守田です(20200313 08:30)

● この9年、私たちはたくさんの原発を止めてきた!

昨日11日で東日本大震災と福島原発事故から9年が経ちました。
あらためて大震災と原発事故でお亡くなりになられたみなさまに心からの哀悼の意を捧げます。
ご遺族のみなさま、近親者のみなさまにもお見舞い申し上げます。

事故の収束のため、放射線防護のために奮闘してきたみなさま、率先避難者として危険地帯を飛び出されたみなさま、さまざまな形で事故と格闘してきたみなさまに心からの感謝を捧げます。
さらに僕自身を含んでこの9年間、奮闘してきたすべてのみなさまにエールを送ります。
私たちはよく頑張ってきた!僕はそう思います。その頑張りは、日本のあり方を深い所から変える大きな動きに連なりつつあります。

こう書くと、安倍政権のあまりの酷さに憤り続けている方たちから「日本はこんなに悪くなっているのでは」という指摘が聞こえてきそうです。
お気持ちは分かります。確かにそういう側面もたくさんあります。でも「原発」を視座に見た場合、戻しようのない大きな変化があります。
私たちは2011年3月の時点で54基あった原発を次々と停め、廃炉に追い込み、21基(もんじゅを入れれば22基)も削減してきたのです。


大震災後の気仙沼を訪れて 2012年1月18日 守田のカメラにて撮影

● 原子力行政にもはや未来はない!

この点を詳しく見るために資源エネルギー庁ウェブサイトの「我が国における原子力発電所の現状」を参照しましょう。
日本で作られた原発は全部で59基。このうち、ふげんともんじゅをのぞいた商業原発は57基で、東海原発と浜岡原発1,2号機の3炉が老朽化して廃炉が決まっていました。
その後に私たちが廃炉にしたのは21基なのでこの表には24基と書かれています。しかし本当はここにもんじゅとふげんも加わります。とくにもんじゅの廃炉決定は、事実上、核燃料リサイクルの未来を閉ざしたことなのでとても大きい。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf

現在稼働中(定期点検で停止中も含む)の原発は9基と書かれています。川内2、玄海2、伊方1、高浜2、大飯2です。
しかし伊方原発は裁判で停止命令が出ましたから当面、動かすことができません。さらに川内1号機は「特定重大事故等対処施設」の建設が間に合わないので3月17日夜に止まります!動かせるのは実質7基しかないのです。
しかもそれらも今後、同じく「特定重大事故等対処施設」が間に合わないため、停止が不可避な状態にあります。

どうしてこうなったのか。私たちが頑張って脱原発を叫んで行動してきたために、国が規制を強化せざるをえなくなり、それだけでコスト高になって立ちゆかなくなったからです。
さらに大飯原発運転差止の画期的な判決を出した福井地裁(樋口英明裁判長)をはじめ、原発の運転を認めない判決が幾つか重なり、経営リスクがさらに大きくなったからです。
そんな中で原発輸出も難しくなり、アメリカ・ベトナム・台湾・リトアニア・英国・トルコへの輸出がすべてとん挫しました。アベノミクスの柱の一つが折れ、原発メーカーの東芝が事実上倒産しました。


「我が国における原子力発電所の現状」資源エネルギー庁ウェブサイトより

● 率先避難者を中心とする原発事故サバイバ―こそがこの地平を切り開いた!

これらはすべて2013年に政権を民主党から「奪還」した安倍自公民政権が、圧倒的に議席を占有している中で実現されてきたことも特筆に値します。
その点でみなさん、選挙以外の活動、デモやさまざまな行動の持つ大きな意義に着目してください。
私たちがアクティブに動いてきたからこそ、国会の中がどうであれ、たくさんの原発が廃炉になったのです。

この民衆の力の源泉となったのは、原発事故でもっとも苦しんだ福島や東日本の人々の奮闘でした。
とくに僕が讃えたいのは率先避難者として日本中に飛び散った方たちです。一方で福島で、東北で、関東で、家に籠城するなどして放射線防護を行ってきた方たちも僕は大きなエネルギーをくださったと思って尊敬しています。
みなさんの声が本当に日本中にこだました。その中でこそ、大きな脱原発運動が起こったのです。この運動の根底の力となったのはどこでも避難者、被災者の方たちなのです。

すべての政党のみなさん、進歩的と自負している団体のみなさん、ぜひこの点にご着目ください。
残念ながら既存の組織の中で、避難の必要性を叫んだところはどこもなかったのです!避難者たちはそれを自ら乗り越えて動き、新たな可能性を作りだしてくれたのです。
東日本大震災と福島原発事故から9年、僕は率先避難者と被災者のみなさんに心から拍手を送りたいです。


原発賠償京都訴訟に集った率先避難者のみなさん 守田撮影 講演用スライドから

● 日本は、世界は、大変革期に入った!

みなさま。奇しくも今年の3月11日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスがパンデミック(世界的流行)になったと宣言しました。
世界が揺れていて株価がどんどん下落しています。ウイルスだけでなく恐慌によっても多くの人が命を落とすかもしれない大変な事態に向かいつつあります。
しかし実はこうした大きな変革の予兆はこれまでもあちこちで語られていました。きっかけはウイルスの流行ですが起こってることは、あまりにも歪んで爆走してきた資本主義のどんづまりです。

この大きな混乱の中で新たな道を切り開くために、実はこの間、大きな出会い、新たなつながりの醸成がものすごい規模とスピードで進んできました。そんな話をあちこちで聞いてきました。
僕もその何かに押されてヨーロッパにいき、アメリカにいき、日本各地を歩いてたくさんの人々と交わってきました。
昨年後半から年始にかけて京都市長選に奔走し、これまで出会ったことのなかったたくさんの人々と協働を共にしたのも、僕にはその一環だったという皮膚感覚ともいうべき実感があります。

そうなのです。現代資本主義は矛盾の限界点を越えた!世界は大きな変革期に入った。そう思います。
この2020年を私たちはこの9年の大奮闘の中で迎えました。だから僕はいま必ず大きな変革を私たちの手で実現できるという実感があります。だから僕もいま大きく飛躍します!
みなさま。世の中を良くしましましょう!未来を切り開きましょう。人類史上に残るであろう大きな転換点です。事故から9年。そこで起こったすべての苦しみ、悲しみ、嘆きを、引き受け、背負い、力に変えて、進むべき時です!

頑張りましょう!
僕はこれからの奮闘を、野蛮な争いに明け暮れてきた人類前史を閉ざし、愛と友愛に基づく人類後史の扉を切り開くことにつなげたい。
あなたとともにです。ぜひ一緒に歩みましょう!


ポーランドでの反核国際会議にて 2014年10月 これがヨーロッパ反核サマーキャンプの取り組みにつながった

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