努力によって生み出されました。
もちろんそれを取り巻いている私たちも奮闘を重ねました。まさに被災者自らの手で国と東電の責任を明確化させ、支援者がさらにそれを確かなものとしました。
さらに僕はこの間の「黒い雨」訴訟、原爆症認定訴訟やノーモア・ヒバクシャ訴訟、そしてまた原発の運転差し止めを求めた各地の裁判などの積み重ねも、間違いなくこの判決を引き出す力になったと思います。

核の被害者の声が大きくオーバーラップしながら、今回のこの結果も実現できたのです。私たちはさらに前に進みましょう!
そのためにもさらに各地の裁判で頑張りたい。僕自身は10月14日に午後2時半から行われる原発賠償京都訴訟控訴審に駆けつけます。大阪高裁本庁舎201号法廷の予定です。
さらにもう一点。これらの流れをより強いものとするために、いまここできちんと内部被曝の危険性について学びましょう。3日午後2時からにzoom講演を行います。次の記事で詳細をお伝えします!

#原発賠償訴訟 #生業訴訟 #福島原発事故 #国と東電の責任 #仙台高裁

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