守田です(20190120 23:30)

● 「原発輸出を続ける」と世耕大臣!

世耕経済産業大臣は、18日にの閣議のあとの記者会見で、成長戦略の柱としてきた原発輸出政策をなおも進めていくと発言しました。
これは日立製作所がイギリスへの原発輸出の凍結を正式発表したことを受けてのものです。
しかもこの中で世耕大臣は「選挙ありなしとは関係なく、基本的には再稼働というのは安全最優先で進めていくべきものだ」と述べ、15日の経団連中西会長発言をまったく受け付けない態度も示しました。

これを伝えたテレ朝ニュースをご覧ください。テレ朝は冒頭で世耕氏が「原発の議論をすると選挙に落ちるという指摘を一蹴しました」と報じています。

世耕氏「選挙関係なしに再稼働進める」中西発言一蹴
テレ朝ニュース 20190118 18:46
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000145566.html

● 負けを認められない世耕大臣と安倍政権

しかし誰がいったい輸出の担い手になるというのでしょうか。
この間、政府も主導して手掛けた原発輸出計画はアメリカ、リトアニア、台湾、ベトナム、トルコ、イギリスを相手取ったものでしたがすべて破産してしまいました。
しかも「原子力ルネッサンス」という言葉に踊らされてウェスチングハウス社を買い取り、世界のリーディングカンパニーにならんとした東芝は巨額の赤字を抱えて原子力部門から撤退し、それどころか優良部門を切り売りして崩壊してしまっています。


朝日新聞より

残りの原発メーカーの三菱重工も日立製作所もトルコ、イギリスへの輸出の断念で大きな赤字を背負いました。
社内ではもはや公然と「あれは安倍案件だった」と、無理やり政権に付き合わされたひどいビジネスだったと恨み節ばかりがささやかれています。
もはや輸出をできるメーカーなどありません。安倍政権の原発輸出政策は完全にとん挫したのです。

しかし世耕大臣も菅官房長官も安倍首相もこの大きな敗北を認めようとしないし認められない。
それは抜本的にこの政権が自らを振り返り、反省し、行いを改めていくという資質を持っていないからです。バックギアを持っていない。
しかしそんな政権に未来があるはずがありません!

● 選挙に原発を掲げることを安倍政権はいっそう恐れている!

この記者会見にはもう一つ特徴的なことがありました。世耕大臣が明らかに15日の経団連中西会長発言を退けたことです。
「選挙ありなしとは関係なく」というのは、中西会長による「政治家が原発の議論を避けているのは原発の議論をすると選挙に落ちるから」との指摘を意識したものです。
テレ朝はこれを「一蹴した」と報じましたが、果たしてそんな余裕をもった発言だったでしょうか。むしろあくまでも「選挙では原発は話題にしない」との立場を苦しまぎれに述べただけたったのではないでしょうか。

一蹴するのなら「そんなことはない。次は堂々と原発再稼働を選挙で掲げて勝って見せる」とでもいえばいいのです。
でもそんなことはできないと思っている。これまでもそうだったからです。自公両党は選挙のたびに原発のことにはまったく触れないで、辛勝を重ねてきたにすぎないのです。
だからそれは変えられない。負けは認めないけれど経団連の要望には答えられない。しかしそれでどんな展望があるでしょうか?

単純に言えることはこれでますます安倍政権と財界の間の原発政策をめぐる裂け目が大きくなっていくだろうということです。
そもそも原発メーカー三社はそれぞれに巨額の赤字を背負いました。しかし安倍政権はトップ外交が破産し、巨額の税金を無駄に費やしたのに謝ることすらしない。
しかしいくらなんでもこれではビジネスサイドから「それはおかしすぎるだろう」という声があがって当然です。いや事実、経団連会長はそう言いだしているのです。

● 他国に売れない原発を日本でも動かすな!という声を高めよう

ただし財界が原発の危険性に目覚めたわけでは全くありません。それどころか東芝も日立も福島原発事故を起こした原子炉のメーカーでありながら、謝罪の一つもせず、輸出に奔走してきました。
その点ではまだまだ小さな天罰が下ったにすぎないし、今も儲けられなくなったから安倍政権に文句を言っているだけで少しも信用できません。

その点ではむしろ私たち民衆こそが経団連中西会長の言をしっかりと聴きとっておく必要があります。
中西発言の核心部は次の点です。「国民の反対が強いのに民間企業がつくることはできない」「自治体が再稼働にイエスと言わない。これで動かせない」。
そうであるならば私たちはもっと反対の声を高めれば良いだけなのです。さらに原発に批判的な各自治体をもっと支えていきましょう。

その際、「もはや世界のどこにも売れない原発を日本でも動かしてはダメだ!」という声をこそ強めましょう。
なぜ売れないのか。安全対策費が高騰しているからです。だとしたらそれ以前に作られた採算の合う状態で作られた原発が安全なはずはありません。
いやそもそも国内でも多くの原発が、新規制基準をクリアできずにどんどん廃炉になってもいます。

電力会社とメーカーは、実は事故も恐れています。実際、この間、再稼働の度に小規模ではあるけれども事故が繰り返されています。
巨額の費用をつぎ込んだ末に何らかの事故で原発が動かせなくなったらそれでも間違いなく赤字になる。だからもはや私たちの反対の声も大きな経営リスクとなっているのです。

だからいま私たちの進むべき道ははっきりとしています。さらに原発反対の声を高めることです!
みんなで頑張って核の灯を止めましょう!

写真は昨年12月28日に321回目の関西電力姫路支店前金曜抗議行動に参加した「脱原発はりまアクションの会」の人々。
JR姫路駅前で会の方が撮影。こういう活動の積み重ねが核のない灯を確実に近づけている!